2018年11月30日

toujyouka016.jpg 医学部不正入試・日本社会の今後

11月18日エントリの続き。

東京医科大の点数操作についての山口一男氏の記事です。
今回はいちばん最後にある重要な指摘を見たいと思います。

「東京医科大学の入試における女性差別と関連事実 ― 今政府は何をすべきか」

 
今回の事件は、日本が本当に男女の教育や雇用の
機会の均等を達成しようとする国なのか、
それとも法は単なる飾り物で、実際は女性差別の事実が明確でも
容認する国なのか、を識別する重大な試金石である。

東京医大の女性差別はすでに米、英、カナダなど
英文圏を初め世界で広く報道された。
今回の事件の対応に誤れば、いくら政府が
「女性の活躍推進」を唱えようと、国際女性会議を日本で開こうと、
「女性活躍推進法」を制定しようと、
女性差別のない社会を日本が本気で目指している
などとは世界中が信じないであろう。

東京医科大学の点数操作は、日本が本気でジェンダー差別を
解消しようとする意識や姿勢があるかを示す
重大な試金石だとしています。

かなりなまでに明確で悪質で、ほかに例がないような
ジェンダー差別が起きているという状況です。
日本政府や日本社会が積極的に対策を講じなければ、
実は日本はジェンダー差別を温存したいのだと思われても、
文句が言えないと思います。

日本政府や日本社会は、医学部入学試験の
点数操作問題は、それくらい深刻なことだということを、
認識する必要があるのだと、わたしは思います。


現時点では文部科学省や文部科学大臣は、
全国の大学医学部を調査して、入学試験で不正が
行なわれている疑いのある大学を把握するなど、
積極的な対応をしていると言えます。

「ほかの医学部でも入試で男女差」
「東京医科大・点数操作の調査」

政府としてはこの件は、文部科学省と文部科学大臣に
任せているという感じがします。
首相や官邸が医学部入試の点数操作について、
なにか議論や行動をしている様子はないからです。

「女性活躍」をまがりなりにも売りにしている
安倍晋三首相は、この問題を政権レベルで取り上げ、
対策を講じる必要を、感じていないのかと思います。

(よくわかっていない人や、差別意識のある人が
くちばしを挟んで、よけいな負担を増やすよりは、
適切に対処できる人たちだけで対策するほうが
ずっとましではあると思いますが。)


国際的信頼の問題ですが、日本はこの問題に関しては
すでに信頼なんてなくなっているのではないかと思います。
日本はジェンダー差別のひどい国だというのは、
外国人であっても多少事情に詳しいかたには、
すでに周知の事実になっていると思います。

「世界中が憧れないこの日本」

そうした外国人であれば、東京医科大学の点数操作も、
「日本ならそういうことが起きても意外ではない」と
思ったかたが多いのではないかと、わたしは思います。

伊藤詩織さんのことも国際的に知られるところと
なりましたし、このところの日本はごまかせないレベルで
ジェンダー差別を露呈させていると思います。
もはや「日本の秘められた恥」ではなく、
「日本のよく知られた恥」ではないかと思います。

「性暴力被害者が「亡命」する国(2)」


政府や世論が積極的にジェンダー差別を
解消しようとして行動すれば、「日本の政府や世論には、
差別をなんとかしたい意識はちゃんとあるのだな」
ということは、国際社会に伝わると思います。

そしてそうであれば、現実にはジェンダー差別が
なかなか解消しなくても、日本の政府や世論は
国際的信頼だけはつなぎとめることができると思います。

問題は、いまの日本の政府や世論は、
国際的信頼をつなぎとめられる程度に、
東京医科大の点数操作をはじめとするジェンダー差別を、
問題視したり対処していると言えるかです。

posted by たんぽぽ at 06:26 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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