朝日新聞による選択的夫婦別姓に
ついての世論調査の記事を見ていきます。
「夫婦別姓、安倍首相だけが孤立? 自民支持層が示した「意思表示」 世論調査から見える「伝統的家族」」
(はてなブックマーク)
今回はジェンダー別の調査を見てみます。
1月31日エントリでもお話していますが、
数値がくわしく出ているので、
この数値をもとにして考察することにします。
ジェンダー別
2015年11月=男性(賛成51%/反対35%)/女性(賛成53%/反対33%)
2015年12月=男性(賛成50%/反対42%)/女性(賛成49%/反対39%)
2016年3-4月=男性(賛成44%/反対48%)/女性(賛成49%/反対44%)
2017年3-4月=男性(賛成52%/反対42%)/女性(賛成63%/反対32%)
2020年1月=男性(賛成66%/反対27%)/女性(賛成71%/反対21%)
2015年11月12日の世論調査では、
選択的夫婦別姓の賛否の割合に、
ジェンダー差はほとんどないと言えます。
これはいささか意外かもしれないです。
このころは第一次夫婦別姓訴訟の
最高裁大法廷回付の直前で、
選択的夫婦別姓が話題になっていました。
2016年の世論調査は、賛否のジェンダー差が
少し現れたと言えるかもしれないです。
それでもまだたいしたことないと言えます。
2017年の世論調査では選択的夫婦別姓の
賛否のジェンダー差が顕著になってきます。
女性は賛成が63%、反対が32%で、
賛成が反対のほぼ2倍くらいです。
男性は賛成が52%、反対が42%で、
賛成と反対のあいだに差がつくようになりますが、
女性ほど差のつきかたは顕著ではないです。
2016年と2017年の世論調査のあいだで
選択的夫婦別姓に関する大きめな話題は、
旧姓使用に関する訴訟でした。
「旧姓使用の訴訟・原告棄却」
「旧姓使用裁判・二審で和解」
1月30日エントリで触れましたが、
この訴訟はそれほど目立った話題ではなく、
世論を喚起するにはあまり
じゅうぶんではないだろうと思います。
「旧姓使用は社会に定着している」という
最高裁判決の舌の根も乾かないうちに
「旧姓使用を認めない」という判決だったので、
反発を買ったのでしょうか?
最高裁判決に「旧姓使用は定着している」
という趣旨の内容があるところまで
把握しているかたは、選択的夫婦別姓に関して
ある程度以上くわしいかただと思います。
おおかたは原告敗訴で夫婦同姓の強制は
合憲になったということしか、
把握していないのではないかと思います。
2017年3-4月ですから、サイボウズの
青野慶久氏らが夫婦別姓訴訟を起こすという
「旗揚げ」もまだしていないです。
自治体に請願する「陳情アクション」も
まだ立ち上がっていないです。
2016年から2017年のあいだに、
どんなことがあって選択的夫婦別姓に
賛成を増やすような世論の変化があったのか、
いまのところはっきりわからないです。
今回2020年の世論調査では、
さらに選択的夫婦別姓に賛成が増えます。
男性も女性も賛成が増えています。
ジェンダー差は2017年より若干縮んでいます。
これは先に賛成が増えた女性に、
あとから男性が追いついてきた
という状況かもしれないです。