2018年10月07日

toujyouka016.jpg 性暴力被害者に対するバッシング

10月1日エントリで、朝日新聞「オトナの保健室」の
伊藤詩織さんの取材記事をご紹介しました。

「レイプ告発の伊藤詩織さんは今 バッシング止まず渡英」(電子版)
(はてなブックマーク)

「(オトナの保健室)性犯罪なぜ?問い続ける レイプ被害を告発、伊藤詩織さん 女子組」
「(オトナの保健室)性犯罪なぜ?問い続ける レイプ被害を告発、伊藤詩織さん 女子組」(全文)

わたしにいろいろと思うところがあることは、
「被害を告発したら日本で仕事ができなくなる」と、
伊藤詩織さんは事前に言われていたことです。

 
しかし会見後は様々な波風が立ちました。
オンラインで批判や脅迫にさらされ、身の危険を感じました。
外に出るのも怖かったです。
以前から「相手を告発すれば日本で仕事ができなくなる」と
言われていたので覚悟はしていましたが、想像以上で、
日本で暮らすのが難しくなってしまいました。
そんなとき、ロンドンの女性人権団体から
「安全なところに身を置いたら」と連絡をいただいた。
去年の7月からロンドンで暮らしています。


性暴力の被害を告発したことでバッシングされるのは、
事前に予想できたことであり、予想している人がいたということです。
伊藤詩織さんは現在ロンドンに在住ですから
「日本で仕事ができなくなる」も当たったと言えます。
予想できなかったのは「程度のひどさ」です。

日本社会においては、性暴力の被害を訴えた人い、
激しいバッシングや二次加害を加える人たちがいるのは、
だれでも常識的に知っている「公然の秘密」と言えます。

現実には「説得」されて被害を訴えることを
取りやめるかたもたくさんいるでしょう。
性暴力被害は被害者の泣き寝入りが多く「暗数化」が多いことも、
だれでも知っている「公然の秘密」になります。


日本は強姦の認知件数が欧米の民主主義国と比べて
圧倒的に少なく、インドと同程度です。
これは被害を受けても訴えるのを取りやめる被害者が多い、
ということを示しているにほかならないです。

「諸外国の強姦事件の発生率」


「警察官の女性比率と強姦の認知件数」


日本の性暴力の認知件数の少なさは、
「日本は治安がよく、女性が性暴力の被害にあうことが
少ない国だから」という、ある種の人たちが
信じていることは、上述の「公然の秘密」を考えれば、
「幻想」に過ぎないと考えざるを得ないです。

かかる「幻想」を信じている人たちは、
「公然の秘密」を本当に知らないのでしょうか?
知っているけれど「公然の」がつくとはいえ
「秘密」なので、ていよく「なかった」ことにして、
否認しているということでしょうか?


「日本は本質的に性暴力が少ない国」という
「幻想」を主張する人たちは、日本と欧米の民主主義国とで、
性暴力に対する法規に差がなく、欧米諸国の法律は日本より
とくに厳しくはないと主張することがあります。

「スウェーデンは強姦大国?(4)」

日本は性暴力が多いことを主張するかたが
その根拠のひとつとして、性暴力が犯罪とされる範囲が、
日本は欧米の民主主義国より狭いことをあげるので、
その「反証」ということだと思います。

性暴力の被害を訴えるとバッシングにあう、
バッシングを恐れて被害を黙るかたが多いといった、
「公然の秘密」があることを考えれば、
たとえ日本と欧米諸国とで性暴力に対する法規が同じでも、
日本のほうが「暗数化」が多く、性犯罪の認知件数が
少なくなるのは、必然のことだと思います。

posted by たんぽぽ at 16:21 | Comment(16) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
日本の性教育の遅れがこのような悲劇を温存する原因にもなっているとも思います。教師自身が自己責任論、あるいは身内を庇う風潮がありますものね、たぶん今も。教育の力は大きいと確信しているのですが、今は国ぐるみで、あまり性教育をおしていませんし、むしろ保守的になってしまいました。セクハラ、性暴力、二次被害の構造、など教師も学ぶべきだと思います。性暴力を根絶するのに、教育の力は大きいのに、性教育に国が圧力かけているようで残念。七生養護学校に不当な性教育の介入をした裁判で学校が勝訴したという判例があるのに、なかなかです。
Posted by ミーコ at 2018年10月08日 21:06
ミーコさま、こちらにコメントありがとうございます。

>日本の性教育の遅れがこのような悲劇を温存する原因にもなっているとも

日本の性教育は諸外国のそれと比べると、
はなはだお粗末なものとなっていますね。
諸外国が性教育を充実させたいった00年代、
日本は性教育バッシングに屈して、
性教育が萎縮していったことが大きな原因です。

「外国と日本の性教育」
http://taraxacum.seesaa.net/article/256866328.html


>教師自身が自己責任論、あるいは身内を庇う風潮がありますものね、たぶん今も

ご想像の通りだと思います。
避妊を教えた教師が密告にあって解雇された、
というのは、そんなにむかしでないお話です。

「避妊を教えた教師がクビ」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/451829217.html


>性暴力を根絶するのに、教育の力は大きいのに、

スウェーデンの性教育では、どうしてほしいかを
ことばで相手に言うことが大切、ということを教えます。
韓国の性教育は性暴力対策に重点が置かれていて、
性暴力加害の摘発を増やしているようです。
教育の効果はやはり大きいようです。

「なぜ日本の性教育は進まないか」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/451748661.html


日本の男性の中には、性に関してびっくりする認識の人もいます。
こうしたことも性教育がじゅうぶんに行われず、
必要な知識がなく、それでいてアダルトコンテンツなどで得た
間違った知識ばかりあることが原因と考えられます。

「性教育の必要性・無知の危険」
http://taraxacum.seesaa.net/article/440614598.html

教育というと知識を得ることを意識しがちで、
それももちろん大事ですが、間違った知識を
削り落とすためにも、教育が必要になるのだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月09日 06:07
そういえば、今年のノーベル平和賞は、性暴力と闘う2名の授賞が決定しましたね。

ところで、俗に言うアンチフェミニストやネトウヨは、普段は「犯罪被害者や遺族の人権を尊重するべきだ」と主張する一方、性暴力被害者をバッシングすることがあるのは矛盾している感じがします。

さらに、以前から書いていますが、性暴力やセクハラの加害者が未成年者や高齢者の場合は、逆に加害者を「少年法で甘やかされている」「未成年者にも厳罰を」「認知症なら何しても無罪か」「これだから老害は」などと批判することが多々あります。
(個人的な見解として、性犯罪・その他の犯罪を問わず、以前は未成年者への厳罰化を求める声が多かったですが、最近ではむしろ高齢者への批難が多いです)

アンチフェミニストやネトウヨの言っていることには整合性がとれてないんですが。

Posted by アイス at 2018年10月10日 23:25
アイスさま、こちらにコメントありがとうございます。

>今年のノーベル平和賞は、性暴力と闘う2名の授賞が決定しましたね。

これはすばらしいと思います。
性暴力と闘うことが評価されたということですからね。


>俗に言うアンチフェミニストやネトウヨは、
>普段は「犯罪被害者や遺族の人権を尊重するべきだ」と主張する一方、
>性暴力被害者をバッシングすることがあるのは

それと、性暴力の加害者のときだけ、
推定無罪の原則を持ち出したりとか、
「犯罪者の人権」をとても強調しますね。


>性暴力やセクハラの加害者が未成年者や高齢者の場合は、逆に

自分が嫌いな人とか、差別している対象を
おとしめるときだけ、性暴力被害を問題視するのだと思います。

ふだんは性暴力被害に関心がなく、
「従軍慰安婦は兵士の性暴力抑止に役立った」とか、
理解のないことさえ言っているのに、
移民を排斥するときは「移民は性暴力の発生率が高い」と、
性暴力被害を声高だかに主張したりします。

こんなかたちで差別に利用される
「性暴力の被害者」も不幸だと思います。


>アンチフェミニストやネトウヨの言っていることには整合性がとれてないんですが

彼らにとって大事なのは「整合性」ではなく
「劣情に訴えること」なのだと思います。

事実かどうかより大勢が信じるかが大事なのでしょう。
その場で騙せればいいので、主張が「場当たり的」で
「ご都合主義」になるのだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月11日 23:24
たんぽぽさま、お返事ありがとうございます。

>それと、性暴力の加害者のときだけ、
推定無罪の原則を持ち出したりとか、
「犯罪者の人権」をとても強調しますね。

刑事裁判において「被告人の人権」をどこまで尊重すべきか、法曹界や世間で議論になることはあるでしょうが、性犯罪の場合とそれ以外の場合で態度を変えるのは望ましくないと思います。



>彼らにとって大事なのは「整合性」ではなく
「劣情に訴えること」なのだと思います。

ちなみに、性犯罪とは異なりますが、病院・保育所・学校などの場所で事故が起こり、事故被害者や遺族が国や地方公共団体・施設や企業を相手に裁判を起こした時は「どうせ金が欲しいんだろ」などとバッシングされることが時々あります。
事件でなく過失による事故の場合、刑事裁判にかけるのはふさわしくない事例も多々ありますが、被害者や遺族が慰謝料や治療費などを求めて民事裁判で賠償を求めるのはごくごく当たり前のことです。
(現代日本では被害者や遺族に仇討ちの権利はないし、被害者側が民事でできることは、賠償金を取るくらいしかない)
しかし、一部の人々は、訴える相手が国や地方公共団体・施設や企業等の場合だと「金目当て」と被害者叩きをするらしいです。
下記のブログ記事にも似たようなことが書かれています。

https://ameblo.jp/huyunohi1684/entry-12213621673.html

Posted by アイス at 2018年10月13日 23:08
アイスさま、またまたコメントありがとうございます。

>性犯罪の場合とそれ以外の場合で態度を変えるのは望ましくないと思います

態度を変えたら法のもとの平等に反しますしね。
司法判断をする上では「リーガル・マインド」、
つまり相手がだれであっても同じ扱いをするという
姿勢を大切にする必要があるというものです。


>「どうせ金が欲しいんだろ」などとバッシングされる

それははななだ嘆かわしいことに「定番」のようですね。
2011年の夫婦別姓訴訟のときもありました。
原告としては、賠償以外の大きな目的があって
訴えているのだし、少々賠償をもらったくらいで、
「埋め合わせ」になるとは言えないくらいなのにです。

>(現代日本では被害者や遺族に仇討ちの権利はないし、
>被害者側が民事でできることは、賠償金を取るくらいしかない)

できることは賠償金を取るくらい、
それしかないのに、賠償金を取ることを非難したら、
いったいなにが残るのか、ということになります。

あるいは原告は賠償金を取るしかできないから、
バッシングする側も「金目当て」としか言えない、
ということかもしれないです。


>一部の人々は、訴える相手が国や地方公共団体・施設や
>企業等の場合だと「金目当て」と被害者叩きをするらしいです。

被害者バッシングの精神構造はなんなのかと思うところです。

「俺らは被害を受けても我慢しているんだから、
お前らも我慢しろ」という、「足の引っ張り合い」も
あるのかもしれないですが、あきらかにそのような
利害関係にない人も相当数がバッシングするようなので、
ちょっと違うような気もします。

被告が国や企業など「社会的強者」や「体制」のとき、
バッシングが出てくることから判断して、
「強きになびく」というのはありそうです。

そこで強きになびいてなんの得がある?という疑問がありますが、
よく持ち出される説明は、「強者になびくことで、
強者と自分を同一化して、自分も強者サイドの人間に
なったつもりになる」というものですが。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月14日 20:54
たんぽぽさま、ご回答ありがとうございます。

>「俺らは被害を受けても我慢しているんだから、
お前らも我慢しろ」という、「足の引っ張り合い」も
あるのかもしれないですが、あきらかにそのような
利害関係にない人も相当数がバッシングするようなので、
ちょっと違うような気もします。

事故で障害を負ったり、身内を亡くしたりした事実を無視して、賠償金の金額ばかりに注目し「ずるい」と思う人々がいるからだと思います。
(こういった人はアンチフェミニストやネトウヨばかりでなく、ノンポリ層にも存在すると思います。
要は妬みと想像力の欠如です)



>被告が国や企業など「社会的強者」や「体制」のとき、
バッシングが出てくることから判断して、
「強きになびく」というのはありそうです。

それはあるのでしょう。
ただ、相手が国や企業などなら必ずバッシングが出るとは限らない気がします。
「運が悪かったと思って諦めろ」
「遺族はどうせ賠償金目当てで裁判しているんだろ」
「そんなことで賠償が認められたら、経営や組織運営が成り立たなくなる」
こういった、病院・保育所・学校の事故だとしばしば見られる被害者叩きが、航空機事故だとあまり見られません。
ちなみに、国際線の航空事故で死亡・障害を負った場合、モントリオール条約が適用されれば無過失責任で補償・賠償がされます。
(日本はモントリオール条約加盟国です。詳しくは下記サイトをご覧ください)

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/amp.bengo4.com/topics/390/%3Fusqp%3Dmq331AQGCAEoATgA



>そこで強きになびいてなんの得がある?という疑問がありますが、
よく持ち出される説明は、「強者になびくことで、
強者と自分を同一化して、自分も強者サイドの人間に
なったつもりになる」というものですが。

そういう人もいるのかもしれません。
しかし、被害者側へのバッシングが病院・保育所・学校の事故では見られ、航空機事故の場合ほとんど見られないことについて、どう合理的な説明がつくのでしょうか?
ちなみに、パワハラや過労死・過労自殺の裁判で被害者側を批判する意見は、病院・保育所・学校での事故より少なく、航空機事故よりは多いといった感じです。
あくまで私の印象ですが。
(ワタミ従業員の過労自殺裁判では、元会長など経営側が結構批判されていた記憶があります)



長文失礼しました。
Posted by アイス at 2018年10月14日 23:17
>下記のブログ記事にも似たようなことが書かれています。
>https://ameblo.jp/huyunohi1684/entry-12213621673.html

こちらはご紹介ありがとうございます。


「被害者バッシング」はネトウヨに始まるのではなく、
むかしからあったということですね。

========
昔の話になりますが、水俣病の患者がチッソを訴えた時でも、
ネトウヨなんていない時代でしたが、世間は、金目当てだ、
そんな賠償が認められたら水俣に日本中から越して来て、
水銀を呑んでわざと水俣病になる、などといったことを言い立てました。
========

ネットが発達してから変わったことは、
このような「被害者バッシング」言説をしやすい
「ネトウヨの居場所」が確保されたということだと思います。


ネトウヨが現在のようにのさばるようになったのは、
ネットの黎明期以来、ネトウヨの言説なんて
くだらないからと言って、放置されたことが大きいと思います。

だれからも批判されなくなったネトウヨたちは、
「自分はなにを言ってもいいのだ」と
自信を持つようになったのでしょう。
彼らのひずんだ言動は、ネットに蔓延するようになり、
彼らは勢力を増していったのだと思います。

「被害者バッシング」もそうやって放置された
ネトウヨ言説のうちだと思います。
むかしからあった劣情が、ネットで発言場所を確保されたことで、
言いやすくなったということだと思います。


やはりネトウヨ言説はくだらないと思っても、
きっちり批判する必要があることであり、
無視や軽視をしてはならないことだと思います。

「差別主義者は放置がよいか?」
「差別主義者は放置がよいか?(2)」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/457110436.html
http://pissenlit16.seesaa.net/article/457133219.html
Posted by たんぽぽ at 2018年10月15日 22:44
もうひとつコメント、ありがとうございます。

>事故で障害を負ったり、身内を亡くしたりした事実を無視して、
>賠償金の金額ばかりに注目し「ずるい」と思う人々

そういう人も、はなはだ遺憾ながら一定数いそうですね。

「被害者バッシング」をする人は、
実際に事故や災害で被害にあった場合、
賠償金をもらえて得したと思うのかと思います。

実際に事故や災害で被害にあったかたの中に、
賠償金をもらえて得したと言った人がいた、
ということは、ぜんぜん聞かないです。

被災者の中には、被災する前は「被害者バッシング」を
していた人もいることが考えられます。
よって「被害者バッシング」をする人は、
自分が実際に被害にあったら「賠償をもらえて得をした」
と言うことはないものと思います。


>要は妬みと想像力の欠如です)

自分が被害にあうまでわからないのでしょうね。
そして被害にあったら、今度は人一倍被害者意識を
あらわにするのではないかと思います。
ようは自己中心的ということです。


>被害者側へのバッシングが病院・保育所・学校の事故では見られ、
>航空機事故の場合ほとんど見られないことについて、

わたしにもよくわからないですが、
彼らにとって、航空会社は「強者」や「体制」として
身近に感じられないからかもしれないです。
政府や自治体、病院や学校は「強者」「体制」として
身近に感じられるのでしょう。

わたしも彼らの精神構造にくわしいわけではないので、
正確に把握していない可能性もあります。


>どう合理的な説明がつくのでしょうか?

前のコメントでもお話していますが、彼らの行動様式は
劣情に訴えるもので、整合性なんてないです。
よって「合理的な説明」なんてできないしろもの、
ということではないかと思います。

せいぜいが「この場合はこう」「その場合はああ」と、
個別に現象を説明していくだけだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月16日 06:47
またまたご返信ありがとうございます。

>わたしにもよくわからないですが、
彼らにとって、航空会社は「強者」や「体制」として
身近に感じられないからかもしれないです。
政府や自治体、病院や学校は「強者」「体制」として
身近に感じられるのでしょう。

それはあるのかもしれません。
航空会社相手の訴訟だとそれほど多くない被害者側への批判的意見が病院・保育所・学校等が相手の訴訟では散見される理由を自分なりに推察してみました。

まず、たんぽぽさまがおっしゃるように「身近な強者や体制側かどうか」です。
航空会社は被害者バッシングする層にとって、身近な存在か否かはまちまちでしょう。
そのため、航空機事故で訴訟を起こしても、被害者や遺族が悪いという発想があまり出てこないのかもしれません。
政府や自治体、あるいは病院・保育所・学校だと、程度の差こそあれ身近な存在でしょう。
だから「お上にたてつくのか」「お世話になった病院相手に訴訟を起こすなんて」「学校を訴えるとは恩知らずだ」等の批判的意見が出やすいのかもしれません。

その他には「前提となる安全の水準の違い」があると思います。
航空機は、事故がなく、安全であるべき環境。
そのため、急病等を除き、事故が発生した=航空会社の責任。
病院・保育所・学校は、安全であることが望ましいが、一定の割合で事故が起こり得る環境。
多くの人にとって、航空事故に遭うより、病院・保育所・学校で事故に遭う確率の方が、比較すればずっと高いでしょう。
だから、事故が発生した=運が悪かったのだから仕方がない、被害者の生命力が弱かった。
こういう風に考える人がいるからだと考えられます。
(確かに、病院・保育所・学校での事故をゼロにすることは難しいですが、だからといって被害者側への補償・賠償をおろそかにするのはいかがなものかと思います。
刑事責任の追及に関しては慎重であるべきですが…)

さらに、前述の意見への補足として「事故に個人の体質や事情が影響しやすいか」もあると思います。
航空機事故の場合、墜落すれば、不幸にもほぼ全員が亡くなってしまいます。
個人の体質や体力・知力など、ほぼ影響しません。
(航空機墜落で奇跡的に生還するのは子供が多いとか…。
また、特に先進国製の航空機の場合、墜落する確率は極めて低く、心配する必要はないくらいです)

一方、病院・保育所・学校での事故だと、場合によりますが、個人の体質や病気の経過の個人差が出やすいのでしょう。
そのため、被害者側の事情を持ち出しバッシングの材料にする、ある意味優生思想的なものが入り込みやすいからだと推察できます。
また、無痛分娩や保育所での事故の場合、一部の人が思い描く「母親とはこうあるべき」の枠に外れているから批難するというのもあると思います。

例えば、医療過誤で高齢の身内を亡くした遺族に対して「それがジジババの寿命、遺族は厚かましすぎる」
無痛分娩で障害を負った妊産婦に対し「安易に無痛分娩に逃げるから事故が起こるんだ」
保育所の事故で子供を亡くした親に対し「文句を言うなら最初から親が面倒を見れば良かったんだ」
アレルギーや障害のある子供が学校事故で亡くなった場合「弱い個体が淘汰されるのは仕方ない」
騎馬戦で子供が大怪我をした場合「最近の子供がひ弱になったからではないか」
書くのも嫌になってきましたが、上記のような書き込みを見たことがあります。

徐々に本題から外れていって失礼しました。
Posted by アイス at 2018年10月16日 21:25
>ちなみに、国際線の航空事故で死亡・障害を負った場合、
>モントリオール条約が適用されれば無過失責任で補償・賠償がされます。
>(日本はモントリオール条約加盟国です。詳しくは下記サイトをご覧ください)
>https://search.yahoo.co.jp/amp/s/amp.bengo4.com/topics/390/%3Fusqp%3Dmq331AQGCAEoATgA

ご紹介ありがとうございます。
モントリオール条約は初めて聞きました。
(航空機事故の問題に、ぜんぜん関心がなかったですが。)

2003年に発行した比較的最近の条約で、
旧来の条約をより被害者が救済されるよう
強化したもののようですね。

「反証が無いないかぎり、航空会社に過失があったと推定」
というのがポイントですね(これは旧条約も同様のようですが)。
だまっていると航空会社の責任になる、
「被害者バッシング」派には不愉快な規定かもしれないです。


被害者バッシングに興じるようなネトウヨは、
基本的に不勉強(自分にとって都合のいい
情報しか集めない)ですし、国際条約はとくに不勉強ですから、
モントリオール条約なんて知らないと思います。

条約の規定を知っても、ごちゃごちゃ理由をつけて
「反論」しようとするのではないかと思います。


>(ワタミ従業員の過労自殺裁判では、元会長など経営側が結構批判されていた記憶があります)

ワタミはたぶん大きく問題視されたこともあって、
彼らは「いくらでも叩いてよい負け犬」と、
認識したのではないかと、わたしは想像します。

体制や強者の側であっても「負け犬」になったと思ったら、
ネトウヨ諸氏はそちらを叩くということだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月16日 22:25
またまた、おじゃまします。性暴力被害のバッシングについて、最近思うこともあって述べさせていただきます。
バッシングというと、いわゆる二次被害ですよね。この二次被害という言葉は最近になって、やっとネットやテレビなどでも拡がってきた感じがしています。学校でもセクハラ相談窓口とかありますが、ほとんど機能不全のようです。そこに相談したら、かえって二次被害を受けたとか、よくききます。伊藤さんの性暴力についても国ぐるみの二次被害に思えてしかたありません。それで、最近個人的な経験から思うんですが、二次被害って、以外に親しい人からもうけますよね。家族とか、友達とか、あるときは支援者とかいう人から。信頼関係がある程度ある範囲からの二次被害も、結構キツイですね。そこから信頼関係崩れていくし。かえって味方だと思っていた人から受けると信頼していた反動で、恨みにちかい感情さえもつことがあると思います。そんな風にさせないためにも相談窓口とかあるはずなのに。それと、なかには
被害者ということにたいして、勝手なイメージをもって、あくまでもうちしがれた者、というイメージをくずされて、被害者が強かったりするとそれに、反感をもつ自称支援者というかたもいるようです。本当の支援者ではないと思ってます。伊藤さんには本当の支援者がいて良かったと思うし、今後の全うな司法判断を願ってやみません。
Posted by ミーコ at 2018年10月17日 20:09
アイスさま、またコメントありがとうございます。
こちらの返信が遅れがちで、もうしわけないです。

>たんぽぽさまがおっしゃるように「身近な強者や体制側かどうか」です。
>航空会社は被害者バッシングする層にとって、
>身近な存在か否かはまちまちでしょう。

飛行機に乗る機会がぜんぜんないようなのは、
航空会社なんて身近ではなさそうですね。

航空会社が身近になる程度に飛行機を利用する
機会が多いなら、航空事故に関して
被害者バッシングはしないでしょうね。
自分もいつ被害者になるかわからない立場ですから。

あと、航空会社は権力と結びついていると
意識しにくいのもあるかもしれないです。


>前述の意見への補足として「事故に個人の体質や事情が
>影響しやすいか」もあると思います。
>航空機事故の場合、墜落すれば、不幸にも
>ほぼ全員が亡くなってしまいます。

「飛行機=事故が起きれば全員死亡」という
イメージは強いでしょうね。
それで事故で亡くなっても、被害者バッシングにならない、
ということはあるのかもしれないです。

「飛行機に乗るのが悪い」という
「自己責任論」にもならないですね。
とくに外国は飛行機に乗らないと行けないですから、
かわりの交通手段がない以上、航空機の利用を
否定することもできないのかもしれないです。


>被害者側の事情を持ち出しバッシングの材料にする、
>ある意味優生思想的なものが入り込みやすいからだと

>無痛分娩や保育所での事故の場合、一部の人が思い描く
>「母親とはこうあるべき」の枠に外れているから

>書くのも嫌になってきましたが、上記のような書き込みを見たことがあります。

病院、保育所、学校で起きる事故は、
被害者が社会的弱者、被差別マイノリティであることが多い、
ということはあるかもしれないです。

彼らはなにをしても叩かれると決まっているのであり、
事故の被害者になったのは、むしろ叩くための
口実に過ぎないと考えられそうです。

航空機の利用者は、趣味で利用しているなら、
ある程度以上の裕福層でしょうし、
仕事で利用しているなら、ある程度以上の
知的職業についているかたでしょう。

いずれの場合でも社会的強者にカテゴリーされるので、
バッシングの対象にならないのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月17日 22:47
ミーコさま、またまたコメントありがとうございます。

>この二次被害という言葉は最近になって、
>やっとネットやテレビなどでも拡がってきた感じがしています。

二次加害、二次被害という概念は、
性暴力問題にかかわっているかたでしたら、
常識として知っていることだと思います。
それでもやはり専門性があることのようで、
一般のあいだでの認知はなかなかという感じですね。


>学校でもセクハラ相談窓口とかありますが、ほとんど機能不全のようです。
>そこに相談したら、かえって二次被害を受けたとか、よくききます。

相談窓口のスタッフが専門的訓練を受けていないのでしょう。
人材が不足しているのか、研修を受けさせるための、
予算を回さないのか、それはわからないです。

むかし小田原の生活保護担当の職員が、
受給者に対して威圧的なことをしていたことが問題になりましたが、
自治体の職員でも専門的な知識を持っていなくて、
しろうとの偏見レベルということはざらのようです。
ましてや学校のセクハラ相談窓口なんて、
スタッフはなおさらしろうとなのかもしれないです。

「生活保護・威圧のジャンパー」
http://taraxacum.seesaa.net/article/446659079.html


>伊藤さんの性暴力についても国ぐるみの二次被害に思えてしかたありません

加害者の逮捕取り消しを判断した警察や、
不起訴処分にした裁判所も「二次加害者」だと思います。


>二次被害って、以外に親しい人からもうけますよね。
>家族とか、友達とか、あるときは支援者とかいう人から。

このようなタイプの二次加害を与える人たちは、
被害者本人のためだと思っているから、さらにやっかいです。


>被害者ということにたいして、勝手なイメージをもって、
>あくまでもうちしがれた者、というイメージをくずされて、

被害者や弱者に対するステレオタイプなイメージがあって、
それに合わないと「本当の被害者、弱者でない」と
バッシングする人も、少なくないですね。

NHKの貧困に関する番組で、貧困家庭の高校生が
出演しましたが、ネットで「貧困バッシング」になったのも、
そうした弱者に対するステレオタイプなイメージを
勝手に重ねたこともあると言えます。

「子どもの貧困とバッシング」
http://taraxacum.seesaa.net/article/442040710.html


>伊藤さんには本当の支援者がいて良かったと思うし、
>今後の全うな司法判断を願ってやみません。

残りは民事訴訟ですが、国際世論も喚起されていることですし、
わたしもまともな判断がなされることを祈ります。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月18日 06:22
またまたご返信ありがとうございます。

>「飛行機=事故が起きれば全員死亡」という
イメージは強いでしょうね。
それで事故で亡くなっても、被害者バッシングにならない、
ということはあるのかもしれないです。

航空機事故の遺族や被害者に対して心無いことを言う人も皆無ではないのでしょう。
実際、日航機墜落事故の遺族に対して、賠償金に関して不謹慎なことを言う人はいたそうです。
(バラエティ番組を見ていて、そういう感じのことがあったと放送されていました)
ただ、航空機事故だと被害者側に不謹慎なことを言う人は一般的に「非常識」とされるのに対し、 病院・保育所・学校での事故だと、賠償金を求める被害者や遺族をクレーマー扱いすることが時々見られるという違いはあると思います。
(もちろん、被害者や遺族が賠償金を求めて提訴するのは当然と思う人もたくさんいるでしょう。
また、判決を出すのは裁判官であり、原告・被告のどちらかが勝訴するか、和解になるか、賠償金の金額がどうなるかはケースバイケースですが)



>「反証が無いないかぎり、航空会社に過失があったと推定」
というのがポイントですね(これは旧条約も同様のようですが)。
だまっていると航空会社の責任になる、
「被害者バッシング」派には不愉快な規定かもしれないです。

>被害者バッシングに興じるようなネトウヨは、
基本的に不勉強(自分にとって都合のいい
情報しか集めない)ですし、国際条約はとくに不勉強ですから、
モントリオール条約なんて知らないと思います。

旧条約では、航空会社に過失が無かったと判断されれば、賠償金をもらえないこともあります。
さらに、賠償金の上限額も、現代日本の基準で考えれば、とてつもなく安いです。

ちなみに、ネトウヨの中でこの条約を知っている人はそう多くないのかもしれません。
(私自身がこの条約を知ったのも、つい2ヶ月ほど前です)
ただ、知っているとしても、無過失責任で賠償が認められたら航空会社の経営が行き詰まる、被害者側が金で肥え太るのだから破棄せよとか言い出す馬鹿はほぼ見かけないと思います。
そもそも、モントリオール条約は日本、欧米先進国、中国・韓国やいくつかの東南アジア諸国などが加盟しています。
未加盟の国は途上国が多いです。
むしろ、万が一日本が未加盟だとネトウヨからも、恐ろしい、恥ずかしい、中韓すら加入しているのに等の意見が出てきてもおかしくないでしょう。
(夫婦別姓や同性婚なら「価値観の問題」と無視できても、航空機事故は人命や安全に関わる問題。
しかも、同じ条件下でも死傷してない人はいる云々と被害者の粗探しをしやすい学校事故等と違い、万が一墜落すれば皆平等に命を落とす可能性大、被害者叩きのしようがない。
そして、一般論として航空機は、電車やバスなど他の公共交通機関よりも高い安全性が求められている)
Posted by アイス at 2018年10月19日 23:44
アイスさま、またコメントありがとうございます。

モントリオール条約は渡航先が未加盟国でも、
渡航者が工夫することで、だいぶ対処できますね。

チケットを往復にするとか、国内線を含む場合も、
国際線とチケットを連続させれば、全区間で条約が適用されます。
「航空券は往復、かつ連続で購入せよ」ですね。
(わたしも覚えておくことにします。)


>モントリオール条約は日本、欧米先進国、
>中国・韓国やいくつかの東南アジア諸国などが加盟しています。
>未加盟の国は途上国が多いです。
>むしろ、万が一日本が未加盟だとネトウヨからも、
>恐ろしい、恥ずかしい、中韓すら加入しているのに等の
>意見が出てきてもおかしくないでしょう。

すでに日本は加盟しているので、
「加盟している日本は偉い」という論調になりそうだと思います。

日本が未加盟の場合は、加盟しなくていい「理由」を
ごちゃごちゃ並べ立てるのではないかと思います。
中国や韓国が加盟していても、未加盟でよい「言いわけ」を
するのではないかと、わたしは想像しますよ。

ネトウヨなんて「欧米諸国はほとんど加盟してない」
くらいのうそは、平気で言える連中ですし。


>夫婦別姓や同性婚なら「価値観の問題」と無視できても、

女子差別撤廃条約や、自由権規約、社会権規約といった条約は、
開発途上国が加盟していも、中国や韓国が加盟していても、
ネトウヨ諸氏は平然と離脱を主張しかねないですね。

自分にとって気に入らなければ、
日本が国際社会から取り残された遅れた国でも、
ぜんぜんかまわない、ということだと思います。
むしろ「それでも日本が遅れていない理由」を
ごちゃごちゃ並べ立てると思います。
Posted by たんぽぽ at 2018年10月20日 20:56
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