2018年09月26日

mar0006.gif「女性が多くなると困る」の精神構造

9月5日エントリの続き。

東京医科大の点数操作についての山口一男氏の記事です。
今回は「女性が多くなりすぎて困る」という
こうした場合にありがちな主張を見てみます。

「東京医科大学の入試における女性差別と関連事実 ― 今政府は何をすべきか」
(はてなブックマーク)

 
それにしても医学部入学にしても雇用にしても、
「成績だけで採用すると女性が多くなりすぎて困る」という
人事担当者などが日本に多いことには困惑する。
逆に「男性が多くなりすぎて困る」とは決して考えないのだから、
それだけで女性差別意識だと思うがその自覚もない。

より優秀な人を採用できることは、
その人が男性であろうが女性であろうが、
人材活用上望ましいと思えない人の多いことに、
筆者は日本における女性差別の根深さを感じる。


「成績だけで採用すると女性が多くなりすぎて困る」
という言説は、実際あちこちで言われると思います。
この件でも東京医科大学のOBや、西川史子氏が言っていました。

「東京医科大・女子受験者から一律減点」
「東京医大、女子受験生を一律減点…合格者数抑制」

同大のOBは「入試の得点は女子の方が高い傾向があり、
点数順に合格させたら女子大になってしまう」とした上で
「女性は大学卒業後に医師になっても、妊娠や出産で離職する率が高い。
女性が働くインフラが十分ではない状況で、
仕方のない措置だった」と話した。

「女性医師が多いと特定の科に偏る?」
「高橋真麻 女子受験者減点問題の西川先生“当たり前”発言に反発「納得できない」」

西川は「(受験成績の)上から取っていったら、女性ばかりになっちゃう。
女の子の方が優秀なんで、眼科医と皮膚科医だらけになっちゃう。
重たい人の股関節脱臼を背負えるかっていったら、女性は無理なんです」


医学部の入試以外でも、「成績だけで採用すると
女性が多くなりすぎて困る」と言ってのける人たちは多いです。
ただ言うだけでなく、本当に点数操作によって、
女子の合格者を減らしているくらいです。

「点数操作で優遇される男性」

高校入試でも男子に「下駄」を履かせて、
成績が優秀な女子より成績の劣っている男子を
優先的に合格させる高校も少なくないです。

「入試で下駄を履く男の子」

学業成績が同程度の男子生徒と比べて大学合格実績の面で
著しく振るわなくなるので、女子は成績優秀でも落とし、
男子は成績が劣っていても下駄を履かせて合格させて
高校の大学合格実績を高めようという「統計的差別」のインセンティブが
選抜者側に働いてしまうからす。


企業の入社試験でも、成績順に採用すると女性が多くなるので、
男性に「下駄」を履かせて合格させるところが多いです。
そのせいで男子社員とくらべると、女子社員のほうが
優秀で活気があるという企業が多くなっています。

「女子は優秀でも採らない」
「女子は優秀でも採らない(2)」

採用担当者が集まると、こんな会話がよく交わされます。
「元気な若手男子社員が非常に少ないですな」
「採用面接をしていても、評価の高いのは女子ばかりです」

その裏には「女子は、よほど優秀でないと採用されないから」
という悲しい現実があるのです。
女子が優秀と語る採用者たちは、続けてこんなことを言っています。
「だから男子学生は、下駄を履かせて採用しているんだ」

大阪府と大阪市の職員採用試験でも、
試験の内容を変えた2013年度から、
女子の合格者の割合が急に増えたのでした。
府も市もこれを「問題視」して、試験問題を内容を
変えた影響の検証をしようとしています。

「採用試験合格者8割が女性」
「大阪府・市 合格者の8割女性 「人物重視」切り替えで」

大阪府、大阪市の2013年度職員採用試験で、
事務職(大卒程度)の合格者の約8割が女性となった。
教養問題を廃止し、エントリーシート(ES)や論文など
「人物重視」の試験に切り替えたところ、女性比率がアップした。

府・市は「男女半々が理想で、ここまでの偏りは予想外。
女性に有利になっていないかなど
試験変更の影響を検証したい」としている。


「成績だけで採用すると女性が多くなりすぎて困る」
というもの言いは、大阪府・市の職員採用試験のように、
「採用後の組織運営に支障が出るかもしれない」と
漠然としていることもありますが、
なんらかの理由をつけていることも多いです。

もっとも多いのは「女性は出産や育児で離職する」で、
多くの企業の人事担当者が言っていることです。
ほかに西川史子氏は「特定の科に医師が偏る」と言っているし、
高校は「大学進学率の向上のため」と言っています。

これらの「理由」は、どれもそれ自体が
ジェンダー差別的だったり、女子の合格者数抑制でない
べつの方法で解決できるものだったり、
根拠のない偏見であることが多いです。


ごちゃごちゃと理由をつけてもっともらしく
飾っていますが、彼らが女子の合格者数を点数操作で
抑制するのは、根本のところは「数で男性が優位に立ちたい」
ということではないかと、わたしは思います。

「人数」という隠しようのないもので、女性が男性より
多くなることで、男性が女性より劣っていることが、
あからさまになるので、それが嫌だということです。


ここに出てくる「女性が多くなりすぎて困る」の人たちは、
そろいもそろって試験の成績は女子のほうが
上位であることを知っていて、それを認めています。
女子のほうが男子より成績が上位であるという
事実自体を否認するものは、だれもいないようです。

「試験の成績」という、客観性が高くごまかしにくいもので、
女子が男子より優秀であることを知っていながら、
それを受け入れないために、恣意的な方法を
使ってでも否定をするということです。

彼らの「数で男性が優位に立ちたい」という願望は、
客観的な指標を否定してでも維持したいことなのでしょう。
これは成績の優れたものを選抜するという
入学試験(入社試験)の意義に反することですし、
まったく本末転倒なことだと言わざるをえないです。


記事でも指摘がありますが、これらの人たちに
見られるもうひとつのきわだった特徴として、
「男性が多くなりすぎて困る」と考えないことがあります。

これも彼らには「数で男性が優位に立ちたい」ことが、
そもそもの動機にあるからだと考えられます。
それゆえ男性はいくら多くなっても、
けっして困ることはないということだと思います。

posted by たんぽぽ at 23:20 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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