2018年12月08日

toujyouka016.jpg 医学教育機構・東京医科大の認定取り消し

少し前ですが、医学校が国際水準を満たしていることを
評価する民間機関「日本医学教育評価機構」が、
東京医科大学を認定から取り消すことを決定しました。

「評価機関が東京医大の認定取消し」
(はてなブックマーク)

認定取り消しはもちろん、入学試験を点数操作して
女子の合格者を抑制していた
ことが理由です。

「東京医科大の女子合格者の抑制」

 
NHKの報道はあまり長くないので全文を引用します。

不正入試が明らかになった東京医科大学について、
医学部のある大学を評価する民間機関は、
教育機関として不適格だとして国際水準を満たす
という認定を取り消す決定をしました。
この認定制度は去年から始まりましたが、
取り消されたのは東京医科大学が初めてです。

全国の医学部のある大学は、民間の大学評価機関
「日本医学教育評価機構」から教育内容やガバナンスなど
9つの観点で評価をうけ、国際水準を満たしていれば、
認定を受けられることになっています。
関係者によりますと、22日開かれた機構の理事会で、
一連の不正入試が明らかになった東京医科大学に対して
「教育機関として不適格だ」として認定を
取り消す決定をしたということです。

この認定制度は去年始まり、機構には全国80の
医学部のある大学が会員となっていますが、
認定が取り消されたのは東京医科大学が初めてです。
これにより、東京医科大学の学生や卒業生は、
アメリカで医師免許が取得できなくなる可能性があるということです。


「日本医学教育機構」は高い医療水準を保証するために、
医学教育の質を国際的レベルで評価する機構です。

https://www.jacme.or.jp/about/index.php
我が国の医学教育の質を国際的見地から保証することによって、
医学教育の充実・向上を図り、我が国の
保健、医療、福祉、衛生、並びに国際保健に貢献するため、
医学部・医科大学等における建学の理念を確認するとともに、
世界医学教育連盟(WFME)の国際基準をふまえて
医学教育プログラムを公正かつ適正に
評価することを目的とする。〜定款より引用〜


医学教育の関係者のあいだに、2023年問題なるものがあります。
これはアメリカ合衆国の医師国家試験受験資格審査
NGO団体(ECFMG)が、「2023年以降は、国際基準で認定を
受けた医学校の出身者にしか申請資格を認めない」
という方針を発表したというものです。

医学教育をめぐる海外の動向と2023年問題

一方、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア等の
欧米諸国では、Medical Councilや医学校協会等が中心となって、
医学教育の分野別評価を10年以上も前から実施しており、
また、韓国、台湾、タイ、マレーシアなどのアジア諸国においても、
自主的に医学教育の分野別評価が実施されています。
このような世界的趨勢のなか、2010年9月に、
米国医師国家試験受験資格審査NGO団体(ECFMG)から、
「2023年以降は、国際基準で認定を受けた医学校の
出身者にしか申請資格を認めない」との通告がありました。

このことを、上記のようなグローバル化に対応し、
国際的に通用する医師養成制度を確立すべきとの警鐘と受け止め、
これを機に全国医学部長病院長会議(AJMC)内に
「医学教育質保証検討委員会」が組織され、
医学教育分野別評価制度の確立に向けた議論を開始しました。
同時に文部科学省とも協議し国際的にも通用する
医学教育の質保証の仕組みづくりを目指すこととなりました。

それで世界各国は、国内の医学校を評価する機構を設け、
国際基準を満たすことを対外的に示すことになりました。
そうしないと、国内の医学校を卒業していても、
アメリカ合衆国で医師の資格が取れなくなるからです。

医学教育のグローバル化に、日本も対応する必要があります。
日本国内の医学校が国際基準を満たすことを示すために、
「日本医学教育機構」が設けられることになりました。


東京医科大学は「日本医学教育機構」からの
「国際水準を満たす医学校」の認定を取り消されたわけです。
これによって、東京医科大学を卒業したかたは、
日本国内で医師免許を取得しても、アメリカ合衆国では
医師免許を取得できない可能性が出てくることになります。

上述のように、世界の多くの国が、アメリカ合衆国の
ECFMGのシステムを利用しています。
よって「日本医学教育機構」の認定を取り消された
医学校を出ている場合、システムを利用しているほかの国でも、
医師免許を取得できない可能性があることになります。

この認定取り消しは、医師免許の取得だけでなく、
医学の研究者がアメリカ合衆国をはじめ
外国へ留学する際にも、影響が出ることが考えられます。
「日本医学教育機構」の認定を受けられないことは、
実質的に世界の医学界から締め出されると考えていいと思います。


東京医科大学が「日本医学教育機構」からの
認定を取り消されたことや、アメリカ合衆国のECFMGとの
関係について解説しているツイートがあります。



この認定はアメリカ合衆国の2023年問題を
受けてのものなので、「日本医学教育機構」による
評価認定が始まったのは昨年からです。
東京医科大学の点数操作が発覚したのは、
評価が発足して2年目のことになります。

文部科学省は全国の大学医学部を調査し、
大学入試で不正をしている疑いのある医学部を把握しています。
これらの大学医学部も不正の事実が確認されしだい、
認定を取り消される可能性があります。

「ほかの医学部でも入試で男女差」
「東京医科大・点数操作の調査」

評価機関が東京医大の認定取消し|NHK 首都圏のニュース

教育機関として不適格って、そりゃそうだけど、差別と不正の代償は大きかったね…。他の大学も戦々恐々だろうな

2018/11/23 00:05


posted by たんぽぽ at 22:36 | Comment(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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