外国の法律婚を日本の法律婚に
振り替えることで、日本の現行法の範囲内で
夫婦別姓を実現する方法を見てきました。
「【裏技編】「夫婦別姓訴訟」最高裁判決の崩し方」
かかる夫婦別姓の実現方法は、
目先の必要に役立つだけでなく、
夫婦別姓訴訟で夫婦同姓の強制を
違憲とする可能性もあるとしています。
そこでは、夫婦同姓制のメリットとデメリットが
比較されていたわけですが、メリットとしてあげられていた
「基礎的単位の呼称を統一」とか
「家族の一員であることの公示・実感」とかは、
今回提示したような方式での婚姻が広まって、
名字がバラバラの夫婦が日本社会で
上手くワークしていることを示すことが
できれば、否定できるものです
このような方法で夫婦別姓のかたが増えれば、
現在の日本社会で夫婦別姓の家庭が
問題なく機能していることが示されます。
それによって最高裁判決が示した
「夫婦同姓のメリット」が否定され、
判決がくつがえることになるというのが、
「判決の崩し方」の述べていることです。
わたしはこの方面から最高裁判決が
くつがえる可能性も、あまり楽観的でないです。
現時点でも事実婚、国際結婚、旧姓使用で
夫婦別姓の家庭は少なからずあります。
それでも「現在の日本社会で夫婦別姓の
家庭が問題なく機能している」と
判断されなかったのでした。
それゆえ外国の法律婚からの振り替えで
夫婦別姓のかたが増えたくらいでは、
裁判所のこのあたりの判断は、
変わらないのではないかと思います。
現時点で夫婦別姓の人たちは、
ほとんど無視できる少数くらいに、
裁判所は思っているのかもしれないです。
事実婚、国際結婚、旧姓使用を
「正規の婚姻」ではない「例外」くらいに、
裁判所は思っているのかもしれないです。
それでこれらがいくら増えても、
裁判所の判断では「日本社会に
定着している夫婦別姓の家庭」として
カウントされないのかもしれないです。
それでも夫婦別姓の家庭が増えれば、
それだけ「既成事実」を作ることになるし、
判決がしめした「夫婦同姓のメリット」が、
弱くなることはたしかでしょう。
「外国の法律婚からの振り替え」は、
現行法の抜け道を利用している点で、
法的に無視しにくいことだとも思います。
またまがりなりにも日本人どうしの婚姻で、
夫婦別姓で法律婚になっているゆえに、
事実婚、国際結婚、旧姓使用よりは、
「例外」扱いしにくいとも思います。
外国で婚姻届けを提出する方法ですが、
新婚旅行さきを夫婦別姓が認められる
外国にするのが、比較的やりやすいでしょう。
欧米圏では挙式と婚姻届けの提出を
同時に行なうリーガル・ウェディングがあるので、
これを利用することができます。
現在でも日本人で利用しているかたがいます。
外国へ旅行するというのは、
経済的、時間的な負担がかかります。
きょうびは外国へ行くだけの
経済的余裕のないかたも多いでしょう。
だれでもできることではないと言えます。
もちろん、海外まで申請しにいくコストは
かかってしまいますから、無理に進めることが
できるものではありません。
ただ、夫婦別姓訴訟を起こして労力と時間と
費用をかけるよりは、ハネムーンのついでに
外国方式で婚姻をする、という方が、
コストパフォーマンスはいいと思います
それでもこの方法を利用できるかたも
一定数いることはたしかです。
そうしたかただけでも苗字の問題の
一定の解決になるなら意義のあることです。
また利用できないかたでも、
このような方法があることを記憶にとどめて
おくだけでも、変わってくるでしょう。