フランスで性的少数者に対する攻撃行動が、
2018年は過去最多だったという報告がありました。
フランスの性的少数者に関する非営利団体
「SOSオモフォビー」の調査です。
「フランスでのLGBT攻撃、2018年が過去最多に 報告」
APFの記事は短いので全文を引用します。
【5月14日 AFP】フランスで、昨年報告された
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、
トランスジェンダー)への攻撃件数が過去最多となった。
非営利団体「SOSオモフォビー
(SOS Homophobie)」が14日、報告した。
同団体の年次報告書によると、昨年身体的な攻撃を
受けたとの報告は231件に上った。
同性婚合法化に絡み、LGBTへの攻撃件数が
188件とこれまでで最も多かった2013年を上回った。
前年2017年との比較では66%増。
特に年末に向けて急増し、被害は1日1件のペースで報告された。
同団体の電話相談サービスやウェブサイト、
法律相談を通じて寄せられた、LGBTへの攻撃の目撃情報も、
前年比15%増の1905件に上った。
被害内容を分類すると複数種にまたがることもあるが、
その内訳は、拒絶反応が62%、侮辱行為が51%、
差別的態度が38%、嫌がらせが20%、
脅迫と中傷はそれぞれ17%、身体的暴行は13%だった。
また報告された被害場所の23%が
インターネット上で、ネットがLGBT嫌悪が頻繁に
露呈する場所になっている様子がうかがえる。
共同代表らは、「2018年はLGBTの人々にとって
闇の1年となった」とコメントしている。
わたしがはじめに指摘したいのは、
LGBTのかたが被害を受ける場所の23%が
インターネット上だということです。
攻撃行動全体の約4分の1程度です。
ネットは性的少数者のみならず、
さまざまな社会的弱者や、被差別マイノリティにとって
危険が大きいところです。
いまから約8年前、ネットで実名を使うと、
社会的弱者や被差別マイノリティは、
嫌がらせや差別など攻撃行動を受けやすくなる
ということを示した調査がありました。
「弱者に危険な実名ポリシー」
「Facebook、偽名を使うユーザーの調査を打ち切る」
1. 女性 女性であることを示唆する
ユーザー名を使用すると、男性に比べてオンラインで
いやがらせを受ける頻度が最大で25倍も高くなります。
2. LGBT (レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、
トランスジェンダー) の人々 特に、オンラインで
いじめを経験する割合が50%に上る十代の若者、
および非差別政策をとっていない地域、
または同性愛やトランスジェンダーの行動が
違法となる地域に居住する人々。
3. 子ども 自己防衛のため、多くの場合
オンラインでは別名を使用するように勧められます。
4. 家庭内暴力の被害を受けたことがある人々
加害者に見つからないようにする必要があります。
5. 宗教的信条、その欠如、
または経験により危険な状態にある人々。
6. 活動家、告発者、職業上の別名を使用する人々。
これは実名を公表することで、
女性、性的少数者といった現実世界での
属性がわかるので、現実世界でのヒエラルキーが
ネットに持ち込まれて被害を受けやすくなる
ということだと思います。
それゆえ実名を公表しなくても、
現実世界での属性がわかれば、社会的弱者や
被差別マイノリティがネットで被害を受ける
可能性は高くなると考えられます。
ネットで攻撃行動が多くなるのは、
おたがいの姿が見えないことや
物理的な接触がないことがあると思います。
「相手が反撃しにくい場所から隠れてできる」
という感じが、ネットでの攻撃行動を
やりやすくするのでしょう。
わたしがもうひとつ指摘したいことは、
フランスにおける、性的少数者に対する
攻撃行動が2018年は過去最高ですが、
その次に多かったのは2013年だったことです。
2018年になぜ過去最高となったかは、
分析を記事で述べていないのでわからないです。
2013年が次に多いのはあきらかで、
フランスで同性結婚が法的に認められたからです。
その反発で攻撃行動が増えたわけです。
「フランスが同性婚を合法化、世界で14か国目」