2019年08月09日

toujyouka016.jpg 大阪都構想に現れた「カイカク」

8月4日エントリの続き。

平成時代の政治思想「カイカク」は、
2015年の大阪都構想の住民投票で
その存在がはっきり見えたと思います。

 
大阪都構想とはいかなるものだったのかは、
政策内容と住民投票の戦略の両面から、
多くの議論がなされていると思います。

政策面:

「大阪都構想と地方問題」
「「大阪都構想」住民投票騒動が示す日本問題の本質」

戦略面:

「大阪都構想・住民投票」
「大阪の住民投票結果から見えるもの」

政治サークルの外から突然現れた橋下氏にとって、
政治資産は有権者の支持だけであり、
利用できたのは、有権者の間にある
大阪市役所のたかり体質への反発と、
かつての繁栄の再興という根拠のない夢であった。
いってみれば有権者の劣情を喚起する以外に
政治的実現の方法がなかったのである。
自治権の拡大を求める住民投票というのは
世界各地で行われていますが、自分から自治権の縮小を
申し出る住民投票というのは稀で、
筆者から見ても、住民へのメリットは
最後までよく分かりませんでした。


大阪都構想に住民のメリットはほとんどなく、
この構想に賛成するのは、推進派が流す劣情に
煽られた人たちということを、
ここでは簡単に押さえておきます。

「大阪都構想の住民投票で明らかになったのは
「シルバーデモクラシーの威力」ではなく「若者の浅はかさ」」


つまり今回の住民投票では、特定世代の「利害得失」なんか
判断基準になり得ないはずであり、
要は「雰囲気をみて面白そうだったので、
ノリで賛成した人々」vs「雰囲気程度では
今あるシステムを壊す気にはなれない、
と反対した人々」の戦いだったのだ。

「現状の停滞に不満をつのらせた層が、
政策の内容に関係なく、変えてくれそうという
期待感で支持する」という意味で、
大阪都構想に賛成する人たちは、
「カイカク」ということになるでしょう。


大阪都構想で賛成と反対に投票した人の割合を、
世代とジェンダー別に示したものが次の図です。



この図は出口調査を元にしたものですが、
信頼性が怪しいという指摘もあります。
ここではそれは問題にしないことにします。

この出口調査はだいたい信用できると考えて、
以下のお話をしたいと思います。
信用できると考えても、差し支えない程度の
精度のお話しかしないです。


図を見ると大阪都構想に賛成したのは、
若い世代の男性に多いことがわかります。
女性も若い世代のほうが賛成が多いと言えますが、
男性ほど顕著に多くはないです。

男性と女性の賛成の割合の差が
はっきりするのは50代以下です。
それは男性にかぎりですが、大阪都構想に賛成の
割合が多い世代と、無党派が多い世代が
ほぼ重なっていることになります。

大阪都構想に賛成した人(男性)は、
8月4日エントリでお話した「カイカク」の世代と
重なっていることになります。




大阪都構想に賛成した人は、なぜ高齢層に少なく、
若年層の男性に多いかという問題があります。
高齢層は福祉や行政サービスを多く利用するので、
自治体の権限縮小には、警戒するものと思います。

若年層のとくに男性は、福祉や行政に頼る
必要が少ない社会的強者です。
それゆえ行政サービスの縮小には
あまり関心がないものと思います。

「政策に関係なく、なにか変えてくれそう
という期待感で支持する」という
「カイカク」のメンタリティは、
まさに生活の心配が少ない社会的強者ゆえに
持ちやすいことでもあります。

「大阪都構想・住民投票(2)」



posted by たんぽぽ at 23:33 | Comment(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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