2019年08月31日

toujyouka016.jpg 非正規の女性も結婚に消極的

とくに就職氷河期に大量に生じた非正規雇用や
無業の女性を、日本社会がずっと無視してきたことの
問題について指摘する記事があります。

「非正規・無職の女性たちをずっと無視してきた「日本社会の罪」」
(はてなブックマーク)

今回注目したいのは、男性だけでなく女性も、
正規雇用のほうが非正規雇用や無業より
結婚する割合や子どものいる割合が高いことです。

 
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66225?page=3
これまで未婚化が進んだ背景には、男性の所得が
下がったことや非正規雇用の問題があるとされてきた。
だが最近わかってきたのは、女性でも、
非正規や無業の人よりも正規雇用の人の方が
結婚する確率が高いということだ。

さらに、非正規と正規の人を比べると、
出産している人が多いのも正規雇用の人である
(現在の状況ではなく結婚前、出産前の状況を比較した場合)。
正規雇用者はより所得が高く、出産や育児支援の制度が
整っているからだと考えられる。
パートナーとなる女性の経済力を
気にする未婚男性も増えてきている。

これはどんな調査で示されるかですが、
結婚する割合については、
内閣府経済社会総合研究所の意識調査があります。

「少子化と未婚女性の生活環境に関する分析
〜出生動向基本調査と「未婚男女の結婚と仕事に関する意識調査」の個票を用いて〜」


未婚のかたを対象に、結婚する希望が
あるかどうかを調べたものです。
正規、非正規、無業と雇用形態別に、
男女でわけて割合をわけてしめしています。


結婚の希望は、現在交際している人が
いるかどうかで、状況が多少変わってきます。
交際している人がいないかたのケースは顕著です。

「いずれ結婚するつもり」は
いずれのジェンダー、雇用形態も
「交際を望んでいる>交際を望んでいない」です。
交際するからには結婚を前提にするでしょうから、
これは当然の結果だと思います。




雇用形態別に見ると「結婚するつもり」が、
「正規>非正規>無業」となっています。
「一生結婚するつもりはない」は、
「正規<非正規<無業」です。
雇用形態と結婚の希望とあいだに
相関がはっきりしていることがわかります。

さらに見ると、男性と女性とで数値に
差があまりないことがわかります。
雇用形態と結婚の希望との相関は、
ジェンダー差がほとんどないということです。

最初の記事で指摘されている、
男性だけでなく女性も無業や非正規より
正規雇用のほうが結婚しようと思うことが
多いことが示されていることになります。


さらに交際している相手がいないかたに、
交際を望んでいるか望んでいないかを
お尋ねした結果があります。

「交際を望んでいる」は男女とも、
雇用形態の依存はほとんどないです。
「交際を望んでいない」は男女とも、
「正規<非正規<無業」となっています。

「結婚」の前の段階である「交際」も、
雇用形態による依存があり、正規雇用よりも
非正規や無業のほうが消極的ということです。




雇用や収入が不安定だから、
結婚したり子どもを持ったりしない人が
増えているというのは、よく言われることです。
そしてそれは男性も女性も同様ということです。

これまで未婚率の上昇や出生率の低下は、
男性の雇用や収入の不安定だけ
原因として考えてきたと思います。
女性の生活の不安定は、あまり問題にしなかった
きらいがあるのでないかと思います。


ひとつは女性は結婚や出産で
非正規雇用に回されることが多いので、
雇用形態とマリッジステートの関係を調べても、
「女性は既婚者に非正規雇用が多い」
という結果が出ることがふつうです。

「ジェンダー別の正社員の割合」

それゆえこうした統計を見ても
「女性も非正規だと結婚に消極的になる」ことが、
見えにくいことがありそうです。


もうひとつは「女は結婚すれば生活は
なんとかなる」「女の生活の安定は結婚すること」と
考えてきて、女性に非正規や無業が
多いことを、社会的に問題のあることと
考えなかったことがありそうです。

男女ともに安定した雇用と経済基盤が
なければ、家庭を持つことは難しい。
しかし、社会も「女性は結婚すればなんとかなる」と、
女性の働き方を軽んじてこなかっただろうか。
そして、非正規や無業の女性たちを「見えない」存在
として扱ってきたのではないだろうか。

これも一種の「オンナコドモのことは
くだらない」と考えて、ジェンダー問題を
見なかったことにするという
「政治的ミソジニー」だと思います。


男性に関しては雇用や収入が不安定だと
結婚したり子どもを持ったりしないという
認識がまがりなりにも広まって、
「昭和おやじ」の思考から脱却したと言えます。

女性に関しては、「女は結婚すれば
問題ない」とあいかわらず考えていて、
「昭和おやじ」の思考を続けていることになります。

posted by たんぽぽ at 23:53 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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