諸外国はジェンダー格差を縮めるための
施策を行なってきたのですが、
日本はそれをほとんどしてこなかったのでした。
それが日本のジェンダーギャップ指数の
順位が大きく低下する原因となっています。
「男女平等、日本は過去最低 上野千鶴子氏に聞く」
「男女平等、日本は過去最低 上野千鶴子氏に聞く」(全文)
日本がジェンダー格差の解消するための
施策をほとんどしない理由として、
ジェンダー平等のための法律に拘束力が
ないことを、上野千鶴子氏は挙げています。
法的拘束力がない法律の例として、
選挙の候補者を男女同数にすることを定めた、
候補者男女均等法(パリテ法)をあげています。
−−女性活躍推進法などの法整備は進みました。
「罰則規定がないので実効性がありません。
例えば、候補者ができるかぎり男女同数に
なることを目指した候補者男女均等法。
法律が施行されて初めての国政選挙となった
19年7月の参院選はどうでしたか。
候補者の女性比率はわずか28%です。
自民党に至っては15%にとどまています。
結果、女性の当選者は28人で改選前後で変化がありません。
法律を作った効果はゼロと言えます。
「候補者の半数を女性にしない政党には
交付金を出さないなどの罰則規定が必要です。
女性活躍推進法では応募者と
採用者数の男女比も公表すべきです。
こんな骨抜きの法律に対してメディアも鈍感すぎます。
「他の国は強制力のあるクォータ制を
導入して社会を変えてきました。
過渡期に一時的にでも強制力のある制度を
作ることは大きな意味がありますが、
日本では『クォータ制は日本の風土に
合わない』と否定的です」
日本のパリテ法では候補者のジェンダー比が
偏らないよう、女性の候補者を3割以上に
することが定められています。
はじめてパリテ法が施行された、
2019年の参院選では、法律を守って女性候補者を
3割以上にしたのはすべて野党です。
与党の自民、公明の女性候補者の割合は
どちらも3割を大きく下回っています。
「自民・公明に女性候補者が少ない理由」
各党の女性候補者の割合。 pic.twitter.com/a2yCpTFSeZ
— 松尾貴史「違和感のススメ」 (@Kitsch_Matsuo) July 19, 2019
日本のパリテ法は努力目標を定めたもので、
女性候補者が3割に満たなかった場合の
罰則規定がなにもないです。
それゆえ女性候補者が3割以下の政党にも、
なにも問題が起きないことになります。
パリテ法が施行される前の
2017年の衆院選の女性候補者の割合は
どうだったかが気になるところです。
2019年の衆院選と比較することで、
パリテ法施行の効果がわかるからです。
「衆院選・女性当選者の割合」
【自民党の女性候補が少なくて驚く】
— とりあえず自民以外で (@jiminigai) October 11, 2017
女性候補者の比率をエクセルでサクッとグラフに。#立憲民主党 24.4%#共産党 23.9%
希望 20.0%
公明 9.4%
維新 7.7%
自民 7.5%
自民が女性応援とか本気じゃないのよくわかる(10/11朝日新聞より算出)#アビバ pic.twitter.com/yR8XBJM9Wh
立憲民主、共産、希望の党の野党3党は
女性候補者の割合が2割を超えています。
これらの野党はもともと女性候補者の
割合が高かったということです。
それでも3割を超えてはいませんでした。
2019年の参院選でこれらの野党は、
どれも女性候補者の割合が3割以上となります。
かなり余裕を持って3割を上回る
政党もあったので、パリテ法導入の意義は
野党に関してはあったと言えます。
公明党と自民党は2017年の衆院選でも
女性候補者の割合は10%に満たないです。
与党2党はパリテ法の導入前から、
女性候補者は少なかったということです。
2017年の衆院選と2019年の参院選とで
女性候補者の割合は、公明党はほとんどかわらずです。
自民党は2019年の参院選では10%を
超えているので、これがもうしわけ程度の
パリテ法の効果かもしれないです。
維新は2017年の衆院選では、女性候補者の
割合は7.7%で「女性候補者の少ない
政権与党」と同じ水準でした。
2019年の参院選では、維新の女性候補者の
割合は32%で、「パリテ法を守った野党」の
カテゴリに入ったことになります。
維新にかぎってはパリテ法を導入した意義は
大きかったことになりそうです。