2018年09月17日

toujyouka016.jpg 教育政策・若年層からの支持のために

9月15日のふたつのエントリの続き。
若年層に自民党支持が多いと思われていることと、
それに焦燥感を持つ高齢層についての記事です。

「若年層に自民党支持は多い?」
「若年層に自民党支持は多い?(2)」

今回は若年層に、自民党以外の政党を支持してもらうには、
どうしたらよいかを少し考えたいと思います。
わたしなりの「対案」を示すということです。

「この政党は保守か革新か 揺らぐ「常識」、若者のリアル」
(はてなブックマーク)
「この政党は保守か革新か 揺らぐ「常識」、若者のリアル」(全文)

 
選挙に行かない人まで含めたら、自民党支持の若年層は
上の世代とくらべても実は少ないくらいでした。
よって政治に無関心な層から支持を掘り起こす余地は、
じゅうぶんあることになります。

若年層に自民党支持が多いことに危機感を持つ高齢層のかたは
なにを主張しているかですが、やはり憲法9条問題、改憲反対です。

「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる東京・巣鴨の駅頭で、
改憲に反対する活動に立ち会った。
若者グループSEALDsに影響を受けて結成した
主に60代以上の人たちで、その名もOLDs(オールズ)。
朝日新聞の切り抜きをよく送ってくる70代の祖父母は、
今の政権は戦争ができる国にしようとしていると言う。
「でも、ピンと来なくて。憲法9条で日本が守られているとは思えない。
公文書偽造やモリカケ問題はもちろん擁護できないけれど、
私たちの世代は経済の安定を強く望むから、消極的支持でも与党を選ぶ」

現在の高齢層にとっては、太平洋戦争は「きのうのできごと」です。
そして東西冷戦のまっただ中で、いつ核戦争が起きるとも
しれないという状況で、若い時代を生きてきたのでした。
戦争に対しては、起きる可能性が高まるだけでも
じゅうぶん恐怖というのは、ごもっともなことです。

現在の若い人たちは、憲法9条を守ることへのこだわりを、
「でも、ピンと来なくて」と言っています。
それはそれで無理もないことだと思います。
(わたしでさえピンと来ないですよ。)


若い世代の人たちに(というか、どんな世代の人たちに
対してでもそうですが)訴えて、支持を得るためには、
彼らの眼前の生活に関する課題を主張することだと思います。

若い世代、とくに学生さんから支持を得るには、
大学の授業料が高いことや奨学金が貧しいこと、
それによって学生生活が苦しいものとなっていることを
問題にするのがよいのではないかと、わたしは思います。
これは学生にとってまさしく「眼前の生活問題」です。


大学生がアルバイトをする目的は、旅行や交際、レジャーの割合が
だんだん減って、学費や生活費の割合がどんどん増えています。

「大学生のバイト目的の変化」


学生時代の奨学金返済の負担が大きくなりすぎ、
返せなくて自己破産するケースも増えてきています。

「奨学金返済と自己破産」

学識者や弁護士などでつくる「奨学金問題対策全国会議」(東京都)によると、
奨学金返還のために消費者金融から借金するなどして
多重債務に陥り自己破産にいたるケースは以前からあったが、
最近は奨学金だけで自己破産するケースが出始めているという。

学生生活が経済的に苦しくなっているのは、
過去からの推移を見てもはっきりしています。


日本は大学の授業料が高いのに、奨学金も貧しいという、
OECD加盟国唯一の国となっています。
ほかのOECD加盟国は、授業料が高い国は奨学金が充実しているし、
奨学金が貧しい国は授業料は無料かごく安いです。

日本はOECD加盟国の中で飛び抜けて大学に行くと
お金がかかる国であり、学費や生活費など経済的なことで
苦労するのは、日本の学生だけということです。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」




大学への公的支出は、日本はOECD加盟国中群を抜いて最低です。
33カ国平均の半分にも満たないです。

大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位

日本の奨学金は給付型のものがほとんどなく、
大部分は返済の必要があるものとなっています。
国際的には「学生ローン」であって、「奨学金」ではないです。


このように教育への投資を軽視していることが、
日本が授業料が高くて奨学金が貧しい国となるゆえんです。


かかる現状を作っているのが、ほかならぬ自民党です。
彼らは「自助」の精神が大事と言って、
福祉予算を削って、家庭への負担を増やしてきました。
教育に関しても同様で、それが大学への公的支出の少なさと、
奨学金の貧しさをもたらしているということです。

「教育の機会不平等・原因と結果」

教育の公的支出が少なく、学生生活を圧迫することに関しては、
ほとんど問題なく自民党の責任とすることができます。
「きみたちの生活が苦しいのは自民党のせいだ」と
若い学生さんたちに、堂々と訴えられるということです。

「自民党の政策のせいで学生生活が困窮する」という認識は、
学生のあいだで広まっているとは、あまり思えないです。
(選挙に行く人は自民党支持、そうでなければ
選挙に行かないとなるのは、それもあるのでしょう。)
よってこのような教育政策は、若年層からの支持を
掘り起こす余地は、じゅうぶんあると思います。

「ネットで正確な情報を得ている?」


オールズのかたたちや同世代の高齢層のかたたちは、
若い世代の人たちに対して、ここでお話したような
教育政策を訴えることは、どう考えているかと思います。

彼らが学生だったころは、まだまだ大学の授業料は
安かったし、奨学金の返済も容易でした。
それゆえこのような問題意識を持てないのでしょうか?
(彼らの世代には「学費は自分で稼いだ」なんて
のんきに自慢話をする人もいるくらいですが。)

国立大学授業料の年次推移

posted by たんぽぽ at 20:59 | Comment(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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