「夫婦別姓訴訟(連れ子の苗字)・原告敗訴」
「最高裁判決からの事情の変化」
連れ子の苗字に関する夫婦別姓訴訟の
一審判決について引き続き見ていきます。
「夫婦別姓訴訟、請求退ける 弁護士が敗訴、東京地裁」
「夫婦同姓「違憲とまでは」 東京地裁、原告の訴え棄却」
「夫婦別姓訴訟、弁護士が敗訴 東京地裁」
「夫婦別姓訴訟「子連れ再婚のケース検討を」弁護士が控訴」
原告の主張には、現行の夫婦同姓の強制は、
初婚しか想定していないということがあります。
これは具体的には子どもの苗字に関することです。
原告の子どもたちは母親の前の夫の
苗字を名乗っていますが、15歳になったら
母親の旧姓を名乗ることを希望しています。
ところが母親が再婚して改姓したので、
子どもたちは母親の旧姓を名乗ることが
きわめてむずかしくなりました。
夫婦別姓が選択できて、母親が結婚しても
改姓しなければ、子どもが母親の旧姓を
名乗れなくなることはない、ということです。
判決によると、夫妻は18年に再婚。
妻は夫の「出口」姓に改めたが、妻の連れ子2人は
離婚時の条件で元夫の姓を使い続けている。
2人は将来、妻の旧姓に改めることを希望しているため、
夫婦別姓制度が導入されなければ希望がかなえられないと主張。
「最高裁判決は連れ子のいる再婚夫婦の
事情を考慮していない」と訴えていた。
一般的にも離婚したあとは母親が
連れ子を連れていることが多いです。
そして母親が再婚すると改姓することが多いです。
これによって連れ子が改姓することになり、
親の事情が学校などで知れやすくなります。
子どもが中学生、高校生といった多感な時期だと、
心理的な影響も大きいでしょう。
現行の夫婦同姓の強制は、子どものプライバシー
ということを、考えていないことになります。
出口弁護士は、「連れ子2人は中高生。
氏を変えるというのは学校でも目立つ話で、
それが母親の旧姓の氏ではなく、
再婚相手の出口になるというのはインパクトがある。
裁判所は子どもの置かれている環境を考慮していない」と批判した。
妻は「子連れ再婚した者の置かれた
状況について全く考慮されておらず、
とても残念です」とのコメントを発表した。
判決は「連れ子のいる場合の再婚は
顧慮されていないわけではない」です。
現状はあきらかに子どもの苗字のことが、
顧慮されていないにもかかわらずです。
判決はこの点についても「連れ子のいる再婚夫婦が
考慮されていないわけではない」との見解を示した。
なぜ「顧慮されていないわけではない」のか、
判決全文を探したけれど見つからないので、
わたしが推測することになります。
(判決全文をご存知のかたがいましたら
教えていただけたらと思います。)
ようはふつうに婚姻届けを出せば、
婚歴に関係なく同じように受理されるので、
「再婚の場合も顧慮されている」と
言いたいのではないかと思います。
親同士が結婚できるというだけで、
子どもの苗字のことは一切無視しても、
再婚が「顧慮されていないわけではない」と
いうことだろうと、わたしは想像します。