「2019参院選・数字が語る争点」という、
とても気合いの入った、参院選向けの記事があります。
7月13日は「女性」です。
雇用や賃金のジェンダー格差を問題にしています。
今回はこれを見てみたいと思います。
「2019参院選・数字が語る争点 女性(その1) 3位 活躍阻む賃金格差」
「2019参院選・数字が語る争点 女性(その1) 3位 活躍阻む賃金格差」(全文)
「2019参院選・数字が語る争点 女性(その2止) 3位 昇進差、是正なお遠く」
「「2019参院選・数字が語る争点 女性(その2止) 3位 昇進差、是正なお遠く」」(全文)
「2019参院選・数字が語る争点 女性 公約 立場違いにじむ」
「数字が語る争点」というタイトルの通り、
データを用いて課題をはっきりさせ
政策を考えるものとなっています。
3位 経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中、
男女の賃金格差の大きさによる日本の順位
見出し横の「3位」は、OECD加盟国中の
フルタイム労働者の賃金のジェンダー格差です。
日本は格差が大きいほうから3番目ということです。
厚生労働省が公表している
「賃金構造基本統計調査」の、フルタイム労働者の
所定内労働時間の6月分月給を比較した男女格差は
11年に初めて女性が男性の7割台に達した。
だが18年でも73.3%で、
8割以上の米国や欧州と比べて差は大きい。
経済協力開発機構(OECD)加盟国では36カ国のうち、
韓国、エストニアについてワースト3位だ。
この統計はフルタイム労働者だけです。
パートタイム労働者を含めると、
日本の賃金のジェンダー格差は
さらに大きくなります。
シカゴ大の山口一男教授(社会統計学)が
05年のデータでフルタイムの月給を時給換算し、
パート労働者も含めた労働者全員の
男女別の平均時給を出すと、
女性は男性の61.7%だった。
同じ計算で18年分で換算すると男性1962円、
女性1371円で、約69.8%となるが、
ボーナスなどの年間特別給与も含めると
女性は男性の65%台にとどまる。
かかる賃金のジェンダー格差は、
なにより女性を低賃金の非正規雇用に
回すことが多いことが大きいです。
とくに結婚や出産、育児で女性を
非正規雇用に回すことが多いです。
また正規雇用でも、女性は生産性の低い
部門にまわされたり、長時間労働のような
既婚男性中心の雇用慣習によって、
女性の昇進がはばまれることも大きいです。
「結婚・ジェンダーと雇用問題」
「男女別正規・非正規雇用の数」
「2050年に先進国から脱落?(4)」
「男は結婚で年収が増える」
賃金に関しては、40歳あたりから
ジェンダー差が目立ってくるという、
つぎの指摘に、わたしは注目したいです。
シカゴ大学の山口一男教授(社会統計学)は
賃金データを分析し「明らかに女性差別的基準で
昇級が定められている」との意見書を提出した。
山口教授は格差の要因について、
40歳以降の昇進差が影響している。
残業しない女性は一般職扱いで
昇進に不利になる」と指摘する。
なぜ女性は「残業しない」かは、
長時間労働が家庭の家事労働を専業主婦の
配偶者に任せきりにして、自分は仕事に専念する
という企業慣習が大きいです。
女性は家事を任せきりにする配偶者が
いないどころか、自分の配偶者のぶんまで
家事労働の負担をすることになります。
それゆえ長時間労働をこなすことが
ほとんど不可能になります。
そして長時間労働することで評価され、
昇進や昇給をするのが日本の雇用文化なので、
女性は昇進や昇給が望めないことになります。
実際、男性は40歳くらいになると、
職場での役職や賃金が上がってきて、
社会的地位も出てくると思います。
30台くらいまではあまり目立たなかった
男性と女性との差は、大きくなっていくと思います。
40を過ぎたら、男性というだけで
女性から見たら「権力者」だと言えます。
かくして社会の既得権益者となった
男性たちは、現状に安住するようになり、
その政治思想や社会思想にも、
変化が出てくるのだと思います。
「保守化」「右傾化」です。
付記:
国際労働機関(ILO)が今年の3月に発表した
管理職の女性割合の国際比較は、
たとえば次の記事に簡単に出ています。
「女性管理職、日本はG7で最下位 18年、世界では3割近くに」