今度の参院選の争点にすることを、
5月11日エントリでお話しました。
これは「女性活躍」を唱える、自民党・安倍政権を
意識しての対抗戦略でもあるようです。
「選択的夫婦別姓導入を 立民・枝野氏、参院選へ争点化」
「「選択的夫婦別姓を」 枝野氏、参院選争点に」
立民は党綱領で多様性を認める社会実現を掲げている。
女性・女系天皇の容認だけでなく、選択的夫婦別姓の導入も
自民党との対立軸として打ち出す構えだ。
演説で、枝野氏は結婚した女性が戸籍上の名字を変え、
仕事面で不利益を受けていると指摘。
「夫婦別姓に賛成せず『女性が輝く社会』と
言うべきではない」と批判した。
安倍晋三首相は、2012年に政権についたときから、
「女性が活躍」「女性が輝く」というスローガンを掲げて、
ジェンダー平等に理解があり、ジェンダー政策に
積極的であるという体裁を示してきました。
ところが自民党は、安倍晋三ご本人も含めて、
もともとジェンダーに関しては因習・反動的です。
そうした彼らにはばまれて、ジェンダー平等政策の推進は、
不徹底になることが多いです。
選択的夫婦別姓の導入は、彼らジェンダーに
因習的な人たちが、もっとも反対したいであろう
「本丸」に当たると考えられます。
それゆえまったくの「手付かず」の状態が続いています。
それでも「女性が輝く」などと主張している以上、
選択的夫婦別姓を認めないことによるジェンダー不平等を
すっかり無視することはできなくなったのでしょう。
そこで住民票などに旧姓使用を可能して、
旧姓が使える範囲を広げるという
「小手先の対処」でお茶を濁すことになっています。
「住民票の旧姓併記を検討」
「住民票に旧姓併記の法案」
「パスポートの旧姓併記の拡大」
このような「小手先の対処」で解決をはかるくらいなら、
さっさと選択的夫婦別姓を認めたほうが
ずっと簡単に解決するということは、
結婚と苗字の問題に関わる人たちのほぼすべてが、
考えていることだと思います。
夫婦同姓の強制によって、望まない結婚改姓を
強いられることで、アイデンティティや
職業上のキャリア、苗字変更手続きといったことの負担が、
大きなものとなっていることは、あきらかです。
現在の日本では、法律婚の97%のケースにおいて、
結婚改姓をするのは女性です。
よって結婚改姓にともなう不都合は、
ほとんどすべてにおいて女性が被ることになるので、
選択的夫婦別姓はジェンダー平等の問題となります。
こうした現状の解決のために多くの人たちから
選択的夫婦別姓は導入を求められています。
ところが法制審議会の答申書から23年経過した
現在にいたるまで、実現せず放置されています。
2019年の現在、世界的に見ても、選択的夫婦別姓が
認められないのは、ほとんど日本だけです。
ジェンダー平等に理解があると主張するなら、
とっくのむかしに実現していいはずの
選択的夫婦別姓くらい認められないでどうする?と
考えるのは当然となるでしょう。
立憲民主党、枝野幸男代表もそう考えたものと思います。
民主党、民進党は、家族・ジェンダー政策で
なぜ自民党・安倍政権の「女性活躍」に対して
積極的に対抗戦略を採ろうとしないのだろうかと、
わたしはかねてから思っていました。
「少子化対策で支持浮揚」
「民主党の女性登用意識」
「争点にならない女性政策」
「民主党の現状・識者に聞く(2)」
民主党、民進党は、選択的夫婦別姓を含めた
家族・ジェンダー政策に関しては、
自民党よりずっと蓄積があります。
それまではジェンダー平等に否定的だったのに、
きゅうに「女性が輝く」とか言いだした、
なんて「しらじらしさ」もないので、
不信感を持たれることもないです。
ジェンダーに因習・反動的な議員や支持者も、
ずっと少ないので、ジェンダー平等政策を推進しても、
妨害されることも、ほとんどないです。
民主党、民進党は、ジェンダー政策に関しては、
安倍政権よりずっとよい対案を示せるはずです。
それにもかかわらず、ジェンダー政策で
安倍政権と対決姿勢を示すことに関して、
あまり積極的になってこなかったのでした。
民主党、民進党も、「政治とは天下国家を
語るものである」「オンナコドモのことなんて
くだらない」という「政治的ミソジニー」があって、
ジェンダー政策に積極的になることを得策と
感じなかった、ということかもしれないです。
争点にならない女性政策 アベノミクス賛否が優先 http://t.co/LypnIqs2zb 田舎の選挙区に行くと、「女性や子供のことばかりで、天下国家を論じなければ票にならない」などと言う年寄りが必ずいる。だから、経済や安全保障の話ばかりしなければならなくなってしまうのだ。
— ラビニア (@IsSheW) 2014年12月5日
「政治というのは天下国家を論じるもので、女子供といった小さなことを論じるものではない」という偏見は、田舎に限らず、多くの人が持っている。新橋あたりの飲み屋や、町内会における政治好きの人の論議は、必ず、経済や安全保障についてであって、子育てや女性政策の話が話題に上ることはまずない。
— ラビニア (@IsSheW) 2014年12月5日
選択的夫婦別姓を参院選の争点にしようとする
立憲民主党、枝野幸男は、ジェンダー政策を
それだけ重視していることになります。
それはそれだけ「政治的ミソジニー」から
脱却していることになるでしょう。
それまで「オンナコドモのことはくだらない」と思って
政治から遠ざけていたことの中に、
「草の根の声」があると考えたものと思います。
立憲民主党、枝野幸男は、この点に関しては
民主党、民進党などの従来の政党とは
ずっと違っていると期待したいところです。