ある種の男性による「結婚で女性は有利」論、
いよいよ本題に入ります。
前の2エントリは準備段階でした。
「「結婚で女性は有利」論について語る」
「「弱者男性」による「女性は有利」論について語る」
今回はツイートで言及されている
「男は女よりセックスをやりたがる」、
よって「結婚でセックスできる女は有利」という
言説を見ていくことにします。
「男は女より“sexやりたがりである”」のは事実だけど、それでなんで女が有利になるのか?妊娠してダメージを受ける(望まぬ妊娠なら中絶、産んだとしても離職・収入減)。…むしろ不利益要因ばっかりじゃないの。https://t.co/0fBgm3dbv8
— kirikomio (@kirikomio) 2019年10月17日
「女はsexできる、結婚できるから有利」言説は、結婚はとにかく女性に有利という考えがあるからではないかな。高度成長期に「結婚で女は永久就職、三食昼寝付き」と揶揄され「結婚は男にとって人生の墓場」とも言われた。
— kirikomio (@kirikomio) 2019年10月17日
ところが、結婚は女に有利で男に不利なんてことないというのが露わになってしまった。男が男というだけで家族を養える安定収入を得られる花畑も崩れたし。しかしその花畑を夢見る人が「女はsexできる、結婚できるから有利」と言っている。
— kirikomio (@kirikomio) 2019年10月17日
男の稼ぎだけで妻子を養えるのが良いのだ、と主張する男性は、自分はそれだけの報酬を企業に出させる高価値だという自信があるのだろうか。あるのなら企業と交渉すればいい話だ。フェミや女に文句つけてないで。
— kirikomio (@kirikomio) 2019年10月17日
かかる言説の意味するところはなにかを、
まずはっきりさせる必要がありそうです。
(なぜこのような発想になるのか、
わからないかたもいるのではないかと思います。)
「男は女よりセックスの欲求が強い、
よって多くセックスしないと欲求が充足しない。
女はセックスの欲求が弱いから
少ない回数のセックスで満たされる。
よって女は男より性欲が満たされやすくて有利」
ではないかと思います。
11月6日エントリでお話していますが、
女性がセックスに対する欲求が少ないのは、
妊娠や出産の負担やリスクが大きいので、
性交渉に対して慎重になる必要があるからです。
「結婚すると女性は不利・性生活」
性感染症の恐れ
— ねる太郎@女性差別するな! (@29nikunikuniku) September 30, 2019
VS
性感染症の恐れ
中絶の恐れ
妊娠の恐れ
流産の恐れ
死産の恐れ
病気の発症リスクが高まる恐れ
妊娠に伴う死亡の恐れ
中絶/流産/死産による後遺症の恐れ
昇級(昇格)を逃す恐れ
退職の恐れ
女性にとって「性行為」はお手軽・お気楽な行為ではないんですよ。
男性は妊娠や出産の負担やリスクが
ほとんどないですから、性交渉に対して
慎重になる要素がほとんどないです。
それで「男は女よりずっとセックスを
やりたがる」ことになります。
「性衝動の生物学的条件」
女性の繁殖成功にとって愛情確認は重要
1. 自分自身の生活レベルから見てもうひとりの生命を背負って
生きてゆくことが可能かどうかの生活レベル判定です。
2. 相手となる男性の適応度がある程度以上に高いかどうかをもとにした
遺伝子継承可能性についての遺伝子選別(配偶者選択)です。
3. 相手となる男性がその生活をサポートしてくれるか
どうかを判断するための愛情確認です。
A. 男性の性衝動は、能動的、攻略的なものであり、
女性の子どもを産む育てる能力(fertility:ファーティリティ、妊孕性)に
ついて無意識のうちになされる評価によって湧き起こる
B. ファーティリティの現在からの積分である
フィカンディティ(ficundity:フィカンディティ、
これからどのくらい子供を産めそうか)という観点
「男は女よりセックスをやりたがる」のは、
性交渉に関して男は女よりずっと有利で、
男には女のような不利がないからです。
こんなことはわざわざ言うまでもなく
わかりきったことだと思うのですが、
この程度のこともわからない男性は
少なくない、ということなのでしょうか?
「男は女よりセックスをやりたがる」、
よって「結婚でセックスできる女は有利」という
発想の男性の考えはつぎのようではないかと、
わたしは想像します。
「男性がセックスをしたがるのは、
性欲が本能だからである。
それは子孫を残すために必要だからである。
女性にとっても子孫を残すために
性欲は本能だから、女性も男性と同様に
セックスをしたがるはずである」
妊娠、出産という負担が女性にだけある
という決定的な差を無視して、
男も女も同じようにセックスしたがると
本当に思っているなら、あまりにも認識が
ナイーブすぎるというものです。
具体的な解決策としては性教育の充実
ということになるのでしょう。
日本の性教育のお粗末ぶりが
あらためて思い起こされるところです。