コロナウイルスの休業補償として、
一律に10万円を給付する方針になりました。
このような給付の問題になると、
かならず出てくる論調があります。
「〇〇は給付の対象からはずせ」です。
「現金一律10万円給付が始まる前に考えておきたいことー確実にあなたのもとにお金が来るようにー」
(はてなブックマーク)
記事では「給付対象からはずせ」と言われる
スケープゴートの具体的な例を列挙しています。
実際「さもありなん」だと思います。
「公務員は損害を受けていないのだから辞退するべき」
「国会議員は受け取るべきではない」
「外国人は対象外にしてほしい」
「生活保護受給者は配布する必要ない」
「金持ちは給付を辞退しろ」
「年金や貯金のある高齢者には必要ない」
ぜひ早急にこのような無用で害悪ある分断は巻き起こさないでほしい。
世帯あたり30万円給付のときから、
外国人を給付対象から排除する
という主張はありました。
「小野田紀美・差別で辞職を求める署名」
この記事では出てきていないですが、
性産業従事者を給付対象から排除する、
という主張もあります。
「性産業従事者にコロナの補償を」
ほかにも「自分は申請しない」と言って、
みずから受け取らない奇特な(?)人もいます。
まだ政策議論段階にもかかわらず、
公明党の斉藤鉄夫幹事長まで
「私は申請しないつもりだ」とコメントを寄せている。
せっかくわけへだてのない「一律受給」が
実現しそうなのに、「受給資格」を作って、
特定のカテゴリの人たちを排除する
というのは、大きな問題があります。
1. 補償を受けるのは、日本社会で
生活する人たちすべてが当然受けるべき権利。
日本で生活していれば、だれであれ
補償の対象にする必要がある
2. 「あいつには補償するな」という
「線引き」は恣意的。
「補償しなくていい人」を作るとそれが拡大されて、
自分も「補償されない人」になる可能性がある
3. 「補償される人」と「補償されない人」が
出てくることで、社会が分断される。
社会の構成員全員が団結・協力して
対処に当たる必要がある
危機的状況において深刻な問題になる
4. コロナウイルスは感染者を選ばない。
補償をはずした人は感染のリスクが高まるし、
そこから感染が広がる可能性もある。
「自分は申請しない」という人も、
お金は必要ないなら申請して受け取った上で、
だれかに全額寄付すればいいでしょう。
ほかにお金を必要としている人は、
いくらでもいるからです。
「あいつには補償するな」と攻撃される
「スケープゴート」にはだれが選ばれるかは、
その社会の偏見や差別意識を反映します。
何よりも一方的に誰かに配らなくていい、と言うこと自体、
差別感情だったり、さもしい感情だと思ってほしい。
コロナウイルス禍のような危機的状況のもとでは、
社会に不安やストレスがたまってきます。
その発散のために、スケープゴートを作って
攻撃しやすくなる状況でもあります。
ところが危機的状況を解決するには、
社会全体の団結と協力が必要です。
それゆえスケープゴートを作ることで、
社会の分断と対立を避ける必要があります。
スケープゴートを作りやすい状況ですが、
それでもスケープゴートを作らずに
社会全体が団結と協力をして事態の解決に
あたることが、要求されることになります。
コロナウイルスのような危機的状況は、
その社会の成熟度が問われると言えます。
為政者はその対策の適切さを、
国民から「支持率」で評価されます。
一般の国民もコロナウイルスの対処が適切かを、
判断され評価されるということです。
成熟度が高ければ劣情に流されずに、
理性的な対応ができるでしょう。
成熟度が低ければ劣情に負けて、
社会の分断を招く事態になるということです。