2018年08月25日

mar0006.gif医師と大学教員のジェンダー比

OECD加盟国の医師と大学教員の女性の割合を
2次元プロットした図があるので、これを見てみたいと思います。
教員の女性比率はOECD「Education at a Glance 2017」
医師の女性比率はOECD「Health Statistic 2017」が出典です。

補助ブログの2017年11月12日エントリで、
OECD加盟国の大学教員と内科医の女性の割合を
2次元で示した図を見てきました。
今回は内科医だけでなく、医師全体です。

 


データは医師、大学教員のいずれも2015年です。
8月16日エントリで示した、医師の女性の割合は
2016年のデータなので、今回と少し数値が異なりますが、
1年程度なのでほとんど同じ数値です。

「医師における女性の割合・国際比較」

医師に占める女性の割合は、40-60%の領域に
多くのプロットが集まっています。
8月16日エントリでも触れましたが、
女性の割合が40%を超えたら深刻なジェンダー格差はないとすると、
OECDは医師のジェンダー格差をかなり解消したと言えます。

大学教員に占める女性の割合は、35-45%の領域に
多くのプロットが集まっています。
OECDは大学教員のジェンダー格差も
解消に近づいていると言えるでしょう。


女性医師の割合がOECD加盟国中最低の国は日本で20%程度です。
ついで割合が低いのは韓国で22%程度です。
日本と韓国の2国が、ほかのOECD加盟国と比べて
飛び抜けて女性医師の割合が低いということです。
これは8月16日エントリで見た通りです。

大学教員の女性の割合がOECD加盟国中
最低となっている国もやはり日本で21%程度です。
ついで割合が低いのは韓国で33%程度です。

大学教員の女性の割合は、韓国は日本から離れたところにあり、
ほかのOECD加盟国の末席に入れる位置にあります。
よって大学教員の女性の割合がOECD加盟国中
飛び抜けて低いのは、日本だけと言えるでしょう。


OECD加盟国についてジェンダー関係の統計を取ると、
日本と韓国の2国だけ他国から孤立していて、
しかも「仲良し」と言いたくなるくらい、
ほとんど同じ位置にあることが多いです。

日本と韓国の女性医師の割合は近いですが、
大学教員の女性の割合は離れています。
それゆえ医師と大学教員の2次元プロットの場合、
日本と韓国は「仲良し」と言えるほどには、
くっついてはいないことになります。


大学教員と医師の女性の割合には相関があります。
大学教員の女性割合が高いほど、医師の女性が割合も高いです。
これはどちらも大学、大学院を卒業して
専門知識を身につける必要があるので、
女子の大学進学率が寄与することがあると思います。

「大学進学率のジェンダー比較」

日本は世界の中で、男子の大学進学率が
女子の大学進学率より高いほとんど唯一の国です。
男子と比べたときの女子が大学教育を受ける機会は、
他国と比べて少ないことになるので、
大学教員や医師の女性の割合も低くなるのでしょう。


日本の医師の女性割合が低い原因のひとつとして、
入り口である医学部の入学試験を点数操作によって、
女子合格者を抑制しているという深刻な事情があります。

「東京医科大・女子受験者から一律減点」

医師国家試験の合格者に占める女性の割合が、
2003年ごろから横ばいになっています。
よって点数操作による女子合格者の抑制は、
日本の多くの大学で行なわれていると考えられます。

「医師国家試験合格者のジェンダー比」

医師国家試験合格者の男女比


大学教員の女性の割合は、どのようなことが原因で
低くなっているかという問題があります。
学部別の合格者のジェンダー比を見ると、
どの学部も女子のほうが男子より多いです。
(「女子合格者/男子合格者」なので、1以上で女子>男子)

医学部以外では、点数操作で女子の合格者を抑制、
といった「八百長」はないと考えてよさそうです。
入口の入学試験には、大学教員の女性割合が
低くなる直接的な原因はなさそうです。

「東京医大以外でも「女子合格率、医学部だけ低いのは不自然」女性医師が指摘」

大学入試学部別合格率の男女比


大学教員に女性の割合が低くなる原因は、
やはり職場の環境や文化に問題の多くがあるようです。
女性研究者が離職する理由として顕著なものは、
「結婚」「育児」「家族の転勤」「男女差別」があります。
これは研究者に限らない、一般的なことだと思います。

「大学教員の女性の比率」
「各国の女性研究者の割合」

離職・転職の理由

研究者に顕著な事情として、女性研究者には未婚のかたが
多いことや、人事が男性優先であることに触れておきます。

「科学論文の女性著者の割合」
「高学歴女子、なぜ貧困に陥りやすい?大学講師の惨状〜非常勤は低収入で一生独身も」

非常勤の男女が結婚するケースが結構ありますが、
そもそも女性研究者には一生独身の人が少なくありません。
男性の場合は、専任講師になってから一回り以上年下であるはずの
学部女子学生、多くは直接の教え子と結婚するのが伝統的なパターンです。

結婚については男女の非対称性が顕著です。
男性は妻子を持って一人前と見なされますが、女性は独身でなければ論外、
つまり結婚することは研究の第一線から退くと
見なされてしまうため、独身率が高いのです。
表立ってはありません。
文部科学省も専任教員の女性比率を高めるよう大学側に要請しています。
ただ、非常勤から専任への登用人事を選考するメンバーが
ほとんど男性で構成されているので、専任のポストが空いたときに
男性が優先的に登用される傾向が強いようです。
非常勤から専任に登用される際の基準が明確でないことも、
人事の不透明さとして挙げられるでしょう。

posted by たんぽぽ at 18:21 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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