信条による差別を主張した、第一次訴訟の後継の
夫婦別姓訴訟の判決を見てみたいと思います。
「夫婦別姓を認めないのは「信条による差別ではない」 東京地裁で原告側が敗訴」
「夫婦別姓訴訟で敗訴「何%の人が容認したら変わるのか」」
「夫婦別姓訴訟 原告側が敗訴」
「夫婦別姓 請求認めず 東京地裁「立法、国会で考慮を」
原告の主張を棄却した理由は、
2015年の最高裁判決を変更するほどの
変化があったとは認められない、です。
連れ子の苗字に関しての
夫婦別姓訴訟と同じ理由と言えます。
大嶋裁判長は、17年に国が実施した
世論調査で、夫婦別姓制度を4割が支持し、
不支持の3割を上回るといった社会の変化をあげたが、
「最高裁判決の正当性を失わせるほどの
変化があったとは認められない」と判断した。
この点について原告側は、
女性の就業率などに関する統計や、
64.3%の人が「家族の姓が違っても
家族の一体感(きずな)には影響がないと思う」と
答えた内閣府の世論調査などを元に反論。
判決は「女性が就業することについての
社会の意識も高まっている傾向にあり、
氏が家族の一体感に繋がるとは考えていないものの
割合は増加傾向にある」と認めた。
だが、2015年と比較して「判例変更を
正当化しうるほどの変化が
あるとまでは認められない」とした。
2018年2月に発表された、内閣府による
「家族の法制に関する世論調査」が、
ここでも根拠として示されています。
ひとつは選択的夫婦別姓の是非そのもので、
賛成が42.5%、反対が29.3%で
賛成が10ポイント以上上回ったことです。
「家族の法制に関する世論調査」
「2.選択的夫婦別氏制度の導入に対する考え方」
「図16 選択的夫婦別氏制度」
ほかに「家族の苗字が違っても、
一体感に影響がないと思う」と答えた人が
64.3%であることを示しています。
「図13 家族の一体感(きずな)」
選択的夫婦別姓の是非そのもので
賛成が反対を上回っていることは、
大島洋志裁判長がみずから言及しています。
それでも最高裁判例を変更するほどの
社会的事情の変化は認められないそうです。
そうなると世論調査でどれだけの人が
選択的夫婦別姓に賛成したら
「最高裁判例を変更する社会的事情の変化」と
認められるのかと思います。
あるいは社会の変化は世論調査ではない
というなら、どんなことがあれば、
選択的夫婦別姓を認めない現行法は、
違憲とされるのかと思います。
「夫婦同姓の強制を合憲とする
最高裁判例を変更するだけの変化」とはなんなのか、
どんな「社会的事情の変化」なら顧慮するのか、
具体的かつ客観的に示してほしいと思います。
「別姓は個人の尊厳の問題で、多数決で決まるものではないはず。
でも何%の人が容認したら判例が変わるのか、
できることなら示してほしい」と語った。