選択的夫婦別姓と同性結婚に賛成の割合が、
自民党支持層のあいだでも増えているという、
朝日新聞と東京大学・谷口研究室の
合同調査についての続きです。
「夫婦別姓と同性婚、自民支持層でも賛成増 朝日東大調査」
(はてなブックマーク)
この記事の要点は
選択的夫婦別姓と同性結婚に賛成する割合が、
1. 最近3年ほどのあいだに自民党支持層でも増えている
2. 自民党支持層も全体とほぼ同程度
であって、これらはすでにお話したのでした。
このほか、
3. 自民党支持層と自民党の議員・候補者
とのあいだで乖離している
ということもあります。
自民党支持層における選択的夫婦別姓の
賛成の割合は、2017年に29%から
2020年は54%と25ポイント増えています。
同性結婚の賛成の割合も、2017年の24%から
2020年は41%と、15ポイント以上増えています。
自民党候補者における選択的夫婦別姓の
賛成の割合は2017年は15%、2019年は19%で、
わずか4ポイントしか増えていないです。
同性結婚は2017年が9%、2019年も9%で
割合はほとんど増えていないです。
2017年の時点でも自民党候補者より
自民党の支持層のほうが、選択的夫婦別姓、
同性結婚のいずれも賛成の割合が
高かったのですが、2020年になって
差が大きく開いたということです。
自民党は支持層の選択的夫婦別姓と
同性結婚に関する意識を汲み取れるか、
その対応が問われると、調査にあたった
谷口将紀氏からのコメントがあります。
こうした傾向について谷口教授は「大きな事件はないのに、
わずか数年でこれほど世論が動くのは珍しい。
政治の対応能力が問われる」と分析している。
賛成が支持層で増えたことに対応して、
自民党は議員、候補者レベルで選択的夫婦別姓と
同性結婚に賛成するようになるかが
問われるということなのでしょう。
わたしの予想ですが、選択的夫婦別姓と
同性結婚に賛成が自党の支持層で増えたことを、
自民党はほとんど気にしないと思います。
支持層でこれらに賛成する人が増えたことに、
そもそも気づいていない議員、候補者も
結構いたりする可能性があります。
気づいていたとしても、自民党は因習・反動的な
家族イデオロギーで硬直した議員が多いです。
支持層の世論が変化したところで、
簡単に賛成に移行できない議員も多そうです。
かくして自民党は今後も当分は、
選択的夫婦別姓と同性結婚に賛成する
可能性は少ないだろう、賛成する議員は
たいして増えないだろうと、わたしは予想します。
自民党の支持層の中でも、
選択的夫婦別姓や同性結婚はどうしても
実現してほしい重要政策という人は、
あまり多くなさそうに思います。
調査で訊かれたから「賛成」と
答えたのであって、自民党はこれらに
賛成せず実現しないまま放置しても、
問題にしない人が、自民党の支持層には
多いのではないかと思います。
それゆえ自民党の議員、候補者に
選択的夫婦別姓と同性結婚に賛成する人が
増えなくても、選挙などで深刻な事態に
なることはないだろうと思います。