2020年02月02日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓反対派のブログ・子どもの苗字

「結婚の意義は女性の保護」とか
「アメリカ合衆国で改姓しない女性は少ない」
熱弁をふるっている選択的夫婦別姓の反対派
「おはよう東京」のブログがあります。

「我が心、本日も晴天なり」

次のエントリは夫婦別姓の場合の
子どもの苗字について問題にしています。
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)の
主張としては定番だと思います。

「選択的夫婦別姓 「別姓夫婦の子の氏は、今までと変わらない」は本当か?」

 
「おはよう東京」は夫婦別姓の場合の
子どもの苗字について懸念があると言っています。
その「懸念」とは具体的になんなのか、
予想はつきますがいまは置いておきます。

夫婦別姓を推進する人たちは、
「別姓夫婦の子どもの氏はどうするのか?」という
懸念に対して、「子の氏は戸籍筆頭者の氏になる。
今までと変わらない」となぜか判で押したように答えるが、
そもそもこれは懸念に対する答えになっていない。

ここでは「子の氏は戸籍筆頭者の氏になる。
今までと変わらない」となぜか判で押したように
答える」の部分を問題にしたいと思います。


わたしが疑問に思ったことは、
選択的夫婦別姓の推進派は「判で押したように」
そのように答えると決まっては
いないのではないか?ということです。

1992年に法制審議会が作った3案のうち、
「選択的夫婦別姓」と呼べるのはA案とB案です。

「新しい夫婦別姓訴訟・とまどい」


[A案]
1 夫婦の氏(750条関係)

(1) 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、
夫又は妻の氏を称するものとする。
ただし、この定めをしないこととすることもできるものとする。
(以下、この定めをして夫又は妻の氏を称する夫婦を
「同氏夫婦」といい、この定めをしないで、
それぞれ婚姻前の氏を称する夫婦を「別氏夫婦」という。)

(2)別氏夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻のいずれかの氏を、
子が称する氏として定めなければならないものとする。

(3)別氏夫婦は、婚姻後、戸籍法の定めるところにより
届け出ることにとって、夫又は妻の氏を
称することができるものとする。
[B案]
1 夫婦の氏(750条関係)

(1) 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、
夫又は妻の氏を称するものとする。
(以下、この定めをして夫又は妻の氏を称する夫婦を
「同氏夫婦」といい、この定めをしないで、
それぞれ婚姻前の氏を称する夫婦を「別氏夫婦」という。)

2 実子の氏(790条、791条関係)
(2)別氏夫婦の子の氏

別氏夫婦の子は、その出生時における父母の協議により
定められた父又は母の氏を称するものとする。

子どもの苗字に関しては、
A案は「父母のどちらかの苗字に統一」で、
「婚姻時に定める」となっています。
B案は「出生時に父母のどちらかから選ぶ」で、
「出生ごとに定める」となっています。


現状で選択的夫婦別姓法案が提出された場合、
A案になる可能性が濃厚ですが、
望ましいのはB案であり、
B案を支持するかたも多いと思います。

選択的夫婦別姓の実現を求めるかたが
「夫婦別姓の場合、子どもの苗字は
どうするか」と訊かれた場合、
「A案とB案がある」「B案のほうが望ましい」と
答えるかたも多いと思います。

よって「子の氏は戸籍筆頭者の氏になる。
いままでと変わらない」と判で押したように
答えたりはしないと思います。


法務省が提出を準備している
選択的夫婦別姓法案は、A案に準拠しています。
「子の氏は戸籍筆頭者の氏になる」も、
A案の扱いを述べているのでしょう。

「民法の一部を改正する法律案要綱」

第三 夫婦の氏
 二 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の
 定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、
 夫又は妻の氏を子が称する氏として
 定めなければならないものとする。

第四 子の氏
 一 嫡出である子の氏
 嫡出である子は、父母の氏(子の出生前に
 父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)
 又は父母が第三、二により子が称する氏として定めた
 父若しくは母の氏を称するものとする。



前述のように選択的夫婦別姓法案が
提出される場合、A案に準拠した法務省案が
提出されることになるでしょう。

それを踏まえたなら「夫婦別姓の場合、
子どもの苗字はどうなるか?」と訊かれた場合、
「子どもの苗字は戸籍筆頭者の苗字になる」と
答えるのはどこも間違っていないし、
ほかに答えようがないと言えます。

「戸籍筆頭者の苗字になる」と答える
選択的夫婦別姓の推進派のかたは、
提出予定の法案の内容について
訊かれたと考えた、ということです。

「おはよう東京」が夫婦別姓の場合の
子どもの苗字に関する自分の「懸念」に
ついての意見を訊きたいなら、
その趣旨が伝わるように、
相手の推進派のかたに訊くことです。

posted by たんぽぽ at 21:31 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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