女性でも無業や非正規雇用のかたは
正規雇用より結婚に消極的になる、
という実態を見てきました。
「非正規・無職の女性たちをずっと無視してきた「日本社会の罪」」
この記事はもともとは、就職氷河期世代の女性は、
非正規雇用が多く、高齢世代になると貧困に
陥る可能性が高いという問題提起です。
男性の40〜44歳時点で、団塊世代の未婚率は
わずか11.8%だが、団塊ジュニアは30%である。
これは女性も同じで、40〜44歳時点の未婚率は
団塊世代の5.8%に対し、団塊ジュニアでは19.3%になっている。
団塊ジュニアは、親世代に比べて
単身で高齢者になる人が多いということだ。
次に大きな違いが雇用状況である。
団塊ジュニアの大学卒業時はバブル崩壊後の就職氷河期であり、
その後失われた20年、いや30年の中で職業人生を送ってきた。
非正規雇用の人も多い上に、正規雇用であっても
他の世代に比べて収入が低い。
つまり、団塊ジュニアが高齢者になる2040年には、
単身で年金も不十分な高齢者が増えるということである。
そして、その後はロスジェネといわれる世代が
続々と高齢期を迎えることになる。
そもそも年金は、それだけで老後を
支えることは想定されていない。
現役時代にある程度の貯蓄をして、
その蓄えと年金を合わせて暮らすように考えられているのだが、
非正規では十分な貯蓄も難しいだろう。
就職氷河期の女性は、未婚率、無子率が高く、
非正規雇用が続いているので収入が少なく、
貯蓄も年金も少ないということです。
それゆえ高齢世代になったとき
深刻な貧困におちいる人が多く、
親世代の団塊世代よりさらに深刻であることが
予想されることになります。
8月5日の国連人口部の人口推計のエントリで、
2050年ごろには「早死に」する高齢者が
増えてくる可能性があることを、
わたしは予想をしたのでした。
「日本の人口・2058年に1億人を割ると推計」
このくらいの超高齢化社会になると、
高齢者を支える福祉や医療、年金が破綻して、
早死にする高齢者が多くなることを
危惧するかたもいらっしゃるかもしれないです。
「早死に」と言っても、たとえば、
85歳まで生きられるはずのかたが、
75歳で亡くなった、というレベルです。
それでも日本人の平均寿命を下げるくらいには、
高齢者の「早死に」が増えることは考えられます。
「早死に」する高齢者が増えるとしたら、
就職氷河期の女性に多いのではないか、
ということが考えられます。
貧困におちいっていれば、じゅうぶんな介護や
医療を受けられないことはもちろん、
通常の日常生活もままならないからです。
貧困で「早死に」することも多い高齢女性を、
日本社会は救済するでしょうか?
それまでと同様、就職氷河期世代の女性の
貧困なんて「見て見ぬふり」をして
放置するのではないかという予感がします。
ただでさえ「オンナコドモのことは
くだらない」と思って、女性の問題を
「存在しない」ことにする日本社会です。
高齢の女性なんて、なおさらまともに
取り合おうとはしなさそうだからです。
寿命が近いですから、だまって放置して、
寿命が尽きて「存在しなくなる」のを
待つだけではないかとさえ思います。
もっと露骨な言いかたをすれば「見殺し」です。
かりに就職氷河期の貧困高齢女性を
救済しようという意識があったとしても、
2050年前後の日本社会が持てるリソースで
彼女たちをまともに救済できるかどうかも、
とても怪しいとも思います。
就職氷河期世代の女性は、社会に出たときから
寿命が尽きるときまで、日本社会のしわ寄せを
押し付けられ犠牲となり続けるのかと思うと
暗雲たる気持ちです。
女性を安い労働力として扱い続けることが、
さらに未婚化を進め、少子化を加速させ、
「無子高齢化」社会を招いている。
こうやってますます私たちの社会の存続可能性が脅かされているのだ。
就職氷河期を経験して、若者を使い捨てにする社会が
どんなことになるかを痛感しているはずである。
過去は変えられなくとも、現実を直視し、
未来を変える力が私たちにあると信じたい。
社会の存続可能性が損なわれることで、
被害を受けるのが社会的強者、既得権益者なら、
まだ「自業自得」と言えると思います。
実際に被害を受けるのは、弱い立場の人たち、
それまで社会の犠牲になってきた人たちに
というのは、なんともやりきれないです。