2019年08月12日

toujyouka016.jpg 女性就業者過去最多・半数以上が非正規

7月30日の総務省の労働力調査で、
女性の就業者数が初めて3000万人を
超えたことがわかりました。

ところが女性の就業者の多くは
低賃金で不安定な非正規雇用であり、
男性との賃金格差が大きい状況が続いています。

「3千万人突破の女性就業者、半分は非正規雇用 賃金低く」
「女性の働き手 初の3000万人超 2019年7月30日」(全文)
(はてなブックマーク)

 
総務省が30日に発表した6月の労働力調査で、
女性の就業者数が前年同月より53万人増えて
3003万人となり、初めて3千万人を超えた。
男性は同7万人増の3744万人だった。
働き手の人数の男女差は縮まりつつあるが、
女性の働き手の半分程度は正社員よりも
賃金が低い非正規雇用で、賃金面の男女差はなお大きい。

ジェンダーべつの就業者数の年次推移を見ると、
2013年ごろから女性の就業者数が増え始め、
男性との人数の差が縮んでいます。

この女性の就業者数の上昇は
「アベノミクスの成果」と考えられるのでしょう。
アベノミクスがなにをもたらしたから、
女性の就業者数が増えたかは、
いまは置いておくことにします。




ここで問題にしたいのは、女性の就業者に
非正規雇用の割合が高いことです。
次のサイトに、役員を除くジェンダー別の
雇用形態ごとの就業者数が載せられています。

「労働力調査(詳細集計) 2019年(平成31年・令和元年)4〜6月期平均(速報)結果」



男性は正規2335万人、非正規684万人ですが、
女性は正規1177万人、非正規1439万人です。
男性の非正規率は22.6%で4分の1以下ですが、
女性は55.0%で半数以上です。

(この表は役員を除いていますが、
朝日の記事は役員を含めた数値なので、
値が異なると思われます。)

過去からの推移を見ても、非正規雇用の割合は
むしろ増加傾向にあるくらいです。
近年は女性の就業者の非正規雇用の
割合は半数以上が続いています。

「第6図 年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移」




女性の就業者が増えたと言っても、
非正規雇用という労働市場の周辺に
回されるという状況、そして男性との格差が
大きいことは変わっていないということです。

日本はバブル以前から、女性の就業者は
パートの割合が高く、その後女性の就業者数は
少しずつ増え続けながらも、
パートの割合が高い状態は、
あまり変化しなかったのでした。

近年の「アベノミクスがもたらす女性活躍」も、
増えた女性就業者はパートや非正規に
回っているという、従来通りのことを
推進しているだけと言えます。

1980年代から女性はほぼ全員が
就業していて、パートを減らしてフルタイムを
増やすことを続けてきた、
スウェーデンとの違いが現れています。

「女性の就労形態の組成変化」
「30〜40代女性の組成の変化(日瑞比較)」



posted by たんぽぽ at 15:07 | Comment(2) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
 女性非正規労働者としていろいろ思うところはありますが。

 それより、この統計に関して。夫の扶養範囲内で働く女性は「就業者」と「専業主婦」のどちらに入っているのか?も気になります。
 というのは、確か一昨年の秋ごろから法律が変わって、それまで週30時間以上の労働契約の人が社会保険加入義務ありだったのが、週20時間以上になりました。それで、扶養を外れた人は多いと思うんですよ。もし、統計方法が後者だった場合、実労働者の数が同じでも統計上増えた、なんてことはないですかねえ?
Posted by イカフライ at 2019年08月14日 13:26
イカフライさま、おひさしぶりです。
こちらにコメントありがとうです。

>夫の扶養範囲内で働く女性は「就業者」と「専業主婦」の
>どちらに入っているのか?

原資料を見たけれど、わからないです。
(どこかに書いてあるかもしれないですが、
少し探したくらいでは見つからないです。)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/index.html

いかんせん、日本は専業主婦を失業者に
カウントしない統計を取りますからね。
ご指摘のことはどう扱っているのか、
たしかに気になるところです。
http://taraxacum.seesaa.net/article/458378638.html


>統計方法が後者だった場合、実労働者の数が同じでも統計上増えた

過去からの推移のグラフを見るかぎり、
就業者数の変化はなめらかですね。

ご指摘のようなことがあれば、
法律が改正された年だけ急激に
数値が変化すると思われるので、
おそらくないだろうと、いちおう考えています。
Posted by たんぽぽ at 2019年08月14日 23:02
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