日本の結婚や離婚にともなう改姓を、ベルギーの役所などに
理解してもらうことに苦労をしたというお話です。
「前夫と死別→ベルギーで国際結婚。夫婦別姓が「生きやすい」理由」
記事著者のかたは、初婚は日本人男性が相手で
自分が相手の男性の名字に改姓しました。
初婚の男性が急逝して未亡人となったのですが、
このとき生来の名字にもどしています。
この状態で、ベルギー人男性と結婚しています。
ベルギーは建国以来夫婦別姓が原則の国です。
(夫の名字を選択することもできるようですが、
法律で定められたものではないです。)
「夫婦別姓 各国の状況は?」
「夫婦別姓・世界各国の状況は?」
結婚や離婚で改姓する習慣も制度もない人たちが、
日本の結婚改姓や離婚改姓を見たらどう思うか、
というお話にもなっていることになります。
国際再婚することになって
その後、筆者は、再婚することになったのだが、
その相手は、欧州の小国ベルギー国籍の人だった。
ベルギーでは、婚姻は個人の姓名や国籍などと無関係だ。
再婚するときに「復氏届」出したら...
さて、話を姓に戻そう。ベルギーは建国以来、夫婦別姓だ。
その社会で再婚することになったので、出生時の姓と、
再婚する際の姓が違う理由の説明に苦労した。
まず、裁判所が認定した翻訳家に、日本の法律を訳してもらった。
さらに、最初の結婚で「(夫ではなく)わたしが
姓を変えた理由」も、説明させられた。
「再婚前に旧姓に戻そうとした」ことでも、ややこしさは加速した。
当然ながら、名字が変わっていることについて、
どういうことなのかをベルギーの人たちに
理解してもらうのに、ひどく苦労することになります。
ベルギーの人たちの中で、日本の婚姻の事情について、
くわしく知っているかたはほとんどいないでしょう。
日本は結婚や離婚で改姓があるということから、
理解してもらう必要が出てくることになります。
(日本人も世界中のほとんどで選択的夫婦別姓が
認められていることを知らない人がざらですから、
それを考えれば推して知るべしです。)
一般に名字を変えると、なにかのっぴきならないことを
しようとしていると思われる可能性があります。
日本のように結婚改姓が常識的な社会でさえ、
結婚や養子縁組による改姓で同一人物だと
わかりにくくすることで、犯罪に利用することがあります。
「改姓を利用した犯罪」
ましてや結婚や離婚で改姓する習慣も制度もない
ベルギーの人たちから見たら、結婚や離婚で名字が
変わっている日本人を見て、なおさら犯罪利用の可能性を
考える人もいるかもしれないです。
そこまで疑っていなくても、名字を変えるということは、
そこによくよくの事情があると考えるでしょう。
それゆえベルギーの人たちが、日本人の改姓について
いろいろと聞いてくるのは、無理もないことになります。
「なんで結婚や離婚をしただけで、
名字がいちいち変わるのだ?」ということです。
初婚のとき名字を変えたのが、夫ではなく
女性である記事著者なのはなぜか?ということも
訊かれたということは、なかなか示唆的だと思います。
「女性が改姓するのが当然」という社会通念が
日本にはあることを、ベルギーの人たちは知らないということです。
「結婚で名字を変えるというのはわかった。
それでなんで夫でなくあなたが改姓したのですか?
夫が改姓してもよいのでしょう?」です。
「改姓するのは女性」という日本では常識的な社会通念も、
世界共通の常識ではないことがわかります。
結婚改姓の存在自体をはっきり知らなければ、
「改姓するのは女性」という社会通念の存在など、
なおさら知らなくても当然ではあると言えます。
ローカルな社会の中ではわざわざ説明するまでもない
常識的な社会通念を、その社会通念を持たない
ほかの社会の人たちに理解できるように説明するのは、
一般的にはひどく難しいことです。
その「ほかの社会の人たち」にとっては、
そんなローカルな社会通念を理解することは、
「あたまでわかる」のレベルが精一杯です。
ちょっとした学術のレベルになる可能性もあると思います。
記事著者は初婚のとき夫の名字に改姓したことが、
不本意だったということをお話しています。
病院や銀行で、夫の姓を呼ばれても実感がなく、
とっさに反応することもできない。
それは、突然とってつけた「借り物」でしかないと感じた。
歓びよりも、不本意さの方が大きかった。
「日本の社会通念ゆえに女性の自分が改姓した」ことを
理解してもらおうとして、ベルギーの当局で
このお話をしたら、相手はますます
わけがわからなくなるかもしれないです。
「なんで嫌なのに改姓したの?」です。
(記事著者が実際にベルギーで、初婚時の改姓が
不本意だったお話をしたかどうかはわからないです。)