今回は国際比較を見てみることにします。
高齢者人口の割合についての総務省の調査です。
「70歳以上が人口の2割超、高齢化率28% 総務省推計」
「人口推計 70歳以上が2割超 高齢者割合、世界で突出」
「70歳以上、初の2割超え 働く高齢者も最多」
「統計トピックスNo.113 統計からみた我が国の高齢者−「敬老の日」にちなんで−」
世界各国の総人口に占める65歳以上の割合を見ると、
日本は28.1%で世界第1位です。
2位はイタリアの23.3%、3位は22%以下で並んでいます。
日本は世界でも飛び抜けて高齢者の多い国になります。
日本で65歳以上の割合が2割を超えたのは2005年です。
よって日本がこのような高齢者大国となったのは、
最近の10年ほどの現象ということになります。
2位のイタリアと4位のドイツは、家族やジェンダーに関して
因襲的な規範が幅を利かせているところです。
それゆえこのような高齢者大国となるのでしょう。
3位はポルトガルですが、南ヨーロッパはおしなべて
ヨーロッパの他の地域より家族やジェンダーに
関して因襲的ですから、それが高齢化をもたらす
要因になっていると思われます。
65-74歳と75歳以上にわけて割合を示した図を見てみます。
日本、イタリア、ドイツの3国だけが「65-74歳<75歳以上」です。
「65-74歳」と「75歳以上」の比に関しては、
人口構成のほかに、平均寿命の長さもあるだろうと思います。
高齢化社会の進んでいる、日本、イタリア、ドイツは
平均寿命も世界的に見て長いということです。
中国は「75歳以上」の割合は3.7%で、
「65-74歳」の割合7.5%の半分以下です。
中国は平均寿命がまだ短いことが考えられ、
これが高齢者人口の割合を低くしていることが考えられます。
世界各国の高齢者人口の割合の年次推移を見てみます。
このグラフは1950年から始まっていて、
2065年までの将来についての推計も載せてあります。
すさまじいのはやはり日本です。
1950年は世界平均とほぼ同程度だったのですが、
1990年代に高齢者人口の割合はどんどん増えて、
諸外国を追い越し、2005年以降トップとなっています。
その後も日本は高齢者人口の割合が世界1位を維持、
「世界一悲惨な国になる」と予想される2050年も
もちろん世界1位を維持しています。
こんな図を見ても、日本の高齢化社会の進行ぶりが
急速であることが、よくわかるだろうと思います。
世界の高齢化率の分布。
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2018年9月17日
日本はトップランナー。 pic.twitter.com/rz4JCvm1lj
総務省の図には、2050年以降の推計も少しあるのですが、
高齢者人口の割合は鈍化しますが増加していて、
2065年までは世界1位を維持し続けます。
2050年の高齢者人口率と年少人口率を
2次元にプロットした図があります。
日本は高齢者人口率は世界1位であり、
年少人口率は世界最低ではないですが最低水準です。
「2050年の世界の少子高齢化」
ブログ更新。データえっせい: 2050年の人口ピラミッド https://t.co/sHT8fNTsGg pic.twitter.com/yN92q0DWeC
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2016年5月29日
高齢者が多く、高齢者福祉の負担に苦しむのに、
労働者人口が少なく、将来を担う子どもも少ないという
「世界一悲惨な国」になる様子が伺えます。