家族やジェンダーに関して因習・反動的な人は、
自分たちが信奉する「家族思想」の教える
「あるべき家族」に従わない「異教徒」を、
「二級市民」として扱うことをお話しました。
「婚姻の平等に反対する背景思想」
「なぜ右派は婚姻の平等に反対するのか。専門家に聞いた。」
「家族思想」の「信者」たちは、「二級市民」である
「異教徒」たちが、自分たちの利益を損なわない
「モデル・マイノリティ」に甘んじるなら、
生存権を認めると考えています。
彼女たちは“異なる人々は、異なる扱いを
受けるのがあるべき姿だ”と考えています。
そのようなロジックのもとに、“違いに基づいて、
銘々が分をわきまえるならば悪いようにはしない”というのが
右派のさまざまなマイノリティに対する考え方だという。
「こうした発想を理解するには
社会心理学で〈社会的支配志向性〉と
呼ばれている心理特性が参考になります。
俗な言い方をすれば“分をわきまえろ”という考え方です」
「モデル・マイノリティ」には生存権を
認めるという戦略に、当の被差別マイノリティは
分断され、差別構造は維持されやすくなる
という問題が出てきます。
差別する側、ここでは家族やジェンダーに関して
因習的な人たちにとっては、それが望ましいことであり、
狙っている事態になります。
“権利を要求せずおとなしくしていれば、
そう酷いことはしないぞ”というものですから、
大きな声を上げないようにしようという生存戦略には
一定の合理性があるとは言えます」
「しかし、そのことによって差別される側は分断されてしまう。
そして、そのような生存戦略を取る限り、
差別的構造は温存されてしまうのです」
選択的夫婦別姓に関して、家族やジェンダーに
因習的な人たちからしかけてくる
「選択的夫婦別姓を望む人たちの分断工作」は、
具体的になにかを考えることにします。
ありがちなのは「旧姓使用でじゅうぶんだ」
「事実婚でじゅうぶんだ」だと思います。
この条件を受け入れる選択的夫婦別姓の推進派は、
さいわいにしてほとんどいないです。
旧姓使用も事実婚も、多くのかたにとって
結婚後の名字の問題を部分的にしか解決しないです。
本質的な解決をはかるなら、
選択的夫婦別姓を導入するよりないです。
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)も、
「旧姓使用でじゅうぶん」と口で言うだけで、
実際に旧姓使用の範囲が拡大するような
活動することはぜんぜんないです。
推進派としては受け入れたところで、
生存戦略としてメリットがほとんどないということです。
それゆえかかる反対派(非共存派)による
「分断工作」は功を奏さないことになります。
もうひとつ反対派がよく採る戦略は、
「自分たち反対派を批判しないのがよい推進派、
批判するのは悪い推進派」という
「線引き」をはかることです。
反対派(非共存派)にとって都合が悪いことは、
自分たちが差別者、抑圧者、加害者であることを、
いやおうなしに意識させられることだと思います。
当の選択的夫婦別姓を望む人たちが、
それを言わないでいてくれれば、
反対派は自分の加害性から眼をそらしやすくなります。
よってこの「線引き」が功を奏すれば、
反対派としてはメリットが大きいことになります。
具体的には「差別だと大声で言わないのは
理性的でよい推進派」なんて言うこともあります。
「悪い推進派は、差別だと声たかだかに
主張して感情的だ」ということです。
「男に改姓させろと言う別姓反対派」
@chquita_ さんは知識ありますねえ、冷静だし。ムヤミに感情的に差別されてると被害者意識全面に押し出して声高に話す人と違って。家長制度は理解しました。@pissenlit_10 @Basil1127
— 四条烏丸 (@nanaarek20) 2012年11月6日
「よい推進派は市民活動や裁判闘争にいそしむ、
悪い推進派はネットで反対派を批判する」
なんて言いかたをすることもあります。
「モデルマイノリティ・推進派の分断」
前から同じ考えです。たんぽぽさんのように反対派をツイッターで探しては議論ふっかて絡んでくる過激派もいれば、市民活動や裁判を通じて丁寧に活動していく人もいる。
— 四条烏丸 (@nanaarek20) 2019年5月27日
「推進派は自分たち反対派から理解を得る
努力をする必要がある」などと言ってくるのも、
「分断工作」のうちと考えられます。
「自分が理解できるように説明しろ」
「説得されない選択的夫婦別姓反対派」
「よい推進派は反対派から理解を
得られるよう努力するが、悪い推進派は
反対派から理解を得られるよう
努力をしない」ということだからです。
反対派たちがこのようなことを言うのも、
「自分たちが批判されたくないから」という
保身であることは、あまりに見え透いています。
反対派はどんな事実や根拠を見せても
決して理解しない頑迷きわまりない人たち
ということも、多くの推進派は認識しています。
また負担がかかっても、反対派を批判することの
必要性や重要性は、多くの推進派のあいだで
理解が浸透しているようです。
それゆえこのような反対派からの「分断工作」に
乗せられる選択的夫婦別姓の推進派も、
ほとんどいないことになります。
差別や抑圧をする側からの「分断工作」が
効果を発揮するには、被差別マイノリティの側が
それを受け入れたとき一定以上のメリットが
ある条件を提示する必要があります。
選択的夫婦別姓問題に関しては、
推進派に一定以上のメリットがある条件を、
反対派は提示できない、ということだと思います。
選択的夫婦別姓の推進派サイドが
反対派からの工作によって分断されないのは、
もちろん好ましいことです。
分断されることで推進派サイドが弱体化し、
選択的夫婦別姓が実現しない現状が
維持されやすくなるからです。