2019年08月25日

toujyouka016.jpg アメリカ合衆国の夫婦別姓の割合

アメリカ合衆国における婚姻時の苗字の
選択についての、ニューヨークタイムズの記事と
それをもとにした日本語の記事があります。

アメリカ合衆国は夫婦別姓が選択できます。
記事では夫婦別姓(非改姓結婚)を選ぶ
女性の割合を中心的に扱っています

「Maiden Names, on the Rise Again」
「意外に保守的、アメリカの「選択的夫婦別姓」事情」
「「選択的夫婦別姓制度」をニューヨークで記者会見〜アメリカの別姓事情」

 
アメリカ合衆国では結婚時の苗字の選択は
つぎの5つの選択肢があります。
1.は夫婦別姓で2.はどちらかが改姓する
日本でも認められている夫婦同姓です。

1. 自身の姓を維持 (夫スミス、妻ブラウン)
2. 相手の姓に変更 (夫婦共にブラウン、夫婦共にスミス)
3. 夫婦の姓の全部・一部を統合 (ブラウンスミス、スミスブラウン、ブラスミなど)
4. 夫婦の姓をハイフンで結ぶ (ブラウン−スミス)
5. 夫婦どちらかの姓をミドルネームにする(ブラウン・スミス)


それぞれの選択をする割合ですが、
2.の夫婦別姓(非改姓結婚)は22%です。

これだけ多くの選択肢がある自由の国アメリカですから、
別姓を選ぶ女性が多いように思われがちですが、
ニューヨークタイムズ紙の調査によると、
夫の姓を選ぶ女性が67%と圧倒的に多く、
別姓を選ぶ女性は僅か22%です。

それでも近年は別姓を選ぶ人が増えている
とのこと(70年代17%、90年代18%)。
その他、両家の姓をハイフンで結ぶ女性が6%、
その他が4%となっています。

夫の苗字に改姓する女性は67%で、
全体の約3分の2ほとになりますが、
これは2.の大部分と考えられます。
4.の両方の苗字をハイフンでつなぐ女性は6%です。

4%を占める「その他」は3.、5.の選択と、
2.のうち男性が妻の苗字に改姓して
夫婦同姓となるケースだと思います。


夫婦別姓(非改姓結婚)を選ぶ割合に
影響する階層は、学歴と年収です。
学歴、年収が高い女性ほど、夫婦別姓(非改姓結婚)を
選ぶ割合が高くなるという調査があります。

総じて、年齢や学歴が高く、婚姻時に仕事上の
地位がある女性、前の配偶者との間に
子供がいる場合は別姓を選ぶことが多く、
信仰はあまり関係がないようです。

特に所得や学歴が高くなるほど別姓を選ぶ傾向が強く、
年収15万ドル(1,800万円)以上になると40%、
2万5千ドル(300万円)以下では
13%の女性が別姓を選んでいます。

博士課程保持者は最終学歴が学部卒以下の
女性より別姓を選ぶ率が10倍高く、
大学院卒は学部卒より3倍高いとのことです(Gretchen等)。


わたしがここで取り上げたいのは、
アメリカ合衆国で夫婦別姓を選ぶ
女性の割合が22%という数字です。
わたしは妥当な割合だと思って、
「こんなものだろう」と思ったのですが、
これをご覧のみなさんはいかがでしょうか?

日本語(ヤフー)の記事では、22%という数字を
「わずか」「保守的」と言っています。
わたしはそんなことはないと思ったのですが、
記事著者には意外と少なかったものと思います。

記事著者はアメリカ合衆国で
夫婦別姓(非改姓結婚)を選ぶ女性は
どのくらいいる印象だったのでしょうか?
半数以上の女性が夫婦別姓という、
イメージだったのでしょうか?


日本では20-30代の女性の63%が夫婦別姓
(非改姓結婚)を希望するという調査があります。
女子校の7割ほどの生徒が、小論文の課題で
結婚改姓したくないと書いたお話もあります。

「非改姓結婚希望が6割以上」
「夫婦別姓の希望は実は多数派?」

夫婦別姓が可能になったら、あなたは?


日本のこうした状況から類推すると、
アメリカ合衆国でも7割くらいの女性が
夫婦別姓(非改姓結婚)を選んでいる、
少なくとも夫婦同姓より多数派である、
という印象になるのかもしれないです。


アメリカ合衆国で選択的夫婦別姓が
認められたのは1970年代です。
選択的夫婦別姓の歴史が半世紀近いことを考えると、
夫婦別姓を選ぶ女性が22%というのは、
少ないと言えるかもしれないです。

アメリカ合衆国でも選択的夫婦別姓が
認められる前は、女性が夫の苗字に改姓して
夫婦同姓となるのが当然の慣習でした。
現在もこの意識は残っているようです。

https://wezz-y.com/archives/60735/2
アメリカでも伝統的な価値観を持つ女性は
結婚に際して姓を夫のものに変え、
男性も「妻には自分の姓を名乗ってほしい」と考える。
だが、アメリカは日本に比べると「家」の概念が薄い。

過去からの因襲はなかなか変わらない、
ということなのでしょう。
そのあたりが、アメリカ合衆国で
夫婦別姓(非改姓結婚)を選択する女性が
多数でないゆえんなのでしょう。

posted by たんぽぽ at 23:11 | Comment(2) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
そういえば、アメリカのドナルド・トランプ大統領の娘夫婦である、イヴァンカ・トランプ氏とジャレッド・クシュナー氏だって別姓夫婦なのではないでしょうか。
イヴァンカ氏は父親と同じ姓に愛着と誇りを持っているのだろうと思います。
それこそ「トランプ・タワー」だってありますし。
(この辺りの詳しいことはよく分かりません。ご存知でしたら教えていただきたいです)

なお、トランプ大統領の妻・メラニア氏は、ドナルド・トランプ氏との結婚で改姓しました。
Posted by アイス at 2019年08月28日 18:34
アイスさま、
まともなコメント、ありがとうございます。

>イヴァンカ・トランプ氏とジャレッド・クシュナー氏だって別姓夫婦

そうですね。
ツイッターで選択的夫婦別姓が話題になったときも、
ときどき出てくることがあります。

>イヴァンカ氏は父親と同じ姓に愛着と誇りを
>持っているのだろうと思います

「トランプ」は普通名詞だと「切り札」ですし、
苗字に対するこだわりはありそうですね。
職業上のキャリアの問題もあるだろうと思います。


>(この辺りの詳しいことはよく分かりません。

わたしも残念ながらくわしくないです。
もうしわけないです。
Posted by たんぽぽ at 2019年08月28日 22:23
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