2月4日の衆院予算員会のときの、
選択的夫婦別姓の質問に対する安倍晋三首相の
答弁ですが、2017年の内閣府の世論調査によると
「夫婦別姓は子どもへの悪影響があると
懸念する人も相当いる」と言っています。
「首相、夫婦別姓「子への悪影響懸念も」 衆院予算委員会の主なやり取り」
大河原雅子氏(立憲民主)
「希望する人だけが選択して自分の元の名字を
名乗ることのどこが納得できないのか」
安倍晋三首相「平成29年の内閣府の世論調査で、
法改正で旧姓の通称使用の機会を広げるべきだ
という意見を含め夫婦は必ず同じ氏を
表するべきだという意見が過半数を占めた。
国民の意見は分かれており、
夫婦の氏が異なることで子への悪影響が
生じることを懸念する人も相当数いる」
内閣府の世論調査のうち「子どもへの影響」に
ついての設問Q8のことでしょう。
「家族の法制に関する世論調査 > 2 調査結果の概要 2 > 図15」
これには前にもお話したことがあります。
内閣府の世論調査は「あると思う」であって、
「ある」ではないということです。
「「ある」ではなく「あると思う」」
この設問でお尋ねしているのは
夫婦別姓の家庭には子どもに好ましくない
「影響があると思う」という認識です。
「影響がある」という事実ではないです。
この設問で「影響があると思う」という
回答が多くても、夫婦別姓だと実際に子どもに
このましくない影響があることを
示さないということです。
この設問の目的は、夫婦別姓やその子どもに対して、
世論にどれだけ偏見が蔓延しているかを
把握するためのものだと言えます。
「地球にUFOが来ていると思う」人は
6割くらいいそうですが、それが実際に
「地球にUFOが来ている」根拠にはならないです。
ましてやそれを理由にして「UFO対策法」を
作るなど、ばかげたことです。
その通りです。
— 山田 晃嗣 (YAMADA Koji) @働き方改革を考える (@KojiYamada1966) February 18, 2020
「UFOは地球に来ていると思う」人は6割くらいいるでしょうが、それを持ってして「UFOが地球に来ている」とは言えません。
ましてやそれを前提に「UFO対策法」を作ることが愚かなことは容易に分かります。
それと同じことを主張しているんですよね。
安倍晋三首相の答弁は、内閣府の世論調査の
設問と結果を正しく述べてはいて、
まちがったことは言っていないです。
それでも「夫婦別姓だと子どもに
悪影響があると思う」人が多いことが、
実際に「夫婦別姓だと子どもに
悪影響がある」ことを示すかのように、
見せているとは言えるでしょう。
上述の「UFOが来ていると思う人が
多いからUFO対策法を作ろう」というのと、
同じようなことをしていると言えます。
夫婦別姓の親の子どもには悪影響があるのか、
世間の偏見ではなく事実を把握したいなら、
実際の夫婦別姓の家庭を調査する
必要があるでしょう。
事実婚、旧姓使用、国際結婚で夫婦別姓
という家庭は現在すでに存在します。
こうした家庭で苗字が原因で
子どもに悪影響があったという報告はないです。
「子どもの気持ちを考えてください」
「子どもの目線からの選択的夫婦別姓」
「親が夫婦別姓、子どもの本音を聞いてみた「困ることはない。以上」」
両親が別姓の子どもたち 「当たり前」だったから…
「家の中って名字で呼ばないし、正直意識したことがなかった」
そう振り返るのは、弁護士として法律事務所への
就職が決まっている日高稔基さん。
小さな頃から表札に二つの名字があるのが「当たり前」でした。
初めて別姓を意識したのは、学校の連絡網を見て
「他の家族の名字は同じだ」と気づいたとき。
ただその時も「へー。名字が同じ家族の方が
『普通』なんだ」と思っただけだったそうです。
ネット上の議論などで、別姓導入に反対する人が
「子どもがかわいそうだ」と主張することについてどう思いますか?
感じたことがないので、
「自分たちのイメージで語ってるな」と思います。
名字が違うだけで、あとは周りの家族と同じように過ごしてます。
何でそんな考え方が出てくるのか分からないですね。
養子縁組とか、いろんな家族がすでにたくさんありますよね。
でも、血のつながりがなくても仲良く過ごしている
家庭ってたくさんあると思います。
「夫婦別姓の家庭は子どもに悪影響」は
「あると思う」人が多いだけで、
実際に「あるのではない」ことがわかります。