女子の合格者を減らしていたことについて、
RIETIの客員研究員の山口一男氏が記事を書いています。
今回はこれを見てみたいと思います。
「東京医科大学の入試における女性差別と関連事実 ― 今政府は何をすべきか」
(はてなブックマーク)
これくらいはっきり書いてほしいという内容です。
この件は、変に手ぬるいことをしたりせず、
はっきり批判する必要があることです。
https://www.rieti.go.jp/jp/special/special_report/098.html
- [性差別]
- [医療]
- [教育]
- [労働]
山口先生、怒涛のマジレス。/教育受けるにも金かかってるし収入も悪くないんだからバイト労働でも復帰はするよね。保育士とかとは話が違う<平均就業率/奨学金でインセンティブつける、みたいなのは私も考えてたなぁ
2018/08/09 18:58
記事では、東京医科大学の点数操作による
女子の合格者の制限は憲法14条の法のもとの平等と、
教育基本法4条の「教育の機会均等」に反するとしています。
この種の女性差別が決してあってはならないことで、
憲法14条第1項で
すべて国民は、法の下に平等であって、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により
政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。
とし、またそれを受ける形で教育基本法4条において
(教育の機会均等)
すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を
与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、
経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
と記されていることに明確に違反する。
さらに医学部は、将来医師という特定の職業に
つくための職業訓練校的性格があることから、
東京医科大の点数操作は、男女雇用機会均等法や
男女共同参画社会基本法にも、違反することを指摘しています。
また医学部が他の学部に比べ医師という特定の職業に
結び付く職業訓練をかねた学部であることを考えると、
女性割合の制限は憲法や教育基本法だけでなく
雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法にも反すると考える。
これは東京医科大学が、点数操作によって女子の合格者数を
制限していることを、入試の募集要項に書かなかった
(書けなかった)理由にほかならないでしょう。
点数操作は、憲法やいくつもの法律に違反する
あきらかなジェンダー差別であり、「受験生が納得できる」
「合理的な理由」などどこにもない、ということです。
それゆえ募集要項に書くことができなくて、
「だまってこっそり」やるよりなかったということです。
だいたい「受験生が納得できる合理的な理由」があるなら、
最初から募集要項に書いていると思います。
募集要項に書かずこっそりやっていたことが、
「うしろめたい差別」だと東京医科大学の関係者も
わかっていたことを示していると思います。
一部では、点数操作について募集要項にはっきり
記載しないことが問題だ、という論調があります。
今回の東京医大のケースについて8月2日の朝日新聞記事は
文部省の担当者の談話として「入試の応募要項に
男女比の調整を明記していれば、大学の責任で実施できる。
東京医大がそうした説明をしないまま
調整していたなら問題だ」と述べたと報告している。
また、この「担当者」の言を裏打ちするかのように
林文部科学大臣も「募集要項にも示されずに、適切な目的なく、
不当に女子が差別されているような入学者選抜があるとすれば、
文部科学省としては認められない」と述べたという。
上記引用で触れられている8月2日の朝日新聞の記事には、
次のように文科省の担当者のコメントが載せられています。
「東京医大、女子受験者を一律減点 受験者側に説明なし」
(はてなブックマーク)
文科省の担当者は「入試の募集要項に男女比の調整を
明記していれば、大学の責任で実施できる。
東京医大がそうした説明をしないまま
調整をしていたなら問題だ」としている。
林芳正文部科学相のコメントは、8月3日のNHKで報道されています。
「東京医科大入試の女子減点 閣僚から批判相次ぐ」
これについて、林文部科学大臣は記者会見で
「募集要項にも示されずに、適切な目的なく、
不当に女子が差別されているような入学者選抜があるとすれば、
文部科学省としては認められない」と述べ、大学を批判しました。
ここで確認したいことは、
1. 募集要項にいくらはっきり記載しても
点数操作は「憲法や法律に違反するジェンダー差別」である
2. 点数操作が問題なのは「ジェンダー差別だから」であって、
「募集要項に記載しないから」ではない
ということです。
東京医科大の点数操作に対して、募集要項への記載を
問題にしている文科省の人たちは、「適切な目的」をもって
募集要項に記載するならよいと、言いたげでもあります。
点数操作によるジェンダー差別を正当化できるだけの
「適切な目的」があると、彼らは考えているのでしょうか?
もしそうならそれなんなのか、具体的に述べてほしいです。
「憲法や法律にも違反するジェンダー差別は、
募集要項に書いておもてで堂々とやればよい」などと
言いたいのでは、まさかないですよね?
もしそのような目的が「適切」とされるなら、
筆者には「女性差別は陰でこそこそやらず、表で堂々とやれ」と
差別を奨励することになると思える。
おそらく彼らも、点数操作を正当化できるだけの
「適切な目的」なんて、ありえないとわかっているのでしょう。
それゆえ具体的なことを言わず、抽象的なことを
言うだけにとどめているのだろうと思います。
「適切な目的」が存在しないなら、むやみに強調しないことです。
問題の本質が「ジェンダー差別」ではなく、
「募集要項への記載」であるかのような
印象を与える発言は、おおよそ好ましくないです。