8月31日エントリの続き。
女性でも無業や非正規雇用の人は、
正規雇用の人より結婚に対して
消極的になるという指摘についてです。
「非正規・無職の女性たちをずっと無視してきた「日本社会の罪」」
前回は現在交際していないかたの場合、
交際や結婚の希望が雇用形態に依存すること、
それは男性も女性も同様で、ジェンダー差が
ほとんどないことを見たのでした。
今回は交際している相手がいるかたの
ケースを見てみることにします。
交際相手がいるかいないかで、結婚に対する積極性が
変化することが考えられるからです。
データは前回同様、内閣府経済社会総合研究所の
意識調査を見ることにします。
「少子化と未婚女性の生活環境に関する分析
〜出生動向基本調査と「未婚男女の結婚と仕事に関する意識調査」の個票を用いて〜」
はじめに現在交際している人と直接関係のない、
一般的な結婚についての考えかたです。
ジェンダー・雇用形態に関係なく、
「いずれ結婚するつもり」は
「一生結婚するつもりはない」より
はるかに割合が高くなっています。
一般的な結婚観を訊かれていると言っても、
現在交際している相手がいることは、
強く意識されるものと思います。
雇用形態別に見ると、「結婚するつもり」は
男女ともに「正規>非正規>無業」、
「結婚するつもりはない」は、
やはり男女とも「正規<非正規<無業」です。
結婚に対する積極性が雇用形態に
依存することがはっきりしています。
男女で数値の差があまりないことも
注意することだと思います。
交際相手がいても、結婚の積極性が
雇用形態に依存するのは男性も女性も同様
ということが、ここでもあらわれています。
つぎに現在交際している相手との
結婚についての考えかたを見てみます。
交際している相手が「友人」の場合、
「結婚したいと思っている」は
男女とも雇用形態の依存はほとんどないです。
「結婚は考えていない」になると
男女とも「正規<非正規<無業」になります。
数値は全体的に男性のほうが
女性より大きく、また雇用形態依存も
男性のほうが強くなっています。
交際している相手が「恋人」の場合、
「結婚は考えていない」は男女とも
雇用形態の依存はあまり見られないです。
「結婚したいと思っている」は
女性は雇用形態依存はあまり見られないです。
男性は雇用形態依存がはっきりあって
「正規>非正規>無業」です。
現在交際している相手との結婚という
かなり具体的、現実的なレベルになると、
男性のほうが雇用や収入が安定することで、
結婚に積極的になることになるようです。
最初の記事の問題提起は、女性でも雇用や
収入が不安定だと、結婚や子どもを持つことに
消極的になること、そしてそれがこれまでは
あまりかえりみられなかったことです。
未婚率の上昇や出生率の低下に関して、
男性だけ生活の不安定が問題にしがちな
理由として、雇用や収入が安定することで、
現在交際している相手との結婚に
積極的になるのは男性のほうが顕著
ということも、あるのかもしれないです。