抑制していることが発覚して問題になっています。
文部科学省はほかの医学部でも、入学試験で同じような
不正がないかどうか、調査を行なうことになったのでした。
「他の医学部でも不適切入試の疑い 東京医大問題で国調査」
(はてなブックマーク)
「複数医学部、入試で男女に差を設定 大学名は明言せず」
(はてなブックマーク)
東京医科大の不正入試問題を受け、文部科学省が
全国81大学の医学部医学科を対象に実施している調査で、
他の大学でも不適切な入試が疑われるケースが
あったことが、関係者への取材でわかった。
文科省は引き続き大学側に説明や資料提出を求めており、
月内に最終結果を公表する方針だ。
柴山昌彦文部科学相は12日の会見で、文科省が全国81大学の
医学部医学科を対象に実施している入試をめぐる調査で、
「複数の大学で性別や浪人年数で合格率に差をつけたり、
特定の受験生を優先的に合格させたりしていると
みられる事例があった」と明らかにした。
やはりというか女子の入学試験合格者数を抑制するという
ジェンダー差別的な恣意的操作をしている大学医学部は、
ほかにもまだまだあるようです。
東京医科大学は点数操作が発覚した際、
同じような点数操作で女子の合格者数を抑制することは、
ほかの医学部でもなされていると言っていました。
「東京医科大 女子受験者の点数を一律10%以上減点の年も」
東京医科大学が女子の合格者の数を抑えていたことについて、
複数の医療関係者は「合格者の男女の割合を調整することは、
ほかの一部の医科大学でも行われている」と証言しています。
医師国家試験の合格者のジェンダー比を見ると、
2003年から女性の割合は、30数%程度で頭打ちになっています。
これも入学試験で女子の合格者数を抑制する操作は、
多くの医学部でなされていると考えられる
状況証拠となっていました。
「医師国家試験合格者のジェンダー比」
このようなうわさや状況証拠で言われていた、
ジェンダー差別的な入試の操作は本当になされていることを、
文部科学省の調査によって、直接的に確認したことになります。
柴山昌彦文部科学相や文部科学省は、入学試験で差別的な
不正がある大学医学部を、すでに把握しているようです。
すぐには不正のある大学名を公表せず、
まずは大学から自主的に公表することを呼びかけています。
そして自主的な公表をしなかった大学は、
年内をめどに文部科学省から発表する予定です。
すでに入試不正が判明している東京医科大を除く
80大学を訪問調査し、年内をめどに結果を公表するという。
柴山氏は、疑いがもたれている大学名を明らかにせず、
大学側の自主的な公表を求めた。
入学試験で差別的な不正をしてきたことを
公表するのかしないのか、大学の自主的な判断を期待する、
まがりなりにもそうする機会を与えるということです。
これはちょっと興味深いやりかただと思います。
自主的に発表した大学より、そうしなかった大学のほうが、
あとでより厳しい処分を受ける可能性は予想されます。
ただ自主的に発表することで、具体的にどれだけ
ペナルティが軽減されるのかはわからないです。
よって自主的に発表するかしないかは「賭け」になります。
自主的に発表した大学は、そうしなかった大学より、
いくぶんは社会的評価がよくなると考えられます。
これがどの程度になりそうか、ということもあると思います。
文部科学省は入学試験で不正があった医学部を
すべて把握しているのはたしかでしょう。
それゆえ自主的に発表しなかったとしても、
いまさら隠すことはできないでしょう。
もしかすると文科省にばれていないかもという
可能性を期待するのは、ほとんど悪手だと思います。
ジェンダー差別的な恣意的操作をしている大学医学部は、
ほかにもまだまだあるようです。
平成のうちに、悪い膿を出し切ってほしいです。
ところで、先日バラエティ番組を見ていたら、林修氏がこんなことを言っていました。
(発言内容を詳細に把握しているのではありませんが、次のような中身でした)
「医師1人養成するには多額の税金がかかる。
現役で入った学生と多浪で入った学生は、卒業後、社会への還元の度合いが違う。
それに、私大医学部を受けられる余裕がある家庭出身なのは、医学部受験生の3%くらいだろう。
そういった家庭による所得格差の方が、女子や多浪生への点数操作云々より大きな問題であり、私大医学部を受験できるだけ恵まれている」
この林氏の発言は詭弁だと思います。
表向き公平を謳った入試を「女子」「多浪生」という属性だけで差別しているといった問題を、「国民の税金」や「所得格差」を引き合いに出して矮小化しようとしているのですから。
生まれ育った家庭の所得格差を問題視したいなら、大学を含めた教育無償化、大学授業料の引き下げ、奨学金制度の充実などの方面で訴えるのが筋でしょう。
(女性差別と多浪生への差別を同等に扱うべきかは意見が分かれそうですが)
ちなみに、林氏の妻は産婦人科医です。
私は林氏の出ている番組は時々見ているのですが…。
>平成のうちに、悪い膿を出し切ってほしいです。
やることは、実態を明らかにする、被害者に補償する、
再発を防ぐための政策を講じる、の大きく3つだと思います。
平成のうちは時間的にちょっと無理かなと思いますが、
できるだけ早く解決と改善をしたいものです。
>この林氏の発言は詭弁だと思います。
詭弁というか、論点のすり替えを感じますね。
「女子や多浪生を理由に点数操作で不利に扱われていても、
医学部を受験できるなら、それだけで恵まれている
ということだからいいだろう?」と言いたげにも思います。
所得格差も女子の受験を不利にしていることは、
林修氏はどう考えているのかと思います。
東京大学の学生の親の年収分布を見ると、あきからに男子学生より
女子学生のほうが親が高年収側に多くなっています。
「東大生の家庭の年収分布(2)」
http://taraxacum.seesaa.net/article/460244828.html
全国の医学部で同様の調査をしても、
やはり「男子<女子」という結果になるだろうと思います。
>生まれ育った家庭の所得格差を問題視したいなら、
>大学を含めた教育無償化、大学授業料の引き下げ、
>奨学金制度の充実などの方面で訴えるのが筋でしょう
親の所得格差を問題にするなら、ぜひ大学授業料の引き下げや
奨学金の充実を強く主張してほしいものです。
女子や浪人生を点数操作で不利に扱うのを
擁護するときだけ「所得格差のほうが大事」なんて
言って持ち出してはほしくないですからね。
>ちなみに、林氏の妻は産婦人科医です。
医療関係者で点数操作を擁護する人も
結構見受けられるのですが、そのような人は、
既得権を維持したいというのもあるのかもしれないです。
再発を防ぐための政策を講じる、の大きく3つだと思います。
平成のうちは時間的にちょっと無理かなと思いますが、
できるだけ早く解決と改善をしたいものです。
時間がかかっても、この3点は行うべきことです。
>詭弁というか、論点のすり替えを感じますね。
「女子や多浪生を理由に点数操作で不利に扱われていても、
医学部を受験できるなら、それだけで恵まれている
ということだからいいだろう?」と言いたげにも思います。
こういった論点のすり替えは「犠牲の累進性」と似ていると思います。
「犠牲の累進性」とは、作家・活動家の雨宮処凛氏が社会学者の入江公康から教わり、提唱した言葉です。
下記のブログは貧困問題についてのものですが。
http://www.magazine9.jp/karin/100825/
>親の所得格差を問題にするなら、ぜひ大学授業料の引き下げや
奨学金の充実を強く主張してほしいものです。
そう思います。
>時間がかかっても、この3点は行うべきことです。
問題は現政権がどこまで熱心にそれらを行なうかですね。
現政権はジェンダー平等には消極的、否定的ですから、
こうした問題には積極的に取り組みたがらないのではないか、
という懸念があると思います。
現在のところ積極的だと思いますが、
それは3つの中でもっともやりやすい
「実態を明らかにする」だからというのもあると思います。
「被害者に補償する」「再発を防ぐための政策を講じる」になると、
熱心さは下がるかもしれないです。
>こういった論点のすり替えは「犠牲の累進性」と似ていると思います。
>下記のブログは貧困問題についてのものですが。
>http://www.magazine9.jp/karin/100825/
ご紹介ありがとうございます。
「犠牲の累進性」は、日本人で好きな人は多そうです。
(外国でも「犠牲の累進性」を持ち出す人は
いるのでしょうけれど、日本人ほど頻繁かつ
受け入れられやすいかどうかはわからない。)
記事中の例に出ている、開発途上国と比較して
「日本は暮らしやすい先進国だ、開発途上国の貧困と比べたら
日本の貧困なんてたいしたことない、
だから生活が苦しいなんて文句言うな」
という主張なんて、よく見かけると思います。
開発途上国との比較は、「日本は先進国」という
少なくない日本人の信じている「うぬぼれ」に加えて、
ナショナリズムに訴えるので、貧困を訴える人を
だまらせられることに加えて、心地がいいのでしょう。
「犠牲の累進性」を為政者が意図的に行なった例と言えば、
徳川幕府が部落を作ったことがあると思います。
農民、町人の下に被差別階層を作り、
「こいつらとくらべたら、自分たちはまだ恵まれている」と
農民や町人に思わせることで、幕府や武家に対する
不満をそらそうとしたことです。
日本史の授業でこれを習ったとき、こんなやりかたで、
本当に不満をそらせられるのかと、わたしはいぶかったのでした。
「犠牲の累進性」がおためごかしになりやすい
日本人の精神構造なら、じゅうぶん有効だったのだと思います。
ご紹介の記事、最初のほうで西部邁氏が出てきますね。
この人、シングルマザーに対して、とんでもないことを言っています。
http://www.magazine9.jp/karin/100825/
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私自身は、家族が最初で最後のセーフティネットになっていて、
結局問題が家族に丸投げされていることや、
シングルマザーの実態などについて、話をさせて頂いた。
他の出演者は吉岡忍氏や西部邁氏など。
で、ショックを受けたのは、児童虐待の話の時、
西部氏の口から発された「産み散らかして」という言葉だ。
何か、すごい言葉じゃないだろうか・・・。
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西部邁氏は選択的夫婦別姓問題に関しても、
「さなぎから蝶に変態するように、女は結婚改姓を望む」
という主旨のことを言う、えげつない人です。
それを考えれば、シングルマザーに対して
これくらいのことを言っても、意外性はないです。
「評論家の西部邁死去・入水自殺?」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/456426247.html
「恐妻家の反対論?」
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/against/henpecked.html
西部邁氏に関しては、選択的夫婦別姓に関する見解以外
わたしはぜんぜん知らなかったのでした。
ほかの問題で西部邁氏がなにを言っているか、
はじめて拝見することができましたよ。