「子どもの人口崩壊」という、
「歴史的失策」についてお話しました。
「平成の歴史的失策・子どもの人口崩壊」
今回は、子どもの人口崩壊を引き起こしたのは
だれのせいか、その責任者を見ていきます。
といってもそんなのは、わざわざ「犯人探し」を
するまでもなく自明だと思います。
因襲的な家族・ジェンダー観を「伝統的家族」と称して
堅持することにこだわり続ける人たちです。
日本は少子化が進むと80年代から予測されていて、自民党はそれを放置し続けただけでなく、伝統的家族主義のような悪化する要因を振りまいたのだから、自民党の過去の政策を検証して反省点をしっかりとあぶりださないと、日本政治が今後も予測されている問題に向き合うことはないのではと。
— kazukazu88 (@kazukazu881) 2015年6月22日
「伝統的家族」とは、より具体的には、
戦後民法によって規定され、
さらに高度経済成長期の企業利益のために
「あるべき家族」とされた家族観です。
「夫が外で働き妻が専業主婦で、
子どもはふたりくらいが理想」というものです。
「家族思想という信仰」
この「伝統的家族」を実現すれば人は
幸せであり、またすべての国民が
「伝統的家族」を実現すると社会が発展すると、
「宗教」のように奉じた「信者」たちがいました。
「伝統的家族」は、専業主婦の妻を
夫に奉仕させるので、ジェンダー平等に反します。
そして「伝統的家族」に反する家族を
拒絶するので、多様性とも反します。
人口の維持や回復に効果的な家族政策は
ジェンダー平等と多様性の尊重という
線に沿ったものが一般的です。
それゆえその政策は「伝統的家族」に
反するものが多くなります。
かくして「信者」たちはことごとく効果的な
家族政策に反対することになります。
その結果が「子どもの人口崩壊」という、
平成30年間の歴史的失策です。
「伝統的家族」の「信者」たちは、
少子高齢化で先細っていく現状と将来を
どう考えているのか、危機感を持っていないのかと
思うこともあるでしょう。
日本が将来落ちぶれていくことは、
経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」の
「2050年に先進国から脱落」という予想など、
現状を把握するためのデータには
すでにこと欠かなくなっています。
2014年5月に自民党で配偶者控除を廃止する
議論がなされたことがありました。
このときの「家族の絆を守る特命委員会」の発言が
「伝統的家族」の「信者」たちの
認識を示していると思います。
「自民党は「家庭守る主婦」尊重のはず… 首相の“変心”、党内には不満」(1/2)
「自民党は「家庭守る主婦」尊重のはず… 首相の“変心”、党内には不満」(2/2)
専業主婦世帯を狙い撃ちにした
増税ともいえる改革は「家庭を守る主婦」を
尊重する自民党の方向性とは相いれない。
党内には首相の“変心”に首をかしげる向きもあり、
見直しは一筋縄には進みそうにない。
「配偶者控除があるから少子化が
進んでいるわけではない」「配偶者控除が廃止されれば
専業主婦家庭は打撃を受ける」
22日、自民党本部で開かれた
「家族の絆を守る特命委員会」では、
配偶者控除見直しに対する慎重意見が続出した。
特命委の古川俊治委員長は会合後、
記者団に「配偶者控除の維持は
自民党のもともとの政策だ」と強調した。
特命委で相次いだ慎重意見に象徴されるように、
配偶者控除見直しの方向性と、自民党が重視してきた
家族観にずれがあることは否めない。
昨年の参院選の政策集では「配偶者控除は維持」と
明記しており、党内には「家庭を守る女性を
応援してきたのが自民党だ。
誰が首相にこんなことを言わせているのか」
(参院自民幹部)と、いぶかる声すらある。
「伝統的家族」の「信者」たちは、
のんきに(?)過去を維持しようとするばかりです。
少子高齢化の現状がまったく見えていないと
言ってよい状態だと思います。
こんな認識では、現場に対する危機感も
とぼしてくてごもっともというものです。
わたしもこの記事を初めて見たときは、
彼ら「信者」たちの「浮世離れ」ぶりに、
ちょっとびっくりしました。
わたしは彼ら「信者」たちと、
本当に同じ日本社会で暮らしているのかと、
思わず言いたくなるくらいです。
「伝統的家族」は、日本の高度経済成長を
もたらしたと信じられているので、
その「信者」は社会の既得権益者です。
人口の維持や回復に効果的な家族政策は、
彼ら既得権益者の利益を削ることになります。
自分の既得権が社会に必要な変革を
妨げている現実を見せられたとき、
その既得権益者は自分の利益を
少しでも多く維持できるよう、
現実を自分に都合よく解釈するのだと思います。
「家族の絆を守る特命委員会」の場合、
「配偶者控除があるから少子化が
進んでいるわけではない」「配偶者控除が
廃止されれば専業主婦家庭は打撃を受ける」
という認識に、そうした「都合よい解釈」が
あわられていると思います。
かくして現実から眼をそらし続けるうちに、
現実が見えなくなるものと思います。
現実の危機的状況もわからなくなるので、
ますます狭量な自分の既得権維持しか
関心がなくなるのだと思います。
私は夫婦別姓の事実婚で子供を産んでいますが、当時まだ非嫡出子差別の法律がありました。夫婦別姓が認められたら出産しようと産むことを躊躇して初産がおそくなりました。結局1人しか産めませんでした。
それも、事実婚の年上の方から「夫婦別姓を待っていたらだめ、先に子供は産んだほうがいい」と背中を押してもらって出産を決意できたのでした。
その事実婚の年上の方は周囲の反対で子供を諦められました。
賢くて、収入が高く、思いやりのある方です。それなのに周囲の因習的な家族思想が子供を作らせませんでした。少子化を積極的に推し進めてきた自民党と因習的な家族思想の信望者達には、怒りが沸いてきます
いつもコメントありがとうございます。
お子さんがお産まれになったのは、
5年以上前のことなのですね。
いろいろと不安もあったことと思います。
>それも、事実婚の年上の方から
その年上の事実婚のかたは、
選択的夫婦別姓問題に関してはよくご存知で、
見識もあるものとお見受けします。
(いまでも、選択的夫婦別姓の実現を待っていたら、
子どもを産めなくなるのではないかと思います。)
お子さんがひとりだけというのは、
おそらく不本意と想像しますが、
それでも年上の事実婚のかたのおかげで
子どもを持てたのは、よかったと思います。
>その事実婚の年上の方は周囲の反対で子供を諦められました
年上のそのかたは、見識のあるかたでしょうから、
事実婚で子どもを持っても、
問題なくやっていけたのだろうと思います。
本人がよいくらくても周囲が反対する
ということもあるから、やっかいだと思います。
>少子化を積極的に推し進めてきた
>自民党と因習的な家族思想の信望者達に
選択的夫婦別姓が認められないことで、
子どもを持つのをためらっている、
あるいは断念したというかたは、
少なからずいると思います。
少子高齢化が問題なら、選択的夫婦別姓くらい
認めるのが当然だと思います。
選択的夫婦別姓が認められなことが、
因襲的家族・ジェンダー観が
いつまでも根を張っている象徴にも
すでになっていると思います。