「選択的夫婦別姓に反対することは差別や人権侵害だ」と
言っているかたの例を、わたしはいくつか挙げていました。
差別や人権侵害だと言っている人はいないと
「四条烏丸」は思っているからです。
「選択的夫婦別姓反対は人権侵害(3)」
「選択的夫婦別姓は人権問題」
わたしが挙げた例は、比較的最近のものばかりだから
だと思いますが、「四条烏丸」は「2年から3年前の
ネタ引っ張り出して」と言って嘲笑してきました。
申し訳ないですがこれだけしか主張されてないんでしょうか?(苦笑) 数も少ないしいずれも2年から3年前のネタ引っ張り出して(笑) 夫婦同姓は世の中の感心ないし人権侵害とは考えてないことの表れです。 pic.twitter.com/2kpOGTBngE
— 四条烏丸 (@nanaarek20) 2018年12月2日
もっとずっとむかしから、選択的夫婦別姓に
反対することは差別や人権侵害だと言っている例も
もちろんあるので、いくつか示したいと思います。
『結婚と家族』(福島瑞穂著、岩波新書)の
III章3節「夫婦同姓の問題点」には、結婚改姓を強要することは、
氏名権という人格権を侵害するという主旨の記述があります。
氏名権が人格権であるとすると、結婚をするときに
夫婦の一方が必ず姓を捨てることを強制されることは、
人格権である指名権を侵害されることである。(142ページ)
結婚をすることも姓を維持することも憲法上の権利だから、
姓を捨てて結婚をするか、姓を維持して結婚をやめるかを迫る
夫婦同姓の強制も、結婚の自由お不合理な制限であると
言えるのではないか。(143ページ)
さらに現行の夫婦同姓の強制は、女子差別撤廃条約に
違反しているという記述もあります。
1988年2月、ニューヨーク国連本部で行われた
女子差別撤廃委員会で、委員の赤松良子さんは、
日本の民放の規定は、一見中立的だけれども、
約98%の女性が改姓をしている実態は、もはや平等とは言えず、
夫婦の同一の権利として、姓に関する権利をあげている
「女子差別撤廃条約」に反するので、日本も法改正する時期に
きているのではないかと、スピーチをしている。(155ページ)
『夫婦別姓への招待』(有斐閣選書)の
5章「法の目から見た夫婦別姓選択制度」の
1節「氏とはなにか」にも、やはり夫婦同姓の強制、
すなわち本人の意に反して改姓させることは
氏名権の侵害になる、という主旨の記述があります。
だから、現状では、氏名権とは、こうして決定された
生来の氏を自己の意思とはかかわりなく
変更を強制されないことが基本だということになります。
榊原さんが主張するように、自己の氏を保持する利益こそ
氏名権のもっとも重要な部分なのである。
したがって、本人の意思を無視して、改姓を強制することは、
氏名権の侵害として許されないことになる。
自分の氏名を勝手に使われて迷惑したとか、
自己の氏名を正確に呼ばれずに名誉感情が傷ついた
ということとは別に、自己の氏名を保持する権利、
それ自体の侵害として、許されないことになるのである。
結婚改姓を望む人は、自己の意思によって
改姓するのだから、それはそれでよい。
しかし、望まない人にまで改姓を強要する夫婦同氏制度は、
根本的に問題があるといえる。(185ページ)
福島瑞穂氏の『結婚と家族』は1992年の著書です。
その中で引用されている赤松良子氏による
国連本部におけるスピーチは1988年のものです。
有斐閣選書の『夫婦別姓への招待』は1993年の著書です。
20世紀のうちから、夫婦同姓を強制する
現行民法は差別であり人権侵害であると
言っている人たちはいる、ということです。
付記:
「いずれも2年から3年前のネタ引っ張り出して(笑)」と
「四条烏丸」は嘲笑しているのですが、
情報が新しいとなにが問題だというのかがわからないです。
このような情報は新しいに越したことないのが通常です。
古い事例ばかり挙げたら、そのときは「四条烏丸」は
「いずれもむかしのネタばかり引っ張り出してきて(笑)。
最近はだれも言っていないということであり、
夫婦同姓の強制は人権侵害と考えていないことの
あらわれです(苦笑)」なんて言って
嘲笑するのかと、わたしは思っていましたよ。