2020年02月03日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓の子の苗字・争奪戦は起きない

2月2日エントリの続き。

夫婦別姓の場合の子どもの苗字に関して
懸念があるという、選択的夫婦別姓の反対派
「おはよう東京」のブログについて、
引き続き見ていきます。

「選択的夫婦別姓 「別姓夫婦の子の氏は、今までと変わらない」は本当か?」

 
「おはよう東京」の「懸念」の中心は、
以下の箇所になりそうです。
夫婦別姓だと子どもの苗字が決まらず
「争奪戦」になることがある、というものです。

B別姓夫婦の子の氏については、当然のことながら
両家親族を巻き込んでの「氏の争奪戦」があり得る。
この争奪戦が、表立った争いにならなかったとしても、
望みが叶わなかった親族に何かしらの感情が芽生えることは、
ある程度人生経験のある人なら理解できるだろう。

C「別姓で結婚すること」までは合意できても、
「子の氏」について合意できず、
結果として結婚に至らないこともあり得る。
これは、結婚と共に子の氏が自動的に
決まる現行法下ではあり得ないことである。

これは選択的夫婦別姓の反対派の
主張としては定番中の定番です。
すでにさんざん議論されているものです。
「なんだ言いたいのはやはりそれか」です。


現実問題として夫婦別姓の場合、子どもの苗字で
「争奪戦」になることは「まずない」です。
現在も国際結婚や事実婚で夫婦別姓の
家庭はありますが、子どもの苗字で
もめたという報告はないからです。

もめた例があればとっくに報告が
あるでしょうし、問題視され事例が検討され
対策も考えられていると思います。


夫婦別姓の家庭で子どもの苗字で
もめない理由は以下のようです。
子どもの苗字でもめるくらいなら、
その前に夫婦の苗字で揉めるということです。

「夫婦別姓・子の名字でもめない理由」


それゆえ夫婦別姓で同意している
ということは、子どもの苗字の問題も
当然夫婦のあいだで同意ができていて、
すでに解決しているということです。

こんなことは実際に夫婦別姓を選択、
もしくは希望しているかたなら
だれでも知っていることです。
あたりまえすぎて意識しないくらいです。


「おはよう東京」は夫婦別姓の場合
子どもの苗字で揉めることは
「ある程度人生経験のある人なら理解できるだろう」
という意味のことを言っています。

夫婦別姓を実践したことも希望したこともなく、
おおよそ生活感のない選択的夫婦別姓の
反対派のお題目を並べるばかりの
「おはよう東京」の「人生経験」で、
なにが「理解できる」のかと思います。

「夫婦別姓反対派・生活感の欠如」

「ある程度人生経験のある人」なら、
「おはよう東京」の主張こそ非現実的な
空論であると「理解できる」というものです。



posted by たんぽぽ at 22:44 | Comment(3) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - 夫婦別姓の子の苗字・争奪戦は起きない web拍手
この記事へのコメント
>「おはよう東京」の「懸念」の中心は、
以下の箇所になりそうです。
夫婦別姓だと子どもの苗字が決まらず
「争奪戦」になることがある、というものです。

確かに、夫婦別姓だと子の苗字をめぐって「争奪戦」になる可能性があることは理解できます。
しかし、それならば、夫婦別姓を認めた場合、子の苗字についての条項を入れればいい話だと思います。

例えば、別姓夫婦の子の苗字について夫婦間で意見がまとまらない場合、子は同性の親の苗字を名乗る(男子は父親の苗字、女子は母親の苗字)、子が希望する場合、15歳以上になれば他方の親の苗字に変更できる等です。
子の苗字の争奪戦になるから選択的夫婦別姓反対、という意見には賛同できません。

ちなみに、夫婦別姓の国、中国では、以前は子は父親の苗字を名乗り、母親は自分の苗字を子孫に残せないことが一般的でしたが、近年は男女平等意識の強まりと一人っ子政策の廃止から、第一子が父親の苗字、第二子は母親の苗字を名乗る等、妻側の苗字を残せるケースが増えてきているそうです。

日本では(かつてのアメリカ・イギリスも?)「妻が苗字を変えない権利」が争点の一方、中国では(韓国も?)「妻側の苗字を子孫に残す権利」が争点になるのは、歴史的経緯により、国によって必要なジェンダー政策に違いがあるということなんですね。

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/中国一人っ子政策終了で異変、妻の姓名乗る子供増える/ar-AACox3U

Posted by アイス at 2020年02月12日 17:11
アイスさま、おひさしぶりです。
こちらにコメントありがとうございます。

>夫婦別姓だと子の苗字をめぐって「争奪戦」になる可能性が

子どもの苗字をどちらにするかは、
権利の対立ではあるので、決まらない場合の
措置が必要というのは、法的整合性という観点から、
成り立つ主張ではあると思います。


>夫婦別姓を認めた場合、子の苗字についての
>条項を入れればいい話だと思います。

それはわたしもそう思います。
その場合、機械的に決めて問題ないと思います。
http://taraxacum.seesaa.net/article/473545687.html

>子が希望する場合、15歳以上になれば他方の親の苗字に変更できる等です

15歳で自分の判断だけで、
苗字を変えることはできますから、
出生時に機械的に子どもの苗字を
決めてもさほど問題ないことになります。


選択的夫婦別姓の推進派が、
子どもの苗字ついての条項のことを
言わない(らしい)のも、
「おはよう東京」は不満みたいです。

子どもの苗字でもめるなんて、
現実にはめったにないことです。
なので本当に必要になってから、
子どもの苗字の決めかたの条項を考えれば
じゅうぶんだと、わたしは思います。
Posted by たんぽぽ at 2020年02月13日 06:42
>https://www.msn.com/ja-jp/news/world/中国一人っ子政策終了で異変、妻の姓名乗る子供増える/ar-AACox3U

こちらはご紹介ありがとうございます。

中国では5年前に一人っ子政策をやめたのでしたね。
少子高齢化が進んで人口減少が
危惧されるようになったからだと思います。


中国では子どもの苗字は父親のものをつけて
当然という固定観念が強く、
因襲的と言わざるをえないですね。

母親の苗字をつけることに反対する
理由が因襲的で、このように因襲が強いのは
日本を含めた他国とも変わらないようですね。

========
中国紙「中国青年報」が昨年、
中国全土の2037人に行った聞き取り調査では、
全体の54.7%が妻側の姓を新生児に
つけることについて反対の回答を寄せたという。
内陸部の四川省の男性は「夫側の姓には
数千年の歴史がある。そのような長い伝統は
守られてしかるべきだ」と答えている。
========


子どもをふたり以上持つことが
できるようになって、ふたり目の子どもに
母親の苗字をつけやすくなった
というのがポイントだと思います。

それでも比較的母親の苗字をつける
ケースが多い上海でも8.8%ですから、
まだまだ少ないと言わざるをえないです。
ふたり目の子どもを持つ人が中国でどれだけいるのか、
という問題もあると思いますが。


>日本では(かつてのアメリカ・イギリスも?)
>「妻が苗字を変えない権利」が争点の一方、
>中国では(韓国も?)「妻側の苗字を子孫に残す権利」が
>争点になるのは、歴史的経緯により、
>国によって必要なジェンダー政策に
>違いがあるということなんですね

ジェンダー差別のあらわれかたは、
歴史や文化によって異なるので、
それぞれの文化事情に応じた対策が
必要ということですね。
歴史や文化の差異を問題にするなら、
こうしたことだと思います。

ジェンダー差別的な人は、ジェンダー差別を
維持するために歴史やを文化の差異を
持ち出すのですが、持ち出しかたが
間違っているというものです。
Posted by たんぽぽ at 2020年02月14日 06:45
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]