「全国陳情アクション」が主催した、
国会議員向けの勉強会では、立憲民主党の
枝野幸男代表が「選択的夫婦別姓は厚い壁に
さえぎられてきたテーマ」とコメントしています。
「選択的夫婦別姓を考える超党派の勉強会に枝野代表らが出席」
初当選から27年間、選択的夫婦別姓を公約に
掲げ続けてきた枝野幸男代表は、会議後に記者からの
質問に答え「党としても私個人としても、
厚い壁にさえぎられてきたテーマである。
こうして当事者が力強く声を
あげてくださり、大変勇気づけられた。
選択的夫婦別姓は法制審議会の答申書が
出されてから24年経過していますが、
いまだに実現していないです。
国連・女子差別撤廃委員会からの
選択的夫婦別姓を実現せよという勧告を、
日本政府はすでに5回受けています。
「民法改正・国連の勧告の歴史」
こうした状況を考えれば、選択的夫婦別姓の
実現の前には、異様なくらいの「厚い壁」が
存在していると言えるでしょう。
枝野幸男は具体的にはどんなものを
「厚い壁」と考えているのかと思います。
最大の「厚い壁」は自民党だと思います。
自民党は過去27年間の大部分の期間に
おいて政権にあり、選択的夫婦別姓の
実現を阻み続ける張本人だからです。
自民党が政権についているあいだ、
ほぼ毎年のように野党各党からの共同で
選択的夫婦別姓法案の提出がありました。
自民党はほぼいつもまったく審議せず、
継続審議や廃案にしています。
2000年代のはじめ、自民党内で、
選択的夫婦別姓の議論が活発なことが
ありましたが、このときの反対派議員の
頑迷極まりなさは相当のものです。
「選択的夫婦別姓・15年前の悪夢」
選択的夫婦別姓法案の議論のために、
部会に出てきた反対派議員の態度はすさまじいです。
はなからけんか腰だったり、「反対派はひまだと言うのか」
なんて因縁をつけたり、地元の支持者を楯に取って、
会議をやめさせようとしたりします。
「自民党法務部会の実態 民法改正法案提出阻止の現場」
「国会で議論しないのはなぜか?」
「推進派のだれが何を言うか、もう顔を見ただけでわかる」
なんて、自分が党内ヒエラルキーで上位にあることを利用して、
一喝して一同を黙らせるのもいます。
「オレの目の黒いうちは、別姓など絶対に許さない」
なんて反対派の頑迷きわまりなさを象徴する発言が
出てきたのも、この法務部会においてです。
「反対派と議論すると... パラノイア的精神状態」
どんな理屈や事実をも受け付けない
彼ら自民党内の反対派議員たちは、
言動そのものが「厚い壁」と言えます。
2009-12年の民主党政権のときにも
選択的夫婦別姓は実現しませんでした。
これは閣僚のひとりだった国民新党の
亀井静香の反対が大きいです。
「亀井静香・選択的夫婦別姓反対の記録」
亀井静香は選択的夫婦別姓法案の
閣議決定に応じないというかたちで、
法案提出から妨害をしました。
当時の首相の鳩山由紀夫や、
法相の千葉景子などが説得しましたが、
亀井静香は頑として受け付けませんでした。
亀井静香の存在はまさに実現をさえぎる
「厚い壁」になりました。
民主党内にも選択的夫婦別姓の
反対派議員は一定の数だけいて、
ときどき議論を混ぜ返していました。
「厚い壁」の一部であったと思います。
「民法改正運動の展開 - 2002年前半(2) 反対派議員たち、動き始める」
2009年に民主党が政権を取るころには、
彼ら反対派議員たちの勢力は、
たいぶ衰えていました。
それでも2010年の参院選で民主党が
議席を減らして党勢が後退すると、
彼ら反対派議員たちは「世論の反発」を
理由に選択的夫婦別姓を先送りさせる
原動力にはなったようです。