2018年11月24日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓訴訟・事実婚の不利益

これもだいぶ前の話題で恐縮ですが、
夫婦別姓訴訟の第二回口頭弁論が10月1日に
行なわれたことと、その原告のかたのお話です。

「夫婦別姓訴訟、大事な名前を変えたくないと事実婚「わがままと言われ理不尽な思い」」

 
この訴訟は、2015年に最高裁まで争った
選択的夫婦別姓訴訟の判決を受け、今年5月に新たな争点で提訴されたもの。
夫婦同姓を義務付けた民法750条は、同姓を希望する者と
別姓を希望する者を差別し、結婚の可否を生じさせていると主張、
「信条」による差別を禁止している憲法14条1項に
違反するなどと訴えている。国は争う姿勢を見せている。

この日は新たに今年7月、原告グループに加わった、
事実婚歴15年という白石昌美さんが意見陳述を行った。

この訴訟は4件ある夫婦別姓訴訟のうち、
2番目に提訴されたもので、2015年の最高裁判決を受け、
争点の内容を変えて新しく提訴したものです。

「もうひとつの夫婦別姓訴訟」

原告のかたのエピソードは、ごくスタンダードな
名前に対する思い、気持ちだと思います。
これから結婚後の名字の問題や、選択的夫婦別姓問題について
調べようというかたは、はじめはこのような
お話から聞くといいのだろうと思います。


原告のかたは結婚しても改姓せず、自分の名字を守るために、
事実婚をなさっているのですが、事実婚の不利益として
周囲の人たちが理解しないことを挙げています。

15年にわたり、法律婚と変わりない家庭生活を送ってきたが、
一方で白石さんは法律婚との違いも感じるという。
例えば、法律婚であれば単純に祝福して
もらえたかもしれないが、事実婚はすぐに周囲の
理解が得られず、精神的な葛藤を余儀なくされた。

「周囲からは『わがまま』と言われ理不尽な
思いもしました」と白石さんは語った。
「私が我慢してパートナーの氏を名乗るというような
不平等な関係は私の望む夫婦関係ではありませんでした」

事実婚の不利益と言われると、相続や配偶者控除の
ことといった法律や制度上の問題とか、
生命保険や住宅問題で配偶者とみなされないといった、
社会的な認識の問題があると思います。
もちろんこれらも重要なことです。

「事実婚のデメリット」
「法律婚でないことの不便」

もっと身近なところに「周囲からの無理解」という
深刻な不利益が、実はあると言えます。
制度や民間のサービスはそれを利用する人だけ関係することですが、
「周囲の人たち」はだれにでも存在するので、
かならず考えられる不利益であると言えます。

また周囲の人たちとはつねづね関わりますから、
恒常的にストレスをかけられると言えます。
選択的夫婦別姓や事実婚の最大の不利益は、
やはり「反対派の存在」ではないかと思うところです。


11月20日エントリで、夫婦別姓の家庭に育った
子どもたちによる座談会記事を見ましたが、
事実婚はわかりやすい説明をしにくいから、
周囲を理解させにくいという指摘がありました。

「夫婦別姓で子どもがいじめられる?」
「親が夫婦別姓、子どもの本音を聞いてみた「困ることはない。以上」」

選択的夫婦別姓よりも、今の事実婚の方が
いじられやすいんじゃないでしょうか。
法律婚の方がスタンダードだという社会だから、
「事実婚」があんまり理解できず、デリカシーなくズカズカ聞いてくる。

別姓が導入されて「うちの親は結婚して、
別姓を選択したんだよ」とストレートに説明できるようになれば、
逆にいじられる要素が減ると思います。

スタンダードからはずれていることに加えて、
「理解させにくい」ことが、周囲の人たちによる
不利益をもたらしている一面はありそうです。

posted by たんぽぽ at 23:46 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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