日本の潜在扶養指数が世界最低であるという、
国連人口部の調査結果をご紹介しました。
「世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果(日本語訳)」
「世界人口の増大が鈍化、2050年に97億人に達した後、 2100年頃に110億人で頭打ちか」
潜在扶養指数は、高齢者ひとりあたりの、
生産年齢人口の人数です。
このエントリでは潜在扶養指数を求める際、
生産年齢人口は25歳から64歳、
高齢人口は65歳以上としています。
国連人口部のオリジナル資料はこちらにあります。
この中から、潜在扶養指数の推移について、
日本を含めたいくつかの国について
見ていきたいと思います。
「Population Division World Population Prospects 2019」
資料はインターラクティブデータを
利用するのが、わたしには便利でした。
見たいデータだけ表示させることができます。
「Interactive Data」
「2020年」が今年2019年に発表された
データになると思います。
日本の潜在扶養指数は1.8です。
国連人口部の報告書にある通り世界最低です。
潜在扶養指数が2以下の国は、
日本のほかにはないようです。
生産年齢人口の割合低下が社会保障制度に圧力
労働年齢人口の65歳以上人口に対する割合を示す
潜在扶養指数は、全世界で低下を続けています。
日本はこの率が1.8と、世界で最も低くなっています。
また、欧州とカリブを中心とする29カ国では、
すでに潜在扶養指数が3を下回っています。
2050年までに、欧州・北米、東・東南アジアを
はじめとする48カ国では、
潜在扶養指数が2を下回るものとみられます。
こうした低い数値は、高齢化が労働市場と
経済実績に及ぼす潜在的な影響のほか、
多くの国が高齢者向けの公的医療、年金および
社会保障制度を構築、維持しようとする中で、
今後数十年で直面することになる
財政圧力を如実に示しています。
日本の1990年の潜在扶養指数は4.6でした。
アメリカ合衆国の4.0や、ヨーロッパの
主要国よりも高く、日本はむしろ
開発途上国に近いくらいでした。
日本の潜在扶養指数が下がって、
ヨーロッパに追いつくのは2000年ごろです。
2010年以降は、日本の潜在扶養指数は
世界最低となって飛び抜けていきます。
潜在扶養指数の将来推計を見ると、
日本は今後も少しずつ下がり続けます。
朝日新聞の記事にも出ている通り、
2050年には1.1になります。
これは世界最低レベルと言えます。
日本の人口減と高齢化は際立っている。
17年の推計では2100年の日本の人口は
8450万人だったが、今回は7500万人に下方修正。
65歳以上1人あたりの25〜64歳の「現役世代」は、
現在1・8人で世界最低だが、
50年には1・1人に減るとしている。
2030年代になると世界の主要な国でも
潜在扶養指数が2以下になる国が出てきます。
2050年に日本以外で、潜在扶養指数が
最低レベルの国は、イタリア(1.2)と
スペイン(1.2)があります。
家族やジェンダーに因襲的な国が、
高齢化社会になるということなのでしょう。
東アジアで2050年に潜在扶養指数が
低くなる国は、韓国(1.2)、台湾(1.3)です。
これらは2020年はいずれも3.8で
開発途上国にやや近いくらいです。
今後の30年で急激に高齢化が
進むことが予想されています。
ドイツの2050年の潜在扶養指数は1.6です。
2020年の2.5からは減少しますが、
それでも意外と減らないと思います。
少子化を克服したと言われる
2050年のフランス1.6と同程度です。
スウェーデン、フィンランドの2050年の
潜在扶養指数は、それぞれ2.0と1.8です。
ほかの主要国とくらべると高くなっています。
2020年の潜在扶養指数は2.5と2.2です。
今後30年で減少はしますがごくゆっくりです。
スウェーデン、フィンランドの両国は
家族・ジェンダー政策に長年力を入れてきた
成果が蓄積されているので、高齢化があまり
進行しなくなっているものと思います。