外国で婚姻届けを出して夫婦別姓のかたは、
日本の法律婚にするときも法的には
夫婦別姓のままにできることをお話しました。
「【裏技編】「夫婦別姓訴訟」最高裁判決の崩し方」
これは「報告的届け出」なので、
苗字の選択をする手続きが必要ないから、
夫婦別姓のままになる、ということです。
外国で婚姻届けを出した場合、
日本国内での婚姻として扱われることも、
「法の適用に関する通則法」の
25条で定められています。
問題は外国の婚姻で夫婦別姓のかたが、
日本国内で夫婦別姓のまま法律婚とする場合、
役所がどのように対応するかです。
戸籍の編纂をどうしたらいいのか、
役所がわからない可能性があります。
それで処理できないと言って、
役所が突きかえす可能性もあります。
役所が手続きせず突きかえすことは、
法的には認められないです。
戸籍法6条で、戸籍を編成する規定があります。
戸籍法施行規則35条4項でも、戸籍に婚姻関係を
記載することが定められています。
「戸籍法」
第六条 戸籍は、市町村の区域内に本籍を
定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする
子ごとに、これを編製する。
ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と
婚姻をした者又は配偶者がない者について
新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと
氏を同じくする子ごとに、これを編製する。
「戸籍法施行規則」
第三十五条 次の各号に掲げる事項は、
当該各号に規定する者の身分事項欄に
これを記載しなければならない。
四 婚姻又は離婚に関する事項については、夫及び妻
さらに戸籍法137条で、
役所が戸籍の記載を怠った場合、
その市町村長が10万円以下の罰金を
払うことが規定されています。
「戸籍法」
第百三十七条 次の場合には、市町村長を十万円以下の過料に処する。
一 正当な理由がなくて届出又は申請を受理しないとき。
二 戸籍の記載又は記録をすることを怠つたとき。
五 その他戸籍事件について職務を怠つたとき。
そんなことを言っても戸籍の編成のしかたが
わからないのだから、受け付けようが
ないではないかと、役所は言うかもしれないです。
「判決の崩し方」の記事のかたは、
次のような戸籍の記載を考えています。
どちらの配偶者も戸籍には結婚した事実を記載し、
配偶者は記載せず空欄にします。
日本国籍のない外国人と結婚した
場合と同じ記載のしかたです。
この場合は両配偶者とも日本人なので、
自分に関する記載だけあって
配偶者欄が空欄の人がふたりになります。
子どもに関しては、両親のどちらかの
苗字を選ぶでしょうから、同じ苗字の親の
戸籍に記載すればいいことになります。
これで現行のままで、外国の法律婚を
夫婦別姓のまま日本の法律婚にする場合でも、
戸籍の編成ができることになりました。
戸籍の編成のしかたに関する「役所対策」は
いちおうなんとかなりそうです。
やっぱり単独戸籍にして身分事項欄に婚姻の記載でいいじゃんね。子の記載も姓が同じ親側に記載すれば済む。
— utchie! 🌝 (@utchie) April 10, 2020
嫡出子非嫡出子差別がなくなったんだから、民法のその文言を訂正するか、新たな添書きをすれば済む話。
「裏技編」に同じことが書いてあったので、「ほらね」って意味です😁
— utchie! 🌝 (@utchie) April 10, 2020
「役所対策」に関しては、外国の法律婚を
日本の法律婚にする場合、夫婦別姓のままでもよい
という、「肝心のところ」を納得させるほうが、
わたしはやっかいな気がします。
外務省のサイトにも、日本の婚姻届けを
提出して苗字を選択するようになっています。
外務省がそう思い込んでいるくらいですし、
役所の職員も日本の婚姻届けを提出して
夫婦同姓にする必要があると
思っている可能性が高いです。
「報告的届け出」だから戸籍法74条の
規定は適用されず、日本の婚姻届けの提出は
もう必要ないということを、役所の職員に
納得してもらうことになります。
「結婚したら夫婦同姓」という
社会通念が根強いこともあります。
このあたりを役所の人に納得させるのは、
手間取りそうではないかと思います。