2月4日の衆院予算員会で、安倍晋三首相が
「選択的夫婦別姓に反対の人が過半数」と
答弁したことについてです。
「首相、夫婦別姓「子への悪影響懸念も」 衆院予算委員会の主なやり取り」
安倍晋三首相の「反対が過半数」の根拠は、
2017年に内閣府が行なった世論調査です。
(発表されたのは2018年2月。)
大河原雅子氏(立憲民主)
「希望する人だけが選択して自分の元の名字を
名乗ることのどこが納得できないのか」
安倍晋三首相「平成29年の内閣府の世論調査で、
法改正で旧姓の通称使用の機会を広げるべきだ
という意見を含め夫婦は必ず同じ氏を
表するべきだという意見が過半数を占めた。
国民の意見は分かれており、
夫婦の氏が異なることで子への悪影響が
生じることを懸念する人も相当数いる」
この世論調査では「賛成」42.5%、
「反対」29.3%で、賛成が上回っています。
どこも反対は過半数ではないではないか
と思いたくなるところです。
「家族の法制に関する世論調査」
「図16 選択的夫婦別氏制度」

安倍晋三の答弁は「『旧姓使用』を含めると
『夫婦同姓であるべき』が過半数」となっています。
「旧姓使用」を「反対」に加えたということです。
内閣府の世論調査の結果を見ると、
「旧姓使用」と答えたかたは24.4%です。
「反対」と「旧姓使用」を合わせると、
53.7%になるので「過半数」だと、
安倍晋三首相は言うのでしょう。
「旧姓使用」と答えたかたの全員が
「夫婦同姓であるべき」「選択的夫婦別姓に反対」と
考えているとはかぎらないです。
最善は「旧姓使用」だが、次善として
選択的夫婦別姓を実現することがよいと
考えているかたも相当数いると思います。
このような考えをするかたは、
選択的夫婦別姓に反対ではないでしょう。
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)は、
「旧姓使用でじゅうぶんだ」と
主張することが多いです。
「旧姓使用」と答えたかたの中には、
このようなかたも一定数いると思いますが、
すべてではないということです。
よって「旧姓使用」の全部を「反対」に加えて、
選択的夫婦別姓に「反対」が過半数と
主張するのは恣意的な扱いであり、
偏っていると言わざるをえないです。
1月末の朝日新聞と2月のはじめの
JNNの世論調査を見ると、選択的夫婦別姓に
「賛成」が7割程度で圧倒的多数です。
「選択的夫婦別姓・ふたつの世論調査」
安倍首相の2020年2月4日の答弁「平成29年の内閣府の世論調査で、法改正で旧姓の通称使用の機会を広げるべきだという意見を含め夫婦は必ず同じ氏を表するべきだという意見が過半数を占めた」について。選択的夫婦別姓に関する最新の世論調査は。 pic.twitter.com/Iea8EwoVBv
— 三春充希(はる) ⭐みらい選挙プロジェクト (@miraisyakai) February 5, 2020
これを考えると、内閣府の世論調査で
「旧姓使用」と答えたかたは、
選択肢が「賛成」「反対」のふたつになると、
かなりの割合が、選択的夫婦別姓に「賛成」と
答えることが予想されます。
選択的夫婦別姓に「反対」と答えるかたは、
「旧姓使用」と回答したかたのうち
ごく少数であることも考えられます。