2020年01月04日

toujyouka016.jpg 青野慶久らの夫婦別姓訴訟・一審判決

12月30日エントリで少し触れましたが、
サイボウズ社長の青野慶久氏らが訴えている
夫婦別姓訴訟の一審判決を少し見てみます。

原告団のサイトで、訴訟で使った資料が
参照できるようになっています。

「ニュー選択的夫婦別姓訴訟」
「東京地裁判決要旨」

 
(わたしは法律はしろうとなので、
解釈が妥当でないところや不適切なところ、
おかしなところがあるかもしれないです。
そのときはご連絡いただけたらと思います。)

訴訟の争点は次のようになっています。

2 主たる争点

(1) 本件旧氏続称制度の不存在が憲法14条1項に違反するか否か(争点1)
(2) 本件旧氏続称制度の不存在が憲法13条に違反するか否か(争点2)
(3) 本件旧氏続称制度の不存在が憲法24条に違反するか否か(争点3)
(4) 本件立法不作為が国家賠償法上違法となるか否か(争点4)
(5) 本件立法不作為と相当因果関係のある原告らの損害の有無及び額(争点5)

今回は争点1(憲法14条)を見ていきます。
憲法14条1項は「法のもとの平等」の規定です。

「日本国憲法 > 第3章 国民の権利及び義務」

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


原告の主張は簡単に言うと、
日本人と外国人の婚姻では夫婦別姓が
認められるのに、日本人どうしの婚姻は
夫婦別姓が認められないのは、
法の下の平等に反するというものです。

日本人同士の離婚、日本人と外国人の婚姻及び
日本人と外国人の離婚の各場面における当事者が、
戸籍法上の氏を称することが法律上許されているのに、
日本人同士の婚姻の場面における当事者が、
本件旧氏続称制度の不存在により、
戸籍法上の氏を称することが法律上許されていないことは、
憲法14条1項に違反した不合理な差別に該当する。

現在の法制度で同姓か別姓か選べる?


被告(国)の主張は大きく2点あると思います。
ひとつは民法を改正せず戸籍法だけ
改正することはできないというものです。

実定法である民法750条の規定を
改正しないまま、手続法である戸籍法のみの
改正によって、夫婦同氏の原則を規定した
民法に反することとなる選択的夫婦別氏制度を
実質的に実現させるような
規定を設けることは、許されない。

それなら民法も改正すればいいだけのことです。
民法を絶対に改正することなく
戸籍法だけ改正しろとは、
だれも言っていないと思います。


そもそも「上位法を変えられないから、
下位法に法の下の不平等があっても
変えなくてよい」という主張が理解できないです。

法の下の平等を守ることが目的であって、
法律はそのための手段です。
手段のために目的を守れないというのは、
目的と手段の倒錯であり、おかしなことです。

こんな国側の主張がまかり通るなら、
下位法の違憲性を問う少なくない訴訟が
起こせないことになるでしょう。

上位法と連動している下位法は
たくさんあるので、下位法の差別性を
解消するためには、上位法を改正する必要の
出てくることも多いからです。


もうひとつの国側の主要な主張は、
日本人どうしの結婚と日本人と外国人の
結婚は決定的に違うというものです。

民法750条の夫婦同氏の原則の適用がある点で、
日本人同士の離婚、日本人と外国人との
婚姻及び日本人と外国人との離婚の
各場面とは決定的な違いがあり、
後者の各場面において簡易な手続きで
氏を称する(又は氏変更する)ことが
できるようにした法の趣旨も妥当しない。

その「決定的な違い」があることが、
法の下の平等に反すると言われています。
国側の主張は「法の下の平等に
反するのではないか?」と訊かれて、
「法の下の平等に反する規定となっている」と
答えているようなものです。


この訴訟はご存知のように原告の敗訴です。
争点1の「法の下の平等」に関しても、
判決は基本的に被告である国の主張に
沿ったものになっています。

「日本人どうしの結婚とそれ以外とで
扱いが異なるのは法の下の平等に
反するのではないか?」と訊かれて、
「扱いが異なるように規定されている」と、
答えているようなものです。

判決文には民法750条への言及がありますが、
ただ「合憲である」と言っているだけです。
2015年12月のの最高裁判決を
繰り返しただけだろうと想像します。
東京地裁の独自の判断はないようです。

(1)日本人同士の婚姻の場面では、
民法750条が適用され、夫婦が同氏であることが
求められるが、同条の規定は、憲法13条、
14条1項及び24条に違反するものではなく、合憲である。


判決文では法律上の氏はひとつに
決まっていて、ふたつにできないことを、
原告の主張の棄却の根拠にしています。

当該場面において、夫婦同氏制度を
維持しつつ、婚姻により配偶者の氏を
称することとした者が、婚姻後も戸籍法上の氏として
婚姻前の氏を称することを認めようとすれば、
その者が社会において使用する
法律上の氏は、二つに分かれることになるが、
そのような事態は、現行法の下で
予定されているものではないです。

それなら法の下の平等の達成のために、
a. 現行の夫婦同氏制度をあたらめる。
b. 法律上の氏をふたつにわけられるようにする
のどちらかが必要ということですから、
a. b. のいずれかを主張するところです。

判決文は「現在の法律ではこう決まっているから
法の下の平等を達成する必要はない」と
言っているようなものです。

目的は「差別をなくすこと」です。
法律はそのための手段です。
手段を維持するために差別がなくせない
というのは手段のために目的が
存在することになって倒錯です。

posted by たんぽぽ at 22:44 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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