2019年09月14日

toujyouka016.jpg 女性有権者が支持した女性候補者(3)

9月12日エントリの続き。

女性候補者の当選と女性有権者の
投票についての、三浦まり氏のコメントは
なかなか示唆的だと思います。

「「自分たちの問題」有権者に響いた」

 
上智大の三浦まり教授(政治学)の話

これまでも「小泉チルドレン」
「小沢ガールズ」など政党が目玉候補として
女性を擁立したことはあった。

最近では夫婦別姓やワンオペ育児など、
課題や悩みにぶつかり、政治を変えるしかない
というやむにやまれぬ思いから
女性が立候補するようになってきた。
その思いが「自分たちの問題だ」と
女性の有権者に響いて、支持が集まったのだろう。

女性候補を擁立すると女性票を掘り起こす。
今回、その兆しがみえてきたことで、
政党も次の選挙に女性候補を
擁立しようという流れになっていく。

00年代は女性候補と言っても、
タレント的要素の強い人が多かったのでした。
10年代には、生活やジェンダーの課題に
積極的に取り組む、内実のある女性候補者が
多く手を上げるようになります。

2019年の参院選になって、そうした内実のある
女性候補者に女性有権者が投票するという、
有権者からの呼応も出てくるように
なったということです。


00年代のころは、女性有権者が女性候補者、
女性議員を避けるという現象が一般的でした。
これは民主党が女性からの支持が
低めだった原因のひとつでもあります。


10年代になると民主党は女性から
不人気という状況はほぼ解消されます。
野田政権の支持率にジェンダー差はほとんどないです。
女性有権者が女性の政治家を避ける現象も
解消されたのだろうと思います。

「女性に不人気な安倍政権」

安倍内閣の支持率

安倍政権は発足以来、女性からの支持率は
男性からより低い状態が続いています。
ジェンダー差別的な政権や政治家を
女性が避けるようになってきたのでしょう。


それでも生活やジェンダーの問題に
直面する人たちが、自分たちの暮らしと
政治を結びつけない状況は続いていました。

「争点にならない女性政策」


2010年代の最後の年の選挙になって、
女性有権者が、自分たちの課題に熱心な
女性候補者に投票するという、
暮らしと政治が結びついた現象が
目立つようになってきたということです。


こうして見ると有権者の意識が20年ほどで、
着実に高くなっていることがわかります。
理由はいろいろ考えられるでしょう。

ここでは、生活やジェンダーの課題に
熱心な女性候補者を政党が擁立し続けたので、
有権者がそれに呼応するようになった、
ということを指摘しておきます。


平成時代になって、投票率が下がり
無党派が増えたのは、政治が市民生活の
課題をかえりみないからだという、
「みらい選挙プロジェクト」の三春充希氏の
指摘についてお話したことがあります。

「投票率の低下と無党派の増加」

生活やジェンダーの課題に熱心な女性候補者に
女性有権者が投票するようになったことは、
政治が市民生活の改善に熱心になり、
有権者がそれに反応するようになった
ということになります。

三春充希氏が指摘する「政治が市民生活の
課題を解決しないから投票率が下がる」
ということが、この点に関しては
解消され始めたことになるでしょう。


生活やジェンダーの課題に積極的な、
女性候補者に投票した女性有権者は、
30代を中心に若年層ほど多いことを、
あらためて指摘したいと思います。
彼女たちは「令和時代の有権者」ということです。

「女性有権者が支持した女性候補者」

政治と自分たちの暮らしが結びつかず、
投票率の低下と無党派の増加をもたらした
「平成時代の有権者」から脱却するのは、
令和の時代に有権者となった世代、
ということになりそうです。

posted by たんぽぽ at 22:40 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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