それに合わせて総務省が、高齢者人口に注目した、
日本の人口動態を発表しています。
マスコミでも取り上げられて記事になっています。
「70歳以上が人口の2割超、高齢化率28% 総務省推計」
「人口推計 70歳以上が2割超 高齢者割合、世界で突出」
「70歳以上、初の2割超え 働く高齢者も最多」
「統計トピックスNo.113 統計からみた我が国の高齢者−「敬老の日」にちなんで−」
日本は少子高齢化社会が進行して、高齢者の人口数も
人口比もどんどん上昇するということは、
だいぶむかしから言われ続けています。
その意味でべつだん真新しい話題ではないと言えます。
それでも高齢者人口はこれまでどのように増えてきて、
具体的にどの程度の規模になっているのか、
これからどのようになると予想されるのか、
正確なところを把握する必要はあるでしょう。
2000年以降の高齢者人口(65歳以上)の年次推移を見ると、
つぎのように単調に増え続けています。
2000年は2204万人でしたが、2018年は3557万人です。
20年近くのあいだに1.5倍以上になったということです。
日本の総人口は2010年以降単調に減り続けています。
総人口は減っているのに、高齢者人口は増えているのであり、
高齢者の人口比の上昇は、さらに急速なものとなるということです。
さらに1950年からの推移と、高齢者を5歳ごとの
年齢階層にわけて示した図と表があります。
これを見ると65歳以上の割合は、2018年は28.1%です。
2000年は17.4%ですから、ポイントでも1.5倍以上です。
今回の調査で特筆することは、新聞記事の見出しにもありますが、
70歳以上の割合が20.7%で、初めて2割を超えたことです。
65歳以上が2割を超えたのは2005年でした。
1950年には70歳以上のかたは2.8%、「希少な存在」でした。
2割を超えた現在、70歳以上は「ありふれた存在」です。
団塊の世代が70歳代になったことに加えて、
平均寿命が延びたこともあるのでしょう。
図は2040年までの推計も載せています。
今後も当分は、65歳以上の割合は増え続けるようです。
2040年における65歳以上の割合は35.3%と推計です。
総人口の3分の1以上が「高齢者」です。
さらに70歳は27.2%ですでに4分の1以上、
75歳以上も20.2%で、2割を越えると予想されています。
日本は2050年に高齢化社会ゆえに、
世界でもっとも悲惨な国になるという予測があります。
総務省の図は2050年までの推計は載せていないですが、
2040年よりさらに高齢者人口の割合が高くなることは、
容易に予想できることです。
「2050年の世界一悲惨な国」
「世界で最も悲惨な2050年迎える国は日本 英の経済誌予測」
その中でも、世界で最も悲惨な2050年を迎えるのが
「超々高齢化社会」に苦しむ日本である。
〈2050年までには、被扶養者数と労働年齢の成人数が肩を並べるだろう。
過去を振り返っても、このような状況に直面した社会は存在しない。
中位数年齢(*注)が52.7歳まで上昇した日本は、
世界史上最も高齢化の進んだ社会となるはずだ〉
なぜ超高齢化社会が悲惨なのかは、言うまでもないと思います。
福祉予算を多く必要とする高齢者の人口が
増えると同時に、そうした福祉を支える労働者人口が、
出生率の低下の影響で少なくなるからです。
少ない労働者人口で多くの高齢者福祉を支えるので、
労働者ひとりあたりの負担が大きくなります。
労働者は高い税金で、高齢者は少ない福祉で、
ともに貧困に苦しむかたが多くなるということです。
2015年の時点で、高齢者ひとりを支える
生産年齢人口は、日本は2.3人程度です。
すでに飛びぬけて世界最小の水準となっています。
「高齢者ひとりを支える人数」
高齢従属係数の国際比較。高齢者1人を何人の生産人口が支えるか。 pic.twitter.com/8jQiCl2bl4
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2015年5月5日
今後はさらに少ない生産年齢人口で支える必要が出てきます。
2040-50年ごろは、1.5人程度になっていそうです。
そう遠くない将来、高齢者人口の割合が、労働者ひとりで
支えられる限界を超えることも考えられます。
高齢者人口の割合の推移を過去へと見ていくと、
かつてはいかに高齢者の割合が低かったかがわかります。
バブルの時代は10%程度、高度製剤成長期は5%程度です。
日本の戦後の経済発展は、人口ボーナス期に当たって、
高齢者人口の割合が低かったので、
高齢者向けの福祉をほとんど必要としなかったから、
というのも、納得できるというものです。
付記:
日本の人口動態が話題になるのは年に3回、
1月の成人の日、5月の子どもの日、9月の敬老の日です。
(このほか正月に人口動態が発表されるので、
年末年始に話題になることがある。)
4ヶ月おきでほぼ等間隔です。
日本が将来、少子高齢化に向かっていることを
思い出してもらうにも、ちょうどいいかもしれないです。