2018年08月17日

mar0006.gifもうひとつの夫婦別姓訴訟

もうひとつの別姓訴訟です。これで4件目になります。
8月10日に提訴されました。

「再婚・連れ子の弁護士夫妻「夫婦同姓は初婚しか想定していない」 別姓求め提訴」
(はてなブックマーク)

現行民法の夫婦同姓の強制は、初婚しか想定していないので、
連れ子の苗字の選択の自由がはばまれることになり、
法的に不備があるということが、訴訟の内容です。

 
夫婦別姓を求める新たな訴訟が起こされた。
東京都文京区の出口裕規弁護士と妻の40代女性が8月10日、
立法府が選択的夫婦別姓を認める法改正を
怠ったことによって精神的苦痛を受けたとして、
国を相手取って損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。


原告のかたのケースは、女性は現在の結婚をする前は、
初婚前の旧姓にもどっていたようです。
連れ子たちは父親の苗字を名乗っているので、
父親の戸籍にとどまり、母親の戸籍に入籍していないということです。

子どもたちは、自分の意思で苗字の変更が可能になる
15歳のときに母親の旧姓を名乗ることを希望しています。
ところが母親が結婚して、夫の苗字に改姓したので、
子どもたちが母親の旧姓を名乗ることが難しくなったのでした。

母親の旧姓を名乗るには、母親の旧姓がインデックスの
戸籍に入籍する必要があります。
母親が結婚改姓したことで、だれもいなくなっているので、
空の戸籍に入籍できないということだと思います。

訴状などによると、出口弁護士と女性は再婚同士という。
女性は以前、結婚していた際に子ども2人が生まれたが、離婚。
協議の末、女性が親権を持つ代わりに、
子ども2人は前の夫の姓を名乗ることになったが、
母子3人で生活しているため、子ども2人は自らの意思で
氏の変更が可能な15歳になったら、
ともに女性の旧姓に変更することを希望していた。

しかし、女性が出口弁護士と再婚した際、
民法750条の夫婦同氏の規定により、出口姓となったことから、
子ども2人が女性の旧姓に変更することは困難になった。
また、出口弁護士にも前の妻との間に子どもがおり、
それぞれ小学生から中学生の多感な時期になる。
別姓で再婚した方が、子どもの心情にも影響は
少ないという「心の機微があった」という。


現行民法では夫婦が離婚したあとの子どもは
15歳になると自分の判断だけで、父母のどちらの
苗字を名乗るかを決めることができます。
必要な書類である「氏変更許可申立書」も「入籍届」も
自分で書くことができるということです。

「子供の戸籍と姓」

子供が15歳以上になれば、子供が自主的な判断をし、
父母のどちらの氏を称するかを決め、自分で氏変更許可の審判を申請できます。
「氏変更許可申立書」も「入籍届」も、
子供本人が直筆署名し、子供自らが届出人になります。
母親が親権者になっていない場合でも、子供の意思で、
母親の戸籍に入籍することが可能になります。

母親が結婚改姓して配偶者の戸籍に移っている場合、
子どもが母親の苗字を選ぶとなると、
母親とその夫がいる戸籍に入籍することになります。
選べる苗字は必然的に母親の婚氏になります。

「現行の夫婦同姓の強制は初婚しか想定していない」という
原告の主張は「現行民法は母親に再婚がないので
もう改姓しないから、連れ子はいつでも母親の旧姓を
名乗れると考えられている」ということだと思います。

母親が再婚しても結婚改姓しないことで、
子どもが母親とその夫がいる戸籍に入籍しても、
母親の旧姓を選んで名乗ることができます。
選択的夫婦別姓が認められていれば、子どもが再婚前の母親の
苗字を選べるようにすることは容易ということです。


これはなかなか複雑なケースだと思います。
このようなケースが問題になることを
これまで考えていた人はほとんどいないでしょうし、
裁判所はどう対処するだろうかと思います。

一般的なケースとして、子どものいるかたが結婚する場合、
結婚改姓すると配偶者の戸籍に入るのは本人だけです。
連れ子はもとの戸籍にとどまり、苗字は変わらないです。

「子連れの再婚」

配偶者と連れ子のあいだには、法的な親子関係は生じないです。
それで法的な親子関係を持つためには、
配偶者と連れ子とで養子縁組をすることになります。
これで連れ子は配偶者の戸籍に入りますが、
同時に配偶者の苗字に改姓することになります。

連れ子のいるかたの再婚は、かならず子どもの
非改姓権、氏名権の問題が出てくることになります。
子どもの改姓を避けたくて再婚をためらう人がいる、
といった問題も起きているのですが、
あまり議論されていないように思います。


現行民法が初婚しか想定しないのは、
家族やジェンダーに関して因習・反動的な人たちが
信仰にしている家族イデオロギーの影響だと思います。
戦後民法による規定と、企業の生産性のために
高度経済成長期に定着した「家族のありかた」です。

「家族思想という信仰」

この家族イデオロギーでは、一度結婚したら
一生いっしょで居続けるのが「あるべき家族」と
考えられているので、原則的に離婚はないものと
考えているということだろうと思います。



この裁判がどうなるかですが、わたしの予想は
例によって悲観的で、原告敗訴の可能性が高いと見ています。

「親子で同じ名字を名乗ることで、家族の一体感が出る」
なんて、紋切り型の主張を持ち出して、
「母親が再婚で改姓したのなら、子どもは母親の
婚氏を名乗るのが、子ども本人のためでもある」なんて、
本人の希望を無視して裁断するのではないかと思います。

あるいは「子どもが再婚した母親の旧姓を
名乗りたいなら、入籍に関する条項を改正して
対処すればよく、選択的夫婦別姓を認める必要はない」
なんて判決が出るかもしれないです。
つまり母親が抜けて空になった戸籍にも入籍できるよう、
法改正をすればいいということです。

現行民法が初婚しか想定していないことに関しては、
「離婚、再婚はやむを得ない場合の措置で。
一度結婚したらずっと離婚しないのが本来だから、
初婚しか想定しなくても憲法違反でない」
なんて言うかもしれないです。

posted by たんぽぽ at 06:19 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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