2018年12月29日

toujyouka016.jpg 中野区議会・別姓反対派議員の意見

12月19日エントリの続き。

「中野区・夫婦別姓の意見書を採択」

東京都中野区が「選択的夫婦別姓制度の法制化を
求める意見書」を賛成多数で可決したことについてです。

「【祝え!】23区初!中野で選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書が採択【まさに生誕の瞬間である!】」

意見書に対する「反対の討論」ももちろんありました。
これには自民党の議員が立っています。
日本会議に所属というところで「お察し」です。
孫引きで恐縮ですが、これを見てみたいと思います。

 





この日本会議所属の自民党の反対派議員は、
2015年12月の最高裁大法廷回付で、現行の夫婦同姓の強制に
合憲の判決が下されたことを楯に取っています。

この最高裁判決は「差別的法規」を合憲としているとして、
女子差別撤廃委員から、女子差別撤廃条約にもとづき
選択的夫婦別姓を導入するよう勧告が出ています。
日本政府はこの勧告を受け入れて、選択的夫婦別姓をすみやかに
導入する責務があることになります。

「CEDAW日本審査・民法改正」

差別的法規および法的保護の欠如

12. 差別的規定を撤廃するという見地からの前回勧告が
実行されていないことを、委員会は遺憾に思います。
委員会はとりわけ以下に関することを指摘します。

(c) 2016年12月25日、最高裁は民法750条の憲法判断に置いて
夫婦同氏を要求することを合憲としたが、
現実にはほとんど女性が夫の氏への改氏を強いられる。


最高裁判決は、現行の夫婦同姓の強制は合憲だから、
このままなにもしなくていいとは、言っていないです。
選択的夫婦別姓を導入することは、
国会で議論し判断されることだとしています。

「夫婦別姓訴訟違憲判決ならず」

その上で判決は「今の制度は社会の受け止め方によるところが少なくなく、
制度のあり方は国会で論じられ、判断されるべきだ」と指摘しました

選択的夫婦別姓の実現を国会に求める意見書を出すことは、
最高裁判決にもとづいていて、なんら問題ないことです。
「がたがた言うな」と言われるいわれはないことです。


反対派議員のふたつ目の主張は「通称使用でじゅうぶん」です。
選択的夫婦別姓の反対派にありがちな主張のひとつです。

「選択的夫婦別姓のまとめ(9)」

旧姓の通称使用は、どこでも自由にできることではないです。
現在、旧姓使用を認めている企業は半数もないです。

「旧姓使用の状況に関する調査」

旧姓使用の状況(企業規模別)

旧姓使用を認めている企業でも、範囲は限られることが多いです。
いかなる場面でも旧姓使用が認められるわけではないです。

「通称使用の可能な範囲」

通称(旧姓)が使えない場面は?

この現状から、旧姓使用をどんな場面でも自由にできるよう、
企業に義務付ける法律を整備しようというのでしょうか?
いかなる場面でも旧姓使用をできるようにするという
法律の整備は困難という、技術的な問題があります。

「《特別寄稿》大森 政輔 弁護士 通称使用法定案の問題点」

かりに法律が整備されて旧姓使用が自由に
できるようになっても、ふたつの名前を使い分けることが
煩雑だというかたには、じゅうぶんな解決にはならないです。
旧姓使用ができればいいという人もいるでしょうが、
それでも困るという人もいるということです。


旧姓使用でじゅうぶんだと主張する反対派諸氏は、
結婚改姓をしたくないのは職業上のキャリアのために
必要なだけだと思っている節があると思います。

結婚改姓しないで生来の名字を使い続けるのは、
職業上のキャリアのためだけではないです。
ほかの理由、たとえば自分のアイデンティティの
維持のために、改姓したくないかたもいます。
そのようなかたは旧姓使用では解決にならないです。


この反対派議員の3つ目の主張として、
内閣府の世論調査で「旧姓使用」と回答した人を、
すべて反対派に入れていることがあります。
これも反対派にはよくありがちな主張です。
自分たちは少しでも「多数」だと思わせたいのでしょう。

「家族の法制に関する世論調査」

「旧姓使用」と回答したかたは、旧姓使用が最善と考えるが、
次善の策として選択的夫婦別姓の導入がよいと
考えているかたも少なからずいると思います。
このようなかたは、選択的夫婦別姓を導入することに
反対はしないだろうと思います。

「反対派の精神構造と思考構造 「通称使用」派は反対派のお仲間?」

反対派諸氏は、選択的夫婦別姓に反対だから、
旧姓使用を主張している、ということなのでしょうが、
「旧姓使用」と回答した人は、かならず選択的夫婦別姓に
反対だとはかぎらないということです。

よって世論調査で「旧姓使用」と回答した人を、
すべて反対派に加えるのは偏っていると言えます。
反対派諸氏は、他人は自分と異なる可能性があることを、
もっと考える必要があるでしょう。

posted by たんぽぽ at 23:49 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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