2020年01月15日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓訴訟・判決で旧姓使用に言及

1月8日エントリの続き。

サイボウズ社長の青野慶久氏らが訴えている
夫婦別姓訴訟の一審判決の「争点3」を見ると、
旧姓併記の住民票やマイナンバーが
導入されること
に言及があります。

「ニュー選択的夫婦別姓訴訟」
「東京地裁判決要旨」

 
(なお、証拠によれば、旅券や住民基本台帳
及びそれに連動するマイナンバーカードについて、
婚姻前の氏の併記を認める方向で、関係法令の改正等が
検討されていることがうかがわれる。)

これは夫婦同姓を強制する現行民法を
合憲とする根拠の一部として示されたものです。
裁判所が「旧姓使用でじゅうぶんだ」という
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)の理屈に
便乗しているということです。

旧姓使用は苗字の問題をじゅうぶん
解決しないのは言わずもがなです。
旧姓使用できる場面はかぎられるし、
またふたつの名前を使い分ける
煩雑さを避けることができないからです。


「旧姓使用でじゅうぶんだ」とは言ってない、
「部分的な解決だ」と主張していると、
裁判所は言いたいのかもしれないです。

部分的でも旧姓使用では限定的で
ふじゅうぶんな解決だと思います。
夫婦同姓の強制を合憲とするには、
部分的すぎてふじゅうぶんだと思います。


判決文は旧姓使用に言及する箇所は、
全体にかっこがついています。
言い回しも「なお、証拠によれば、」
「うかがわれる」と遠回しにしています。

判決が出た2019年3月の時点で
旧姓使用の住民票、マイナンバーは
まだ導入されていなかったのでした。
それで明言を避けたのはあるかもしれないです。

「11月5日・住民票の旧姓併記が始まる」

旧姓使用について批判されたとき、
「裁判所はそんなに強く主張していない」と言って、
かわすためでもあるのではないかと、
わたしは想像もします。


11月5日から住民票、マイナンバーの
旧姓併記が施行されましたが、
これが身分確認にことのほか効力がないことを、
さきの判決を出した裁判所は
どう考えているのかと思います。

「効力はたいしてない住民票の旧姓併記」
「住民票の旧姓併記・総務省の見解」

判決は住民票、マイナンバーの旧姓併記の前だから、
判決後のことはいっさい関知しない、
なんて裁判所は言うのでしょうか?

判決前から旧姓併記ではふじゅうぶんという
批判がありながら、旧姓併記でじゅうぶん
という判決を出して、現状がじゅうぶんでは
まったくないという状況です。

「司法判断」ではなく「言論活動」として、
自身の発言に対する責任が、裁判所には
あるのではないかと思います。

posted by たんぽぽ at 23:39 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - 夫婦別姓訴訟・判決で旧姓使用に言及 web拍手
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]