10月7日と10月9日エントリで、夫婦別姓訴訟の
ふたつが原告棄却になったことをお話しました。
サイボウズ社長の青野慶久氏らの訴訟も
原告が敗訴しているので、4つの夫婦別姓訴訟のうち
3つで原告敗訴となっています。
ここではなぜ原告が問題なく有利な
論戦を展開するのに敗訴が続くのか、
その理由をわたしなりに推測することにします。
1. 安倍政権への忖度。
自民党・安倍政権は因襲的な「伝統的家族」を
標榜するので選択的夫婦別姓に反対しています。
そんな政権の顔色を伺って、現行の夫婦同姓の強制を
合憲にしている可能性が考えられます。
裁判所が政権に忖度する直接的な証拠は、
なかなか示せないのでやっかいです。
いくつかの状況証拠をしめすよりないです。
忖度の状況証拠と、わたしが考えるものは以下のふたつです。
a. 安倍政権への忖度は、現在の日本社会に蔓延する病理。
この期におよんで裁判所もこの病理に
毒されていたところで、もう不思議はないです。
b. 朝鮮学校の無償化対象からの排除も、
ほとんどの訴訟で原告が敗訴している。
民主党政権のときは訴訟になったら
国が高確率で負けると言われていました。
よって朝鮮学校の無償化の訴訟も、
裁判所が安倍政権に忖度したことが
考えられるし、夫婦別姓訴訟に対しても
同じことをすることが考えられます。
2. 火中の栗
選択的夫婦別姓の実現は、
統治機構にかかわる人たちにとって
「火中の栗」になっているのではないかと、
わたしは思うことがあります。
実現しなければならないけれど、
直接的には自分の責任で実現したことに
したくない、だれかほかの人の責任で
実現したことにしたい、ということです。
「選択的夫婦別姓は「火中の栗」?」
夫婦同姓の強制に違憲判決を出したことで、
国会が動いて選択的夫婦別姓が実現すると、
実現の直接の責任は裁判所になります。
そうしたくないので、現行民法を合憲として、
「国会で議論すること」として
直接の責任者を自分たちではなく
国会にしようというのだと思います。
なぜ選択的夫婦別姓という「火中の栗」を
自分の責任で拾いたくないかは、
やはり推測するよりないです。
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)は
日本会議など強大な組織があります。
選択的夫婦別姓実現の責任者と、
彼ら反対派からみなされると、
どんな嫌がらせをされるかわからない、
ということがあるのではないかと思います。
3. 政治的ミソジニー
選択的夫婦別姓は「オンナコドモのことで
くだらない」と思っているということです。
だから原告を軽々とあしらうということです。
日本の裁判所がジェンダー平等に
理解があるとは、あまり思えないです。
むしろジェンダーに関しては、
因襲的なほうではないかと思うくらいです。
たとえば最高裁判所判事のジェンダー比が、
それを示していると思います。
「最高裁判決・ジェンダー不均衡」
そんな裁判所であれば、選択的夫婦別姓なんて
「オンナコドモのくだらないこと」など、
踏みにじってもかまわないし、
それでたいした問題にはならないだろうと、
高をくくることも考えられます。