市民団体のかたが陳情に行った先の
男性議員による、選択的夫婦別姓に対する
すさまじい偏見と差別意識を見ていきます。
「論文、選挙、子連れ再婚…夫婦別姓なくて困る女性と「妻の不倫」心配する男性」
(はてなブックマーク)
今回はひとつ目の意見を見てみます。
妻が夫の苗字を名乗らないと結婚しているか
わからないなんて、選択的夫婦別姓の反対派の
主張としては古典的な部類でしょう。
「愛人が増える?」夫婦別姓を通して見えた女性蔑視
議員と話す中で感じるのは、選択的夫婦別姓への偏見だ。
「夫の姓にしないと社会的に結婚しているか分からない。
愛人と見分けがつかなくなる」
その理屈なら、男性は妻の苗字にしないから
社会的に結婚しているかわからなくても、
それで愛人と見分けがつかなくてもいいことになります。
かかるジェンダー非対称が、はじめに思うことです。
女性にだけ外から「標識」をつけて、
男性にとって女性が結婚しているかどうか
わかるようにしたいのでしょう。
男性中心の発想であり、ジェンダー差別的で
あることは言うまでもないです。
愛人の心配をする時点で偏っていると思います。
人(男性)はみな愛人を持つと
決まっているのではないです。
くだんの議員やその友人知人たちは、
そういう男たちなのかもしれないですが、
他人も同じだと思わないことです。
男性に愛人がいることを前提にもしているので、
ジェンダー差別的でもあります。
批判するべきは「男性が愛人を持つこと」です。
選択的夫婦別姓や結婚改姓しない女性に、
責任転嫁することではないです。
現実に女性が結婚改姓して夫の苗字を
名乗っていれば、婚姻関係にあることが
「社会的」にわかるのか?という問題があります。
既婚者が未婚者のふりをすることで、
不倫をしやすいと考えているのでしたら、
補助ブログの9月22日エントリでお話しています。
「夫婦別姓は不倫しやすくない」
夫婦別姓か夫婦同姓かがわかるためには、
その相手が既婚かどうかわかる必要があります。
既婚と知れた時点で不倫とわかるので、
苗字の情報はもう必要ないです。
「社会的」うんぬんを言うなら、
婚姻関係にあることを証明するためには、
行政、民間のいずれの場合も、なんらかの書類
(戸籍抄本、住民票、婚姻届け受理証明書など)を
提出することを求められます。
「経済合理性から見た非改姓結婚」
「夫婦別姓でなにを不正受給する?」
「名字が同じだけで家族確認?」
日本人のお客様は結婚・離婚などによって姓が変わるたびに
有価証券の名義の氏名変更を行うため、
多くの書類と署名を運用会社に提出しなくてはなりません。
姓変更に伴う身分証明書(パスポート)の変更、
それに伴う署名の変更ともなると、場合によっては
司法書士に依頼する必要もあります。
逆に、生命保険の加入などにおいて、婚姻関係の証明という
意味では姓が同じことは有効にはなりません。
苗字が同じというだけで夫婦だと判断されて、
審査を通過するサービスは、行政にも民間にも
存在しないということです。
女性が結婚改姓して夫の苗字を
名乗ったところで、「社会的に結婚している」と
わかるわけではないことになります。
「婚姻関係」というプライベートなことを
対外的にわかるようにする必要があるのか?
という疑問ももちろんあります。
とくに婚姻状態が知れることは、
差別や偏見のもとになることもあります。
くだんの議員のように、配偶者か愛人かを
見分けるために、婚姻状態を詮索するなど、
目的自体が差別と偏見です。
個人的にとくに親しい相手とか、
上述のように行政や民間のサービスを受けるために、
証明が必要という場合でもないかぎり、
マリッジステートのような個人情報は
詮索することではないでしょう。
2019年の現在、世界中のほとんどの国で
選択的夫婦別姓が認められています。
スペインやフランス、イタリアのように
夫婦別姓が原則の国もあります。
これらの国ぐにで、女性が夫の苗字を
名乗らないことで、結婚しているかどうか
社会的にわからなくて困るとか、
愛人と見分けがつかなくて問題になっている、
ということはないです。
なぜ日本の男性だけ、女性が結婚改姓しないと
婚姻状態がわからなくて困るのかと思います。
本当にわからなくて困るのなら、
問題にするのは「日本の男性」です。
他人が結婚しているかどうかわかる必要が
あったことは、わたしもないです。
必要なことなら、結婚しているかどうか、
本人が直接お話していると思います。
女性が結婚しているかどうか
把握したがる男性というのは、
「あの子はまだ独身かな、独身なら
ぼくと結婚できるかも」なんて
つねづね考えているのだろうと思います。
このようなすけべ根性は、
同窓会の名簿を見るときに
発揮されることが多いようです。