2019年07月21日

toujyouka016.jpg 選択的夫婦別姓は経済と関係ない?

7月18日エントリで少し触れましたが、
安倍晋三首相の「選択的夫婦別姓は
経済成長とは関係ない」という発言について、
見ておきたいと思います。

「安倍首相 夫婦別姓への見解に批判殺到「もはや支離滅裂」」
「安倍首相「選択的夫婦別姓は経済成長とは関係ない」ネット党首討論での発言が波紋」

6月30日の党首討論の際に出てきた発言です。
7月1日の「女性自身」に発言が出てきた
状況がくわしく述べられています。

 
立憲民主党の枝野幸男代表(55)は
「女性の社会参画を妨害している大きな要因は、
日本が結婚したら同じ氏を名乗ることを
強制されていること」「選択的夫婦別姓は
女性の社会参画のために不可欠」と主張。
首相の見解を求めた。

すると安倍首相は、選択的夫婦別姓の
是非については答えず「いわば夫婦別姓の問題ではなくて、
しっかりと経済を成長させ、みんなが活躍できる
社会を作っていくことではないか」と述べた。

質問に正面から答えようとしない安倍首相に対し、
司会の夏野剛(54)は「今のご返答は
『選択的夫婦別姓はいらない』というご返答で
よろしいでしょうか」と再度見解を求める。

すると安倍首相は「いわば経済成長とは関わりがない
というふうに考えています」と、またも明言を避けた。


はじめに選択的夫婦別姓は本当に
経済成長と関係ないかという問題があります。

女性を非正規雇用や、生産性の低い部門に
まわすことで、日本は経済成長の低迷を
招いているという現実があります。

女性の労働力率を高め、女性を生産性の高い
部門につけることで、より高い経済成長率が
期待できるようになるのは、いわずもがなです。


結婚改姓はキャリアの維持や連続の
障害となりますから、女性が生産性の高い部門へ
登用される際の障害にもなります。
それゆえ結婚しても苗字を変えなくてよい
選択的夫婦別姓の導入は必要になります。

選択的夫婦別姓の導入は、女性が高い生産性を
発揮するためのキャリア維持に必要であり、
経済成長と関係あることになります。


選択的夫婦別姓が認められないゆえに
結婚を控えているかたもいらっしゃります。
彼ら彼女らが結婚することで
結婚産業が潤うことになって、一時的ながら、
経済効果に波及することはあるでしょう。

選択的夫婦別姓が認められることで、
結婚改姓にともなう名義変更など、
事務処理の負担が減ります。
中長期的にもコスト削減をもたらし、
生産性を高めることになるでしょう。


より本質的で深刻な問題として、
経済成長と関係なけれな、選択的夫婦別姓は
実現しなくてよいか、ということがあります。

選択的夫婦別姓は人権問題です。
それゆえどのような状況であっても、
かならず実現して、解決する必要があることです。
経済成長と関係があるかどうかで、実行するかどうかを
判断してよい性質のものではないです。


人権問題を経済成長で語るという時点で、
人権意識を疑うところです。


安倍晋三首相は「女性が輝く」と
立派なことを言っているけれど、
しょせんは経済のためであり、
女性の人権や権利には関心が薄いのだと、
再度確認されることになります。

女性を「行動の主体」ではなく、
「政策の対象」として扱っているということです。

「行動の主体と政策の対象」

“行動綱領では「女性は政策の対象ではなくメイン・アクター(行動の主体)」
として位置づけられ、貧困をはじめ、すべての問題解決に
女性のエンパワーメントが強調され、その結果、ジェンダー平等に関する
最も包括的で高い水準の国際文書となった。
(「北京で燃えて20年-第4回世界女性会議」船橋邦子さん(※2)の論考より)”


さらにもうひとつの問題として、
安倍晋三首相は訊かれたことに、
はっきり答えるのを避けることがあります。

安倍晋三も「伝統的家族」と呼んでいる
因習・反動的な家族観を信奉しているはずです。
「夫婦別姓は共産主義のドグマ」
言ったことさえもあります。

安倍晋三が選択的夫婦別姓に
反対していることは、周知のことだと言えます。
いまさら明言を避けたところで、
どんな意味があるのかと思います。

これまでずっと「女性が輝く」と
標榜し続けているので、そのスローガンと
矛盾することは言えないことはあるのでしょう。
選択的夫婦別姓に反対することは、
「女性活躍」に反するということは、
安倍晋三もわかっていることになります。


選択的夫婦別姓に反対とはっきり言うと、
反論されてその場で議論になるでしょう。
安倍晋三は議論を避けたかったことも、
あるのではないかと想像します。

選択的夫婦別姓の反対論なんて、
デマや差別レベルの虚構ばかりです。
反対を主張してまともに議論したら、
かなわないのは陽を見るよりあきらかです。

ましてや人一倍議論が苦手な安倍晋三です。
選択的夫婦別姓の議論になったら、
どんな無様な失態を演じるか、
わかったものではないです。

「経済成長と関係ない」とお茶を濁すことで、
猛烈に批判を受けることになりましたが、
それでもまともに議論して醜態を晒すよりは
ずっとましと踏んだのでしょう。

posted by たんぽぽ at 08:36 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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