なる人たちは、情報リテラシーは弱いけれど、
正義意識は妙に強い人たちなのだろうと思います。
「突然、父がネトウヨに…スマホで右傾化する高齢者たち」
リテラシーは弱いけれど正義意識は強い人は、
最近になって出てきたのではなく、むかしからいたと思います。
いま高齢ネトウヨになるような人は、
1980年代なら落合信彦氏の本に影響されたと思います。
孫引きで恐縮ですが、次のような「とんでも」なお話を
真に受ける人たちが少なからずいたのでした。
現在のネトウヨが喜んで信じたり拡散するデマも、
これと同程度の「とんでも」ではないかと思います。
「●落合信彦(おちあい・のぶひこ)」
その内容は、自称、「FBIに200人、モサドに50人」
居るらしい(もう、勘弁してくれ・・・)
彼の情報網(笑)から仕入れてきたらしい、
どう考えてもただのデタラメとしか思えない政治カンケーのお話を、
例) UFOはナチス残党が作り上げた秘密兵器だ!
ソウルオリンピックは北朝鮮の破壊工作で前代未聞の大惨事になる!
30年前に落合信彦氏の本に影響されて
社会正義に「目覚める」ような人たちは、
現在ならネトウヨになっている可能性があります。
30年前の落合信彦氏の読者は、社会的影響力はなかったです。
実際、彼らが社会に悪影響をおよぼすような
事件を起こした、というお話はないと思います。
一つ目はこの落合の読者はあまりに頭が悪いため、
社会的影響力を持ってないってことです。
別にこの程度の頭のオッサンとかが落合を真に受けて
「そうか、これはイスラエルの謀略なんだ」っていう
電波を受信したところでせいぜい家族から「またはじまった」と
白い目で見られるのがオチなので、事実上問題はないのです(笑)
現在のネトウヨには社会的影響力があります。
集団で弁護士に不当な懲戒請求をしたのは、
まさにそうした「社会的影響力」のひとつです。
短期的で直接的なことだけでなく、
中長期的に見ても2012年に安倍政権が誕生したのは、
ネトウヨたちの活動の成果であると言えます。
「もはや首相自体が「ネトウヨ」である──安倍“ヘイト”政権が誕生した日」
私が第2次安倍内閣成立時からこれを「ネトウヨ内閣」と
呼んできたのは、ネット右翼がこの15年ほどにわたって
培ってきた思想をこの内閣が実に忠実に体現しているからだ。
「首相それ自体がネトウヨ」という状態なのである。
すなわちそれは、これを同時に「ヘイト内閣」とも呼べるということである。
地道にネットにデマを書き、歴史修正主義にもとづいて
地方の役所に申し入れをし、排外主義にもとづいて議員に
ロビイングをまめに行い、少人数でも決してめげずにデモをつづける。
こうしたことをおよそ15年にわたって
地道に、マメに続けてきた成果が、
第2次安倍内閣にはそのまま結実しているように見える。
30年前の落合信彦氏の読者と、現在のネトウヨとで、
リテラシーの程度に大差はないと思います。
なぜ前者には社会的影響力なんてなかったのに、
後者にはあるのかという問題があります。
1980年代は落合信彦氏と同じくらいのレベルの
「とんでも」なことを書く物書きは、珍しくなったようです。
またそうした「とんでも」本を出版する
大手出版社にもこと欠かなかったようです。
もう一つは実はここまでデタラメをタレ流している人って言うのは、
出版会じゃああんまり珍しくないということです。
ここで落合を挙げたのも、「このテのモノ書きを一人あげとこう」と思った結果、
この男が一番分かり易かったからで、世の中には大手出版社から、
どう考えても中学教科書レベルの「常識」があれば
デタラメと分かる「国際情勢」や「政治」や「社会問題」や「心理分析」の本が
ものすご〜くたくさん出ているのです、ええ、意外なほどに。
小川榮太郎氏の反同性愛の記事を載せたことで、
『新潮45』が休刊に追いやられたことを考えると、
現在のネトウヨよりも、1980年代のほうが
むしろ深刻だったのではないかとさえ思います。
「「新潮45」同性愛差別で休刊」
現代と1980年代との差は、やはりネットという媒体を
利用できるということではないかと思います。
ネットを使えば、見ず知らずでも自分と思想の近い人に
わりと簡単に近づいて、情報交換もできます。
またネットには、書いたものがまがりなりにも残るので、
そうした情報を蓄積させることができます。
あとからでもそれを見た人が真に受けるなど、
のちまで影響することにもなるでしょう。
弁護士に対するネトウヨたちの不当な懲戒請求は、
ネットを使って呼びかけられました。
ネトウヨたちは匿名で請求できると信じて、
不当な懲戒請求を送ったのでした。
とくに組織化しなくても大人数が集まって、
自分の個人情報を知られず、安全かつ少ない手間で
アクションできるのが、ネットの特徴だと思います。
こうしてみると、やはりネットにおける
ネトウヨたちの動向には注意を要すると言えます。
何度も言っていて「月並み」ですが、
ネトウヨが流すデマや差別的言説に対しては、
リソースの許すかぎり反論して、第三者が適切な情報に
アクセスできるようにする必要があるでしょう。
「差別主義者は放置がよいか?」
「差別主義者は放置がよいか?(2)」
これはかなりリソースが必要なので、そんなに頻繁には
できないことですが、ネトウヨがこれ以上、
ネトウヨ的活動を続ける自信や気力を削ぐ程度に、
ネトウヨを徹底的に批判できればもっといいと思います。
リテラシーが弱いのに正義意識が妙に強い人は、
むかしからいたのであって、ネットのような手段は
本質的でないという考えもあって、
これはこれでたしかにそうだと思います。
それでもネットという手段は、リテラシーが弱く
正義意識が強い人であっても、好ましくない社会的影響力を
持たせることができる媒体だと思います。
やはりネットに跋扈するネトウヨには警戒が必要だと言えます。