2018年11月30日

toujyouka016.jpg 大学院生の女子の割合の国際比較

11月28日エントリで、「ヒラリー」が大学院で
女性論を研究する女性は面倒だ、などと言っている
コメントを見てみました。

「風俗嬢について調べてみた」

問題の女性論を研究する元AV女優のかたですが、
東京大学は大学院からで学部はべつの大学だったとあります。
これについて「ヒラリー」が妙なことを言っています。

 
8. ヒラリー 2016年02月18日 08:52

正確には東大卒でなく東大に落ちて、
ワンランク下の大卒でインタビュー当時は大学院生ですね。
某大学となっていて具体的には不明ですが。
余談で東大も東大に入るより東大大学院に
入る方が簡単というのは有名ですね。
学歴ロンダリングと言われるようですが、
こういう例を見ても国際評価で日本は女性の大学院卒が少なく減点?
これもこれで、そういうことに騙されないようにという一例と思います。

上記コメントで「ヒラリー」はなにを言いたいのか、
これをご覧のかたにはわかるでしょうか?
「ヒラリー」の文章が論旨不明瞭なのは、
いまに始まったことではないです。

おそらく「大学院からなら女子でも入学しやすいから、
日本は女子が大学に入学しやすい国ではない。
よって日本は女子学生の割合が低くても、
ジェンダー差別があるわけではない」とでも
言いたいのではないかと思います。


学力という直接的な理由で、学部より大学院からのほうが
入学しやすいのは、男子にとっても女子にとっても同じです。
この点に関しては、女子だからといって
取り立てて入学しやすいことはないです。

「ヒラリー」はくだんのもとAV女優のかたをもって
「大学院からの入学は女子でも容易だ」とか、
「女子のほうが男子より大学院入学は容易だ」
とでも思っているのでしょうか?


日本は女子学生が男子学生より少ない、世界中でほぼ唯一の国です。
そして日本で女子学生が少ない理由は、

1. 大学教育を受けることに経済的負担がかかるので、
教育の経済的リソースを娘より息子優先にする家庭が多い。

2. 女子は浪人したり、自宅から離れて
独り暮らしをすることに制限がかかりやすい。

3. 高等教育は女子には重要でないとか、
必要でないという因襲的カチカンの存在。

といったことが考えられます。
これらはすべてジェンダー差別であることは言うまでもないです。

「大学進学率のジェンダー比較」
「東大以外の学生のジェンダー比」
「教育の機会のジェンダー差」

1.に関しては、日本は大学の授業料が高く、
奨学金が貧しいという、OECD加盟国唯一の国です。
これが女子学生のほうが男子学生より少ないことは、
日本だけの「特殊事情」になるゆえんです。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」




大学院生にかぎった場合を見てみることにします。
博士課程に入学した女子の割合は、日本は31%です。
OECD平均は48%、日本以外の国はすべて40%以上です。

「女性の活躍推進に向けた高等教育の課題」

OECD諸国の大学院(博士レベル)入学者の女性割合

修士課程のデータは、このPDF資料に出ていないので、
出典の「Education at a Glance 2016」の
「C3.3」の表を直接参照します。
修士課程に入学した女子の割合は日本は34%です。
OECD平均は56%で、日本の次に女子の割合が低い国は44%です。

「Indicator C3. How many students are expected to enter tertiary education?」






修士課程、博士課程のともに、日本は他国から
飛び抜けて女子学生が少ない国ということです。
女子学生が少ないのは学部だけではないことになります。

これは日本は学部のレベルで、すでに女子学生が
他国より少ないことに加えて、女子が教育を受けることが
抑制される理由である上述の1.-3.が、
上の学位ほど強く影響するからだと考えられます。

日本にはジェンダー差別があるがゆえに、女子の大学院への
進学が抑制されることは、あきらかだと思います。


「ヒラリー」は最初に引用したコメントで
「そういうことに騙されないように」と言っています。
だれがなにをどう騙すと思っているのかと思います。

「ヒラリー」こそ「大学院は女子でも入学しやすいから、
日本にジェンダー差別はない」なんて言説を広めて、
世の中の人たちを騙したりしないでほしいです。

posted by たんぽぽ at 06:34 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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