2018年10月25日

toujyouka016.jpg 選択的夫婦別姓反対は人権侵害(3)

10月23日エントリの続き。

「四条烏丸(旧:もも281)」は、「選択的夫婦別姓に
反対することを差別だと言う人は、ツイッターで数人しかいない」
という主旨のことを言っています。

それは当たり前のことなので、わざわざ言うことではないから、
通常は言わないだけだと思います。
「相対性理論は正しい科学理論である」とわざわざ言う人を、
めったに見かけないのと同じ理由でしょう。

 

「四条烏丸」のこのツイートは「選択的夫婦別姓に
反対することは差別や人権侵害でないというなら、
根拠を示せ」
というものに対してです。

「差別と言う人がいないから、選択的夫婦別姓に反対することは
差別でない」と、「四条烏丸」は言いたいのでしょうか?
それなら「正しい科学理論」と言う人がいないので、
相対性理論は間違っていることになりそうです。


選択的夫婦別姓の導入は、国連女子差別撤廃委員会が
日本に対して繰り返し勧告していることです。
「差別をなくせ」と言っている機関が要求するのですから、
選択的夫婦別姓の導入に反対することは
「差別である」ということにほかならないです。

「CEDAW日本審査・民法改正」

女子差別撤廃委員会の報告書を見ても、
「差別的法規(Discriminatory laws)」のカテゴリに
現行の夫婦同姓の強制を入れています。
やはり選択的夫婦別姓に反対するのは差別です。

差別的法規および法的保護の欠如

12. 差別的規定を撤廃するという見地からの前回勧告が
実行されていないことを、委員会は遺憾に思います。
委員会はとりわけ以下に関することを指摘します。

(c) 2016年12月25日、最高裁は民法750条の憲法判断に置いて
夫婦同氏を要求することを合憲としたが、
現実にはほとんど女性が夫の氏への改氏を強いられる。


国連女子差別撤廃委員会以外にも、選択的夫婦別姓に
反対することを「差別」「人権侵害」と、はっきり言う人はいます。
「言うべき文脈のときは言う」ということです。

2011年の女子差別撤廃委員会へのフォローアップの際の、
NGOから送った文書を見ると、選択的夫婦別姓は
「人権に関わる」と言っていて、選択的夫婦別姓の実現を
人権の保障としていることがわかります。
また選択的夫婦別姓に反対の公約を掲げることを
「人権侵害を公約に掲げる」と、はっきり言っています。

「CEDAWフォローアップ」
「CEDAWフォローアップ(2)」
「国連女性差別撤廃条約へ送付した NGOレポート」

35年以上も民法改正を求める請願が出されながら、
唯一の立法機関である国会が、人権に関わる請願を
これほど長く放置し続けていることは極めて問題であり、
立法不作為の責めは免れない。
民主党は、民法改正について閣議決定をしない理由に、
連立のパートナーである国民新党が夫婦別姓反対の
選挙公約を掲げ、反対していることを挙げている。
改姓を望まない人にも改姓を強制することは人格権を侵害するものである。
これまで民法改正を公約に掲げ、度々法案を提出しておきながら、
人権侵害を公約に掲げる政党の主張を優先することは許されない。


2017年の衆院選で、立憲民主党は選挙公約で
「あらゆる差別の禁止」としていくつかの項目を並べています。
その中に「選択的夫婦別姓の実現」があります。
これは選択的夫婦別姓に反対することは差別であると、
言っているということです。

「立憲民主党・ジェンダー政策」

個人の権利を尊重し、ともに支え合う社会を実現します


2015年12月に放映されたNHKのクローズアップ現代でも、
選択的夫婦別姓を認めず、夫婦同姓を強制することは
女性差別であると、複数回述べています。

「家族の名字どう考えますか?」
「同姓強制と女子差別撤廃条約」
「家族の名字 どう考えますか? 〜“夫婦別姓”のゆくえ〜」

国連の女子差別撤廃委員会からは是正を求められています。
別姓を認めない日本の制度を“差別的だ”と批判しています。
例えばドイツなんですが、夫婦のどちらかの名字を選ぶ。
ただ、決まらない場合は、夫の姓にするという
ルールがあったんですけれども、やはり女性差別だということで、
1990年代に見直されました。


2015年11月2日の朝日新聞の選択的夫婦別姓が
最高裁大法廷回付に関する記事の中で、
千葉景子氏は選択的夫婦別姓は人権問題だと言っています。
これも選択的夫婦別姓に反対することは
人権侵害であると言っているということです。

「民法改正・民主党政権の閣僚」
「どうして夫婦同姓なの(3/3)」(全文)

この問題は、別姓を名乗りたい少数者の人権問題だととらえる必要がある。
いまの政府では、改正案を出す雰囲気にはならない。
最終的に、人権を救済できる機関は裁判所だけだ。


2016年5月に日本弁護士連合会が主宰する、
選択的夫婦別姓に関する院内集会がありました。
ここで山尾志桜里が「選択的夫婦別姓を認めないことは差別」
という主旨のことを言っています。

「日弁連・民法改正の院内集会」
「枝野幹事長「当たり前のことが当たり前のように通るように頑張る」
夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間に関する民法改正を求める院内集会」


差別している人は差別していることに気づかない。
ぜったいにあきらめないで道理を通さないといけないと思う。
無理が通った分、道理が引っ込む。
夫婦同氏の強制はおかしい、選択できる社会をつくっていきましょう。
みんなでどんな立場を超えてワンボイスで社会にむかって
道理を正義を公正を問いかけていきたい」と力強く会場に呼びかけた。


2016年8月24日のウェブマガジン『マガジン9』で、
選択的夫婦別姓について取り上げられました。
ここで選択的夫婦別姓は人権の問題と言っています。
選択的夫婦別姓に反対することは人権侵害ということです。

また現行民法がさだめる夫婦同姓の強制を
「差別的な法律」「差別的な規定」と言っています。
選択的夫婦別姓に反対することは差別ということです。

「夫婦別姓・少数派の権利と世論調査」
「「選択的夫婦別姓」はなぜ今もって認められないのか?−−別姓訴訟と24条」

本当は、世論調査で「選択的夫婦別姓に
賛成が何パーセント、反対が何パーセント」というのは
意味がないと私たちは思っているんです。
人権の問題なので、「多数の人が別姓をよくないと
思うからダメです」ということではないはずです。
元々の訴えは、別姓を選べない現状に苦しむ
原告の女性たちが、差別的な法律を放置してきたことへの
国の怠慢=「立法不作為」を問い、国家賠償を求める内容です。
このまま世代交代が進めば、自然に家族に対する意識も変化するでしょう。
今の民法に残る差別的な規定が憲法上問題と認識され、
改正されるのも当然の流れだと思います。


このように選択的夫婦別姓に反対することは
「差別」「人権侵害」であると言うかたはたくさんいます。

選択的夫婦別姓に反対することを、
差別や人権侵害と言う人は「ツイッターの数人じゃない?」
などと「四条烏丸」は言っています。
それは選択的夫婦別姓問題にかかわるかたを、
「四条烏丸」はツイッターでしか見ないからだと思います。

つまり「四条烏丸」が「ツイッター弁慶」だから
「ツイッターの数人」しか言っていないように
見えるということだと思います。
ツイッターの外の社会はずっと広いです。
もっと幅広く社会を見回してもらいたいものです。

posted by たんぽぽ at 06:34 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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